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平成27年 吉田沙保里が五輪3連覇含む世界大会16連覇 【平成スポーツハイライト】

2019 1/9 07:00SPAIA編集部
吉田沙保里,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

アテネ、北京を連覇し、「ロンドンも勝ちたい」

何かと話題の多かった平成の女子レスリング界。中でも「霊長類最強女子」と呼ばれた吉田沙保里が残した功績はとてつもなく大きい。

父の指導で3歳からレスリングを始めた吉田は、平成12年(2000年)、翌13年の世界ジュニア選手権を連覇。その後もアジア大会、世界選手権、ワールドカップを制するなど、とんとん拍子に出世街道を駆け上がった。

迎えた平成16年のアテネオリンピック。女子55kg級に出場した吉田は決勝でバービーク(カナダ)を破り、ひとつめの金メダルを獲得した。この時、21歳。その後の長い無敗ロードはまだ始まったばかりだった。

吉田は平成19年5月のアジア選手権、9月の世界選手権でも優勝。12月に北京オリンピック55kg級の代表に正式決定した。

翌20年8月、2度目の夢舞台でも順調に勝ち上がり、決勝では地元・中国の許莉を開始から圧倒。第2ピリオドでフォール勝ちし、2大会連続の金メダルを獲得した。表彰式後のインタビューでは早くも「4年後のロンドンも勝ちたい」と話し、3連覇への意欲を隠そうともしなかった。

カレリンの記録を更新する世界大会16連覇

平成23年(2011年)9月の世界選手権で、カレリンの最多記録に並ぶ9連覇を達成。翌年のロンドンオリンピックでは「金メダルを獲れない」というジンクスのある旗手を務め、大会の主役の一人として本番に臨んだ。

前日には63kg級の伊調馨が先に3連覇を達成し、ムードは最高潮。決勝の相手はアテネの決勝で戦い、前年の世界選手権でも死闘を繰り広げたバービークだった。吉田はライバルに付け入る隙を与えず2-0で完勝し、3連覇を果たした。

同年9月、世界選手権を10連覇。オリンピックと合わせ、世界大会13連覇となり、「霊長類最強」と言われたカレリンの記録を更新、ギネスにも認定された。さらにこの年11月には国民栄誉賞を授与された。

その後、平成27年の世界選手権まで13連覇を達成。最早、吉田にかなう選手はいないかのように思われた。

しかし、絶対女王もついに終焉の時を迎える。4年後のリオデジャネイロオリンピック。決勝では吉田に憧れてレスリングを続けてきたというマルーリスに逆転負けを喫し、世界大会は16連覇、個人戦は206連勝でストップした。

伊調馨はリオ五輪で4連覇達成

一方、吉田とともにアテネ、北京、ロンドンを3連覇していた伊調馨はリオでも優勝し、女子個人として史上初のオリンピック4連覇を成し遂げた。平成28年10月には吉田に続いて国民栄誉賞が授与された。

その後、日本レスリング協会の栄和人強化本部長によるパワハラ問題が勃発。至学館大も巻き込んで大騒動となった。

平成31年1月8日、吉田は自身のインスタグラムで「この度、33年間のレスリング選手生活に区切りをつけることを決断いたしました」と引退を表明。女子レスリング界の第一人者が、平成の終わりとともに現役生活にピリオドを打った。