ヘルシンキで石井庄八が戦後初の金メダル
日本人選手が五輪のレスリングで初めて金メダルを獲得したのが1952年ヘルシンキ大会。フリースタイルバンタム級の石井庄八が優勝し、他の競技も含めて戦後初の日本人金メダリストとなった。
以降、2024年のパリ五輪まで日本人選手は男女合わせて計45個の金メダルを獲得している。
1956年メルボルン五輪ではフリースタイルウェルター級の池田三男と同フェザー級の笹原正三が金メダル。1960年ローマ五輪ではフリースタイルフライ級に出場した松原正之の銀メダルのみに終わったが、1964年東京五輪では、フリースタイルフライ級の吉田義勝、同フェザー級の渡辺長武、同バンタム級の上武洋次郎、グレコローマンスタイルバンタム級の市口政光、同フライ級の花原勉の5人が金メダルに輝いた。
1968年メキシコ五輪ではフリースタイルバンタム級の上武洋次郎が2連覇。ほかにも同フライ級の中田茂男、同フェザー級の金子正明、グレコローマンスタイルライト級の宗村宗二の4人が優勝した。
小林孝至はソウル五輪優勝も金メダル紛失騒動
1972年ミュンヘン五輪ではフリースタイル57kg級の柳田英明と同52kg級の加藤喜代美が金メダル。1976年モントリオール五輪ではフリースタイル52kg級の高田裕司と同74kg級の伊達治一郎が金メダルを獲得した。
高田は選手としてピークとも言える26歳で迎えるはずだった1980年モスクワ五輪のボイコットが決まった際、涙を堪えながら参加を訴えたシーンが有名だ。1984年ロサンゼルス五輪では銅メダルを獲得している。
そのロサンゼルスではグレコローマンスタイル52kg級の宮原厚次とフリースタイル57kg級の富山英明が金メダルに輝いた。
1988年ソウル五輪で注目を集めたのがフリースタイル48kg級の小林孝至だ。見事に獲得した金メダルを帰国後に紛失。拾得物として警察に届けられて無事に手元に戻ったことが、金メダル獲得以上の話題となった。
ソウルではフリースタイル52kg級の佐藤満も金メダルに輝いている。
伊調馨はリオ五輪で4連覇、吉田沙保里は涙の銀
バルセロナ、アトランタ、シドニーとメダルは獲得するものの優勝はできず、次の金メダルは2004年アテネ五輪まで待たなければならなかった。この大会から五輪競技として採用された女子のフリースタイル55kg級で吉田沙保里が優勝。伊調馨も同63kg級で金メダルを獲得し、2人の伝説が幕を開けた。
吉田沙保里と伊調馨は2008年北京五輪で2連覇。さらに2012年ロンドン五輪で3連覇を果たす。ロンドンではフリースタイル女子48kg級の小原日登美とフリースタイル男子66kg級の米満達弘も優勝した。
2016年リオデジャネイロ五輪では明暗が分かれた。伊調馨は前人未踏の4連覇を達成したが、日本選手団主将を務めた吉田沙保里は決勝で敗れ銀メダル。4連覇を逃し、個人戦206連勝でストップした。
リオではフリースタイル女子48kg級の登坂絵莉、同69kg級の土性沙羅、同63kg級の川井梨紗子も金メダルを獲得している。
パリ五輪で史上最多の金8個
2021年東京五輪では川井友香子(FS女子62kg級)と川井梨紗子(FS女子57kg級)の姉妹や、フリースタイル女子53kg級の向田真優、開会式で旗手を務めた女子50キロ級の須崎優衣、フリースタイル男子65kg級の乙黒拓斗の計5人が金メダルに輝いた。
男子グレコローマンスタイル60kg級の文田健一郎は銀メダル、男子グレコローマン77kg級の屋比久翔平は銅メダルを獲得している。
2024年パリ五輪は史上最多となる8個の金メダルを獲得した。藤波朱理(FS女子53kg級)が中学2年生から驚異の公式戦137連勝で頂点に立つと、櫻井つぐみ(FS女子57kg級)、元木咲良(FS女子62kg級)、さらに女子では最重量級初制覇となる鏡優翔(FS女子76kg級)が金メダルに輝いた。
男子もフリースタイルの樋口黎(FS男子57kg級)と清岡幸大郎(FS男子65kg級)が優勝。グレコローマンでは1984年のロサンゼルス大会の宮原厚次以来40年ぶりとなる金メダルを文田健一郎(GS男子60kg級)、日下尚(GS男子77kg級)が獲得した。
また、連覇を狙った須崎優衣(FS女子50kg級)は涙の銅メダル。尾崎野乃香(FS女子68kg級)も銅メダルを獲得し、高谷大地(FS男子74kg級)は銀メダルを獲得した。
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