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錦織圭がロジャーズカップ2回戦敗退 敗因はアンフォーストエラーの多さ

2019 8/8 17:00中村光佑
ロジャーカップ2回戦敗退の錦織圭Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

中断も試合の流れを左右した

カナダ・モントリオールで開かれているロジャーズカップ2回戦に錦織圭が登場した。3勝7敗と大きく負け越しているガスケ(フランス)と対戦。第3セットまでもつれる激戦となったが、第2セット途中からの降雨による中断も影響し、錦織は逆転負けで2回戦敗退を喫した。

第1セット、錦織は最初のサービスゲームからいきなりブレークを許したが、第3ゲームでは果敢に前に出る攻めを見せ、すかさずブレークバックに成功。第9ゲームでは長いラリーを制し、再びブレークを奪った。しかし、第10ゲームのサービングフォーセットを錦織は取り切れず、タイブレークに突入。タイブレークでは錦織がミスを重ねて先行されたが、アングルや逆クロスのウィナーで何とか第1セットをものにした。

第2セット、錦織は1ゲーム目からポイントを先行するが、ガスケの深いリターンにミスを誘われ、いきなりブレークを許した。第2ゲームに入ると逆に錦織はガスケのミスにも助けられ、0-30と先行したが、ここで悪天候により2時間の中断となった。再開後は錦織がバックハンドウィナーを決め、15-40とチャンスを握ったものの、リターンミスを重ねてチャンスを逃した。流れを失った錦織は第3ゲームでガスケに2度目のブレークを許し、このセットは2-6で簡単に落としてしまう。

第3セットは両者高い集中力を発揮し、錦織はドロップショットをはじめ多彩な攻撃を見せる。反対にガスケはサーブや強烈なバックハンドなどで応戦。互いにキープが続いたが、第9ゲームでガスケにブレークを奪われて4-5とされ、絶体絶命のピンチを迎えた。しかし、錦織は続く第10ゲームで2本のウィナーを決め、勢いに乗り土壇場でブレークバックに成功。第12ゲームではマッチポイントを握りながらサーブでしのがれ、勝負はタイブレークに突入した。

タイブレークに入ると錦織は先行される苦しい展開。4-4まで追いついたが、そこから錦織はフォアハンドで痛恨のミスを犯す。錦織は最終的に立て直すことができずに敗戦。痛めていた右腕も影響したのか、2回戦敗退という結果に終わった。

ミスの多さが目立った錦織

今回の試合の錦織とガスケのスタッツを見比べてみる。

2019年ロジャーカップ2回戦錦織とガスケのスタッツ

ⒸSPAIA

スタッツを見てみると、錦織はウィナー数やサービスでのポイントでガスケを上回っている。しかし、ウィナーが57本に対してアンフォーストエラーが56本。ガスケの34本を大きく上回り、このミスの多さが勝敗を決定づけたと考えられる。

レシーブのポイント数も強烈なバックハンドやサーブのコースを散らすガスケに苦戦した影響もあり、ガスケに10本近く差をつけられた。錦織は全体でフォア・バックともにウィナー数が多かっただけに、ブレークポイントや第3セットのタイブレークなど、勝負どころのミスで流れに乗り切れなかったことが敗戦へとつながってしまった。

懸念される右腕の状態

錦織はロジャーズカップの前に開かれたシティ・オープンを右上腕部負傷により欠場していた。今大会には右腕にサポーターを着用して臨んだが、感覚の微妙なずれが影響していたのか、錦織らしくないミスが重なってしまった。

今回はジョコビッチやフェデラーも参戦しておらず、上位進出の可能性も高かっただけに悔やまれる結果となった。錦織は試合後、「肘が痛く、試合勘も鈍っていた」と語り、ファンの間でも懸念されている。

次なるグランドスラム、全米オープンに向けて1か月を切っているが、2017年のように、けがの状態とうまく向き合う必要はあるだろう。

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