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異質って何?卓球のラバーによる戦術の違い、卓球世界選手権23日開幕

2021 11/21 11:00福田由香
女子卓球選手の伊藤美誠,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

今年の世界選手権は個人戦

11月23日からアメリカのヒューストンで卓球の世界選手権が始まる。アメリカでは初めての開催で、日本代表には東京五輪代表と選考合宿を勝ち抜いたメンバー、男女合わせて10人が選ばれた。現役引退を表明し、「元プロ卓球選手」を自称している水谷隼選手は今大会には出場しない。

世界選手権は団体戦と個人戦が1年ごとに交互に実施されていて、2020年に釜山で予定されていた団体戦は新型コロナウイルスの影響で中止となったため、今回は2年ぶりの開催となる。

ラバーの種類による球質の違い

東京五輪では伊藤美誠の異質ラバーが注目されたが、テレビ中継を聞いていてそれが何なのか分からなかった方もいたのではないだろうか。どの選手もやりたいプレーに合わせて用具を選んでいるので、少し詳しく見てみよう。

ラバーの種類は大きく分けて4つ。裏、表、粒高、アンチだ。裏以外のラバーは全て異質ラバーに分類される。

【裏ラバー】
最も一般的なつるっとした見た目のもの。強い回転とパワーを出すことができ、威力のあるドライブやチキータといった攻撃はもちろん、回転の強いカットやサービスを出すことにも向いている。現在はシェークハンドラケットの両面に裏ラバーを貼る選手が最も多い。伊藤のような異質選手でも片面は裏の場合がほとんどだ。

裏の中には、表面が付箋の裏側のように指にくっつく感触の粘着ラバーというものもある。粘着性能はボールがラバーから離れるのを遅くするため、スピードは落ちるが回転量を増やしやすく、石川佳純や多くの中国選手が使っている。

【表ラバー】
表面に平たく丸い粒が並んでいるもので、伊藤はこれをバック面に張っている。裏と比べるとボールと触れる面積が少ないため球離れが速い。自分で回転をかけることが難しく、ドライブよりもスマッシュ系の技術に向くラバーだ。裏とはスピードや回転量の違うボールが出るので、混ぜてラリーをすると相手は対応が難しくなる。

相手の回転に左右されにくいので、レシーブミスなどを減らす目的で使う人もいる。粒の直径が大きいと裏に近い性能となる一方、粒の直径が小さいと変化表や半粒などと呼ばれ、次に述べる粒高と近い性能になる。

【粒高ラバー】
表の粒を細長くしたもので、ボールが当たった時に粒が曲がって変化を生む。自分で回転をかけることは表よりも更に難しく、パワーやスピードも裏や表よりかなり落ちる。基本的には上回転を打つと下回転に、下回転を打つと弱い上回転か無回転になる。上級者になると、そこに横回転を加えて更に変化させる。相手が打とうとするところでボールがぶれるので、相手を翻弄するラバーとも言える。

カットマンが片面に貼って裏のカットと粒のカットを混ぜたり、前陣の選手がブロックで相手のミスを誘ったりと、守備的な選手が使うことが多い。粒が長く細いほど変化性能が高く、表に近い形状のものはある程度スピードと威力が出るので攻撃がしやすくなる。

【アンチラバー】
裏と同じような見た目なのに回転のかからないラバーで、使っている人はかなり珍しい。主にカットマンが使うラバーで、裏でカットすると強い下回転が出るのに対し、アンチの場合、弱い下回転か無回転になるため、球種の差でミスを誘う。

ラケットの両面とも同じ色のラバーにできた時代は、両面黒か両面赤にするとどちらが裏でどちらかアンチかパッと見で判断できなかったため、ボールの見分けが難しかった。しかしルール改正で同じ色のラバーを貼ることができなくなってからは、「この色がアンチ」とバレるようになり、少なくなったと言われている。

試合観戦の時はラケットに注目してみよう

ラバーによる球種の違いが分かると、なぜミスが出たのか、得点できたのかなども分かるようになってくる。特に女子には異質が多く、過去の日本代表でも福原愛や福岡春菜など多くの異質選手が活躍してきた。

選手の手元が移った際にはラケットの表面がどうなっているのかもチェックしてみよう。卓球の観戦が少し面白くなるはずだ。

《ライタープロフィール》
福田由香
NHK岡山キャスター、テレビ愛知アナウンサーを経て「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)で現場リポーターとして活動した経歴を持つ異色のライター。卓球初段。全日本社会人選手権、全国インカレ出場。学生時代は全国国公立大学卓球大会で数々の賞状を手にした。

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