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三役勝率1位の「最強関脇」御嶽海が大関昇進する可能性、2022年がリミット?

2021 12/19 11:00横尾誠
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年間最多勝の照ノ富士に次ぐ55勝を挙げた御嶽海

大相撲で2021年の年間最多勝に輝いた照ノ富士に次いで2位だったのが関脇の御嶽海。実力は誰もが認めるところではあるが、大関の地位には未だ届かずにいる。

御嶽海は11月場所で11勝を挙げ、来年は再度大関昇進に挑むことになる。大関昇進の可能性はどの程度あるのかを過去の数字から探ってみたい。

今年の御嶽海は1年間通して三役に在位し55勝を挙げた。6場所連続で三役(三役とは厳密には大関・関脇・小結を指すが便宜上、関脇と小結とする)に在位した力士の中で、55勝以上を挙げて大関に上がれなかったのは平成15年に57勝を挙げた若の里と、昭和46年5月場所から47年3月場所に御嶽海と同じ55勝を挙げた長谷川のみだ。

6場所連続三役での通算勝利数

大関未経験の三役で勝率1位

これだけを見ても、歴代の関脇力士の中でもすでに御嶽海はトップレベルの数字を残していることが分かる。それは三役在位時の勝率からも見て取れる。

若の里の三役在位時の勝率は.576だが、御嶽海の勝率は.582と上回っている。この数字は年6場所制が定着した昭和33年以降に三役昇進した大関未経験の力士の中では歴代1位となっている。

大関未経験者の三役在位時の成績


現在の御嶽海は大関に手が届かなかった力士の中での最高数値や、それに近い数字を出していることになる。つまりは過去データから言えば、現状の御嶽海より良い数字を出している力士は大関に昇進していると言える。

三役在位20場所以上で大関昇進は19人中10人

そして御嶽海は三役力士としての経験も豊富だ。御嶽海の三役在位場所は27場所。最高は琴錦の34場所で2位は魁皇の32場所。1位の琴錦は関脇止まりだったが、魁皇は大関に昇進した。

三役在位20場所以上の力士は19人おり、大関以上に上がったのは10人で上がれなかったのは御嶽海含めて9人だ。要するに三役在位20場所レベルだと大関以上に上がる力士と上がれない力士は半々に分かれると言える。

三役在位20場所以上の力士

三役在位20場所以上で高齢大関昇進は琴光喜のみ

御嶽海は来年1年間、三役に在位すれば歴代2位の在位33場所となるが、これは大関に上がれていないことを意味する。

御嶽海もまもなく29歳。三役在位が20場所以上ある大関未経験者が関脇で最後に勝ち越した年齢を見ると、30歳以上では30歳11ヶ月の貴闘力と30歳0か月の高見山のみだ。

大関未経験者の関脇勝ち越し最終年齢


御嶽海は年齢的に分岐点に差し掛かっていると言える。しかも三役在位20場所を超える力士で現在の御嶽海より高齢で大関になったのは31歳で昇進した琴光喜ただ1人。つまり30歳あたりで大関昇進の可能性は極めて低くなる。

現在の御嶽海は歴代の関脇力士の中では最強と呼んで差し支えない成績を残しているが、御嶽海と同等の成績を残していても大関に上がれなかった力士もいる。その中で御嶽海の年齢はリミットにも近づいているとも言えよう。

果たして来年の御嶽海は今年より好成績を残し、念願の大関昇進を叶えることができるか。あるいは平凡な成績に終わり「最強関脇」でとどまるのか。2022年はまさに勝負の年となるだろうし、多くの期待をかけられているからこそ念願の大関昇進を果たしてくれることを期待したい。

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