早稲田大学が2年ぶり4回目のリーグ戦優勝
第68回関東大学女子バスケットボールリーグ戦は早稲田大学が2年ぶり4回目の優勝(12勝2敗)を決めた。2位は白鴎大学、3位は東京医療保健大学と続く。
上位3校の顔触れは昨年と同じだが、今年は内容が違った。昨年、早稲田大は東京医療保健大と最後まで優勝争いを演じて2位に終わったが、今年は2試合を残して優勝を決めた。
早稲田大学は下位4チームとの対戦で星を落とさず終えたことに対し、白鴎大学は拓殖大学の1試合、東京医療保健大学は、拓殖大学、松蔭大学で1戦ずつ敗れていた。白鴎大学、東京医療保健大学が下位チームに敗戦したことも追い風となり、早稲田大は、白鴎大、東京医療保健大と対戦の段階で星勘定でも余裕があった環境で試合に臨めた。
主将の#21高田静は、昨年も主力としてプレーし、東京医療保健大学の優勝を目の前で見せつけられていた。
「昨年逃していたので、優勝できてうれしいし、ほっとしている」
優勝インタビューでそうコメントしていた。そして、高田とともに、2人のセンタープレイヤーがチームを支え優勝に貢献した。
なお、リーグ戦においては優勝を果たしたが、当該校間の試合におけるゴールアベレージでのランキングでは惜しくも優勝を逃した。
「今年のリーグは、初めて経験したことが多かった」中田珠未
2試合残してリーグ戦優勝を果たした早稲田大学だったが、決して楽に優勝できたわけではない。
最終戦となった東京医療保健大戦で高田、#37内山美悠に次いでプレータイムが長かった#33中田珠未はセンタープレイヤーとしてコートを駆け巡った。試合後「今年のリーグは、初めて経験したことが多かった」と振り返る。
中田は、台北で開催された第40回女子ウィリアム・ジョーンズカップ、ジャカルタで行われた第18回アジア競技大会に日本代表選手として出場し、長い間チームから離れていた。
早稲田大学の選手としてリーグ戦に出場したのは、3戦目の日本体育大学戦からだった。
開幕6連勝の時点で「中田が戻ってきてくれて良かったけど、戻ってきて最初の試合はうまくかみあっていなかった。試合が1週間空いたことにより、徐々にかみ合ってきた。昨年の下位チームから当たるので1戦1戦強くなりたい」と主将の高田が当時の状況を明かしていた。
中田は「チームに合流したのもリーグが始まってからで、チームのルールとか遅れている部分があり、代表と違う部分もあって戸惑った時期があった」とチームに合流した当時の苦悩を話す。日の丸を背負った激戦で、精神的な疲れもあっただろう。これまで味わったことのない経験から、中田はもがきながらもチームにフィットしようと懸命だった。
「うまくプレーができないという悔しさもあったが、一戦必勝でやってきて勝ってきてよかった」昨年逃したリーグ戦優勝を達成したことは、中田にとっても大きな成長を実感した瞬間だったではないだろうか。
「無駄な負けをせずに最後まで来れたことは大きな成長」田中真美子
最上級生として、高田とともにチームを支えたのは、中田と同じくセンタープレイヤーの#14田中真美子。「春に悔しい負けをして一戦一戦の試合を勝ち切ることの大切さを学び、チームとして意識した。無駄な負けをせずに最後まで来れたことは、大きな成長で自信になった」と2か月に及ぶリーグ戦を振り返った。
ほぼ優勝を手中に収めた状況で戦った、白鴎大、東京医療保健大との試合については「気持ち的に難しい試合が続いたが、インカレにつながるリーグ戦だと思っていた。倉石監督からも言われていた。2勝2敗で終わった4戦の内容を整理して、全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)に備えたい」と話す。
2年前も関東リーグ戦を制し、優勝候補と言われたインカレでは準決勝で東京医療保健大学に敗れベスト4に終わった。「あの時は勝ち切る力、泥臭さが足りていなかった」と当時の状況を語る。昨年はリーグ戦2位通過だったが、準々決勝で拓殖大学に敗れ6位に終わっていた。「インカレは負けたら終わりなので、一戦必勝がより大事になる」過去2大会の悔しい経験が、今回のリーグ戦のテーマ「一戦必勝」を生み出したのだろう。
最終戦の東京医療保健大学戦、立ち上がりは高田の得点などでリードを奪っていったが、2Qに入ってから徐々に点差を詰められた。さらに3Qは相手にスティールを許す展開が続き、得点には繋がらないというラッキーなこともあったが、クロスゲームに。しかし、4Qは持ち直し、75-72で逃げ切って最終戦を白星で終えた。「相手に助けられた部分はあったが、4Qはコートの中もコミュニケーションが取れていて、ベンチからも声が出ていたので、全員でつかんだ勝利だと思う」と手応えを掴んだ試合だった。
今度こそ日本一へ。2014年以来4年ぶりの「日本一奪還」に向けてしっかり準備をしてほしいところだ。