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京都ハンナリーズ・内海慎吾「自分を信じて全力でバスケットボールに取り組む」

Bリーグ・京都ハンナリーズ
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Ⓒマンティー・チダ

シーズンオフは苦難の連続だった京都ハンナリーズ

まもなく3シーズン目の開幕を迎えるBリーグ。今季シーズンオフ中のバスケットボール界では、良くも悪くも多くの出来事があった。

W杯アジア2次予選での日本代表の活躍と、スペイン開催のFIBAワールドカップに出場し、あと一歩でベスト8というところまで進出した女子の頑張りは良い出来事だ。

一方で、ジャカルタ開催の第18回アジア競技大会に出場した男子選手4名による買春行為と、チーム所属選手による窃盗事件があった。買春行為に及んだ4選手は1年間の公式戦出場停止処分を受け、窃盗事件で逮捕された選手はチームと契約解除になった。

この二つの事件で当事者を出してしまった京都ハンナリーズ(以下 京都)。京都は、2009年に創設され、2009-10シーズンからbjリーグに参戦。2011-12シーズンには浜口炎氏がヘッドコーチに就任し、就任1年目からbjリーグのプレーオフ、そしてファイナル進出を果たす。以後4シーズン中、3シーズンでファイナルに進出するなど、リーグの強豪チームとして歴史に名を残した。

2016年秋に発足したBリーグでは1部に所属し、2017-18シーズンでは西地区2位に入り、チャンピオンシップへ進出。しかし、残念ながら初戦でアルバルク東京に敗れてシーズンを終えている。

Bリーグ・京都ハンナリーズ

Ⓒマンティー・チダ

昨季リーグ戦終盤は形勢不利の中、川崎、A東京と死闘を展開

筆者は2012年1月からバスケットボールのメディアして活動をスタートさせた。最初の頃に良く取材をしていたチームの一つが京都だった。

当時は大阪在住で、現在も続けているバスケットボールラジオ番組(拠点が京都)の取材であり、その頃と変わらないのが浜口HC、一部のスタッフ、そして試合後に良く飲食をしていたブースターさん数名。試合後はブースターさんと試合の事やバスケのネタで盛り上がっていたことを思い出す。

現在でも活動の原点と言っても良いくらい思い入れはある。東京に移住しても、関東のアウェイゲームでは、できるだけ取材に行くようにしていた。Bリーグ初年度はチャンピオンシップ進出を果たせなかったが、昨季は早くから西地区2位を確保し、チャンピオンシップ出場を決めていた。故に、関東の強豪チームにどこまでできるのか期待しながら、4月28日川崎戦の取材に向かった。

この4月28日の川崎戦では、外国籍選手がジョシュア・スミス(現富山グラウジーズ)のみという中、一時は日本人選手だけで戦い、スモールラインナップを組んだ。4Qオフィシャルタイムアウトの時点では、川崎を6点リードする展開を作り、その後川崎に逆転負けを許したのだが、川崎の北卓也HCは「いい意味で嫌らしいチームになった」と話している。形勢不利ながら、名門チームと互角以上の戦いを繰り広げたと言えるのではないだろうか。

レギュラーシーズン最終節となった5月6日のアルバルク東京(以下A東京)戦では、司令塔の#3伊藤達哉や#9綿貫瞬、得点源のスミスらが不在という理由で急きょ、#91片岡大晴がポイントガードを務め、厳しい布陣で試合に臨んだ。粘りをみせ、リードをした立ち上がりだったのだが、2Qの初めにA東京#6馬場雄大がスティールからのダンクを沈めリードを許し、試合の主導権を渡してしまう。少ない選手の中で踏ん張りを見せたが、結局最後まで逆転することはできなかった。

いずれも敗れるという残念な結果だったものの、チーム形勢不利の中、選手全員が一丸となり「攻め」「守り」に徹底した昨季。オフシーズン中の不祥事によって厳しい環境のまま迎えることとなった今季開幕戦だが、昨季終盤の戦いぶりを振り返ると、色々なことが今期につながっているように感じる。

Bリーグ・京都ハンナリーズ

Ⓒマンティー・チダ

自分を信じて全力でバスケットボールに取り組む

先日開催されたBリーグティップオフカンファレンスの時に、キャプテンの#33内海慎吾が囲み取材に応じた。

今季のチームを漢字1文字で表す企画で、内海は「信」という文字を掲げた。「もう一度京都ハンナリーズがファンの皆様に応援してもらえるようなチームになれるように、チームメートを信じて、何よりも自分を信じて全力でバスケットボールに取り組む」という意味を「信」に込めたのだ。

ここに内海をはじめとする、京都ハンナリーズの総意を感じた。行動を共にした選手がこのような事件を起こしたことで、残された選手たちが動揺しないわけがなく「信じられない」という思いが本心だろう。そして一連の事件を受けて、「心が一番揺れたのは自分だ。ただ、ベテランの岡田(優介)・片岡・綿貫らのおかげで救われた。全員で引っ張っている」と話す内海。きっと彼らが発信できる精一杯のメッセージだろう。

これから力を入れたいことを内海に聞くと「5対5をしたい」と短く発言した。これは実戦形式の練習強化ということだ。2選手が離脱したことで選手人数が足らず、「5対5」の実戦練習不足だったようだ。もちろんこの発言に至るまでは、チーム全体や各選手のメンタル面を整えることも必要だっただろう。「5対5の実戦形式をどんどんしたい」ということは、チーム全体が前を進む準備ができたという証拠だ。

すぐそこまで開幕戦が迫っている中、実戦形式を積んでチーム調整していく京都ハンナリーズ。

「必ずいいチームになります」と言葉を結んだ内海。

様々な逆境を乗り越え「いいチーム」になった時、進化した京都ハンナリーズの活躍が大いに期待できる。

Bリーグ・京都ハンナリーズ

Ⓒマンティー・チダ