800メートル以上の高低差を駆け上る5区
箱根駅伝の見ものの一つが「山」だ。特に800メートル以上の高低差を駆け上る5区(23.4キロ)は「特殊区間」でタイム差がつきやすく、5区を制した大学が箱根を制した大会も何度かあった。
この5区で驚異的な走りをする選手を「山の神」と呼ぶようになっておよそ20年。過去の山の神と100回大会の山の神候補を紹介する。
箱根駅伝の見ものの一つが「山」だ。特に800メートル以上の高低差を駆け上る5区(23.4キロ)は「特殊区間」でタイム差がつきやすく、5区を制した大学が箱根を制した大会も何度かあった。
この5区で驚異的な走りをする選手を「山の神」と呼ぶようになっておよそ20年。過去の山の神と100回大会の山の神候補を紹介する。
山の神と呼ばれたランナーは過去に3人いる。最初に呼ばれたのは2005年大会で山上りの特性をいかんなく発揮した順大の今井正人だ。
1年生の時は2区(23.1キロ)を走って区間10位。2年生で5区を任されると、4年生まで毎年区間新記録をマークした(3年生から区間距離変更)。4年生ではチームを総合優勝に導いた。山上りに強い選手を「山の神」と呼ぶようになったのは、今井の走りからだ。
卒業後はトヨタ自動車九州に進み、世界陸上のマラソン代表にも選ばれた。39歳の今も現役として活躍する。
「2代目」は今井と同じ福島県出身の柏原竜二(東洋大)。3人いる山の神の中でも、最も驚異的な走りを見せたのは柏原かもしれない。
4年連続で5区を走った山の神は柏原のみ。4年連続区間賞を獲得し、うち3度は区間新。さらに、柏原在籍中に東洋大は初優勝を含む3度の総合優勝を果たした。
卒業後は富士通に進んだが、相次ぐ足の故障に悩まされ、2017年に引退した。
今や学生駅伝界をリードする青学大の箱根初優勝に貢献したのが、3代目となる神野大地だ。
5区を初めて走ったのは3年生の2015年。区間新をマークして、青学大を箱根初優勝に導いた。足の故障に悩まされた翌年は区間2位だったものの、青学大は2年連続で箱根を制した。
卒業後はコニカミノルタに進み、その後はプロランナーに転向。現在も現役として活動している。
100回大会で新たな山の神は誕生するのだろうか。その候補の筆頭は前回大会の5区で区間新をマークした城西大4年の山本唯翔だろう。
今季はまず、トラックで力を見せつけた。学生の世界大会「ワールドユニバーシティゲームズ」の1万メートルで銅メダルを獲得。世界で戦える力を示した。出雲駅伝と全日本大学駅伝はともにアンカーを任され、出雲は区間3位、全日本は区間5位だった。
前回の箱根で「山の妖精」とも呼ばれた山本は新潟県の山あいの町で育ったこともあり、100回大会も5区で走れば面白い存在であることは間違いない。ただ、本人はエースが集まる2区での走りを希望していると伝えられている。
「仮想・箱根駅伝5区」と呼ばれるレースがある。「激坂最速王決定戦」というレースで、箱根駅伝のコースとは違うものの、「登りの部(13.5キロ)」が行われ、例年いくつかの大学が出場する。
今年の大会は11月にあり、国士大4年の山本雷我が優勝した。福井県出身の山本は過去2年5区を走り、区間13位と11位だった。最終学年の今回は、5区の主役を狙う。
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