来年1月の本戦は3校増の計23大学出場
正月恒例の東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は2024年1月2、3日、第100回の記念大会として実施される。
やはり最大の注目は、今年10月14日に行われる予選会(東京・立川市)で全国の大学にも門戸を開いたことだろう。関西からは立命大が既に参戦を表明。招待参加した1964年以来60年ぶりの箱根出場を目指す。東海地区の愛知工大なども「関東勢の壁」に挑む見通しだ。
関東学生陸連は6月28日、第100回大会は出場枠を3校増の計23大学で実施すると発表。既にシード権を得ている10校の駒大(前回優勝)、中大(同2位)、青学大(同3位)、国学院大(同4位)、順大(同5位)、早大(同6位)、法大(同7位)、創価大(同8位)、城西大(同9位)、東洋大(同10位)に加え、予選会で出場権を獲得できる大学が10校から13校に増える形だ。
とはいえ「狭き門」に変わりはない。予選会は一斉スタートのハーフマラソン(21.0975キロ)に各校12人以内が出走し、上位10人の合計タイムで争うが、全国のどこの大学が選手層の分厚い関東の強豪校の壁を突破できるのかも大きな見どころになりそうだ。
戦前は関西大、戦後は福岡大も特別参加
箱根駅伝の歴史を振り返ると、2004年に日本学連選抜がオープン参加し、京産大、徳山大、立命大、岡山大など関東学連以外の選手も出場。総合で20チーム中6位相当と大健闘した。
戦前には関西大が3回、戦後の1964年には立命大、福岡大が「特別参加」した経緯もある。
一方、近年は箱根駅伝でしのぎを削る関東勢の強豪と全国の差が広がっている現実も横たわる。立命大は2022年11月の全日本大学駅伝(8区間106.8キロ)で18位。優勝した駒大から日大の15位まで関東勢が独占した大会で、実力差と課題を突き付けられた。
箱根の予選会では、さらに「長い距離」への適性も求められるため、チーム全体の底上げが急務。夏合宿が正念場となりそうだ。関東勢以外では全日本大学駅伝最上位の16位となった関西学院大も旋風を起こす可能性を秘めているだろう。
金栗四三が箱根駅伝の創設に尽力
箱根駅伝は1920年、マラソンの父と呼ばれる金栗四三らの「世界に通用するランナーを育成したい」との思いが創設につながった。
金栗は東京高師(現筑波大)の学生時代に日本が初参加した1912年ストックホルム五輪にマラソン代表として出場したものの、途中棄権に終わり、失意のまま帰国。当時は早大、慶大、明大、東京高師の4校が出場し「四大校駅伝競走」の名称でスタート。東京高師が優勝したのが歴史の始まりだ。
日本テレビが1987年に生中継を開始し、時代を超えてすっかりお茶の間にも浸透した箱根駅伝。節目の第100回では予選会を「全国化」する英断に踏み切り、通過すれば全国各地からも箱根駅伝を走る夢が広がる。
関東学生陸連によると、第101回大会は従来の出場枠に戻すとしているが、箱根駅伝の全国化は「世界に通用するランナー」の逸材を発掘する金栗四三の原点にも通じるもの。今大会の試みがさらなる箱根駅伝の発展への契機となるか世間の関心を集めそうだ。
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