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世界陸上の歴代日本人メダリスト一覧 トップアスリートが演じた感動の名場面

2023 8/28 06:00田村崇仁
北口榛花,Ⓒゲッティイメージズ

Ⓒゲッティイメージズ

2025年9月に東京世界陸上

陸上の世界選手権は、オリンピック以外では世界のアスリートが集う最大級のイベントだ。2025年9月には東京で開催され、全世界から熱視線が注がれる。

過去の大会でも数多くの名場面があり、名言が生まれた。歴代の日本人メダリストを振り返ってみたい。

世界陸上の歴代日本人メダリスト

1991年東京大会:谷口浩美が史上初の金メダル

1983年に行われた第1回ヘルシンキ大会、1987年の第2回ローマ大会はメダルなし。初めてのメダルは1991年の東京大会だった。

男子マラソンの谷口浩美が最終日に2時間14分57秒で優勝し、日本に五輪を通じても初の金メダルをもたらした。首を右に傾けた独特のピッチ走法で38km過ぎにスパート。ただ1人食い下がってきたアーメド・サラ(ジプチ)を上り坂で突き放す会心のレース運びで逃げ切った。

女子マラソンは山下佐知子が2時間29分57秒で銀メダルに輝いた。

2001年エドモントン大会:ハードラー為末大が新たな歴史

男子400m障害の為末大が新たな歴史の扉を開き、47秒89の日本新記録で銅メダルを獲得。男子トラック種目で日本選手のメダルは五輪、世界選手権を通じて史上初の快挙だった。

170cmの小柄なハードラーは序盤から積極果敢に飛ばし、最後の直線でも粘り腰を発揮。鍛え抜いた走力と圧巻のハードル技術で一世一代の勝負に打ち勝った。

2003年パリ大会:末続慎吾が日本短距離初のメダルで金字塔

男子200m決勝で末続慎吾が20秒38で米国勢に次いで3位に食い込み、銅メダルを獲得した。短距離での日本選手メダルは五輪、世界選手権を通じて初の快挙。忍者のような「すり足走法」で挑み、歴史的な金字塔を打ち立てた。

2007年大阪大会:土佐礼子が粘りの銅

酷暑と有力選手の不振が目立った地元大会で、女子マラソンの土佐礼子が2時間30分55秒で殊勲の銅メダルを獲得した。日本は目標のメダル5個を大きく下回り、土佐がこの大会唯一の日本選手メダリストとなった。

2009年ベルリン大会:男子やり投げの村上幸史が快挙の一投

男子やり投げで村上幸史が銅メダルを獲得し、五輪、世界選手権を通じて同種目の吉田雅美、溝口和洋らが立てなかった表彰台に日本選手で初めて立った。

全国の強豪高校からスカウトされるほどの実力だった野球少年。185cm、90㎏の恵まれた体格で決勝の2投目は低い軌道で伸びて82m97をマークした。

女子マラソンは初出場の尾崎好美が2時間25分25秒で銀メダルを獲得した。

2011年大邱大会:鉄人・室伏広治がハンマー投げ金

メダル1個と日本が厳しい現実を突きつけられた大会で、輝きを放ったのは男子ハンマー投げで金メダルを獲得した室伏広治だった。

36歳の年齢を感じさせないパワーと飽くなき探求心で進化する技術の完成度で81m24をマーク。7度目の世界陸上出場で、金メダルを獲得した2004年アテネ五輪以来の世界の頂点に立った。

感覚を研ぎ澄ますため投網やうちわを投げる創意工夫と、赤ちゃんの動きにもヒントを得る独創的な練習が生み出す熟練の技が輝きを放った。

2017年ロンドン大会:400mリレーで初の表彰台

男子400mリレーの日本は多田修平、飯塚翔太、桐生祥秀、藤光謙司で挑み、38秒04で銅メダル。世界陸上で初の表彰台となった。5連覇を狙ったジャマイカは最終走者のウサイン・ボルトが現役最後のレースで脚を痛めて倒れ、衝撃的な結末を迎えた。

2019年ドーハ大会:競歩勢でダブル金

高温多湿で途中棄権者が続出した中、日本は競歩勢が躍進。男子50㎞の鈴木雄介と20㎞の山西利和が初の金メダルに輝いた。

鈴木は「世界一美しい」とされる歩型で度重なる故障から完全復活を印象付け、京大工学部出身で探究心旺盛な山西は高校時代に世界ユース選手権で優勝した才能を開花させた。

2022年ユージン大会:女子やり投げの北口榛花、涙の銅メダル

新型コロナウイルス感染が相次ぐ中、日本は最多タイのメダル4個を獲得。その中でも特筆に値するのは女子やり投げの北口榛花で、3位に入って五輪を含めて女子の投てき種目で日本勢初のメダルを獲得した。最終投てきで渾身の63m27。「夢を叶えられた」と号泣してチェコ人コーチと喜びを分かち合った。

競歩勢の強さも健在で、男子20㎞は山西利和が日本選手初の2連覇を達成した。

2023年ブダペスト大会:北口榛花が史上初の金メダル

前年のユージン大会で銅メダルを獲得した女子やり投げの北口榛花は、決勝の最終投てきで66m73をマーク。日本の陸上女子フィールド種目では五輪、世界選手権を通じて史上初の金メダルに輝いた。

北口は翌年のパリ五輪でも金メダルを獲得。マラソン以外の陸上女子種目では初めての快挙だった。

また、ブダペスト大会男子35㎞競歩では川野将虎が銅メダル。北口とともに世界陸上2大会連続のメダルに輝いた。

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