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箱根駅伝は一騎打ち?優勝候補、駒大と青学大のキーマン

2021 12/25 06:00鰐淵恭市
イメージ画像ⒸChiccoDodiFC/Shutterstock.com
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駒大は全日本連覇、青学大は出雲、全日本とも2位

2022年1月2、3日に行われる第98回箱根駅伝は、連覇を目指す駒大と、過去10大会で5度の優勝を誇る青学大の一騎打ちの様相を呈している。登録メンバーの上位10人の1万メートルの平均タイムは駒大が28分24秒65でトップ、青学大が28分29秒39で2位と続いている。

駒大は箱根の前哨戦となる全日本大学駅伝で2連覇。一方の青学大は出雲、全日本とも2位で苦汁をなめている。そんな両校のキーマンを紹介する。

駒大・田澤廉、青学大・近藤幸太郎の両エースは花の2区で対決か

まず注目すべきは、両校のエースだろう。

駒大のエースは3年生で主将の田澤廉。1万メートルの自己ベスト27分23秒44は、日本人学生の歴代1位のタイムである。現役最強の日本人学生ランナーである。昨年の箱根はエースが集う2区(23.1キロ)で区間7位と、期待に応えたとは言いがたい走りだった。

青学大のエースは、こちらも3年生の近藤幸太郎。1万メートルの自己ベスト28分10秒50は青学大記録になる。昨年は7区(21.3キロ)で区間3位とまずまずの走りだった。

この2人、11月の全日本の7区(17.6キロ)で直接対決をしている。区間賞は田澤で50分36秒。近藤は50分54秒で区間2位だった。勝負としては田澤の勝ちだが、実力的に見れば、近藤が踏ん張ったと言える走りだった。

2人はほぼ同時にたすきを受けたものの、田澤が6キロ付近で近藤を引き離した。だが、その後は近藤が粘り、田澤は思った以上に引き離せなかった。そのことが、最終8区まで優勝争いがもつれることの原因になった。駒大の大八木弘明監督も「もう少し引き離してほしかった」という趣旨のコメントを残している。

田澤と近藤、箱根での直接対決はあるのか。田澤は2年連続の「花の2区」が濃厚だろう。近藤は突出したエースではないので、ほかの区間に回る可能性もあるが、本人は2区を希望している。同区間を走るとなれば、その結果がチームを勢いづかせることは間違いない。

青学大主将・飯田貴之の雪辱はなるか

青学大にはどうしても気になる選手がいる。主将の飯田貴之だ。飯田は全日本で2度悔し涙を流している。

一昨年はアンカーとしてトップでたすきを受けながら、東海大との競り合いに負けて2位だった。そして、今年もアンカーとして2位でたすきを受けると、トップの駒大と並走。雪辱を果たすかと思ったが、またしても競り合いに負け、8秒差の2位に終わった。

飯田は人目もはばからず号泣した。レース後の自身のツイッターでは「守りに入って、勝負に徹したのに、最後動きませんでした。らしくないレース運びに嫌気がさします」と語り、レース内容に悔いを残した。

一方で、箱根との相性はいい。1年生の時から8区(21.4キロ)、5区(20.8キロ)、9区(23.1キロ)を走り、いずれも区間2位。今回については、「1年目と3年目は優勝できなかった年でしたが、その年は往路が終わった時点で厳しい状況でした。今年は往路で貢献したいので、そういう意味では5区間全部が希望区間です」と語っており、山上りの5区を任される可能性が高い。

5区はタイム差が最も出やすい区間と言える。全日本で流した悔し涙を、うれし涙に変えられるか。

駒大・鈴木芽吹は故障の回復具合次第

駒大が連覇できるかどうかのキーマンは、田澤に次ぐエースで2年生の鈴木芽吹がどれだけ走れるかではないだろうか。

9月に右大腿骨疲労骨折のアクシデントに襲われ、出雲と全日本には出場できなかった。8人が走る全日本ではほかの選手でカバーできたが、10人で1人あたり約20キロを走る箱根では鈴木の力なくして、優勝はあり得ないだろう。

1万メートル自己ベストは27分41秒68で、今回の箱根の登録メンバー全体で見ても、日本選手の中では田澤に次いで2番目に速い。

長野・佐久長聖高時代に1年生で全国優勝を経験。駒大進学後は1年生の時に全日本3区(11.9キロ)で区間5位、箱根5区で区間4位とルーキーとしては上々の走りを見せた。今回も5区なら、青学大の主将飯田との対決もあり得る。今年の山上りも優勝争いを大きく左右しそうな予感だ。

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