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98回箱根駅伝1万m平均タイムランキング、トップは駒大、迫る青学大

2021 12/17 11:00鰐淵恭市
順天堂大の三浦龍司,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

田澤廉を擁する駒大は28分24秒65

2022年1月2、3日に行われる第98回箱根駅伝。発表されたエントリーメンバーの1万メートルのタイムから各大学の実力を探ってみた。

チームエントリーでは各大学16人が登録された。箱根では10人が走るので、大学ごとに1万メートルの記録上位10人の平均タイムを出し、ランキングにしてみた。

箱根駅伝1万メートルの上位10人平均タイム


1位は2連覇を目指す駒大である。1万メートルの平均が28分24秒65。なんと言っても、3年生で主将を務める田澤廉の力が大きい。12月になり、日本歴代2位となる27分23秒44をマーク。これは早大の大迫傑が2013年にマークした日本人学生記録の27分38秒31を8年ぶりに約15秒も更新するタイムでもある。

駒大では2年生の鈴木芽吹も27分台の記録を持っており、11月に行われた全日本大学駅伝に続く頂点を視界に入れている。

2位は駒大の対抗馬とみられている青学大で28分29秒39。駒大とは1人あたり5秒近く負けていることになる。一番速い近藤幸太郎で28分10秒50と、27分台で走る選手はいない。

それでもランキングで2位になるということは、選手の力が拮抗して、駒大よりも各選手の力にむらがないということになる。今季は出雲、全日本とも2位に甘んじてきたが、箱根では覇権奪回を目指す。

明大、早大の伝統校も上位に

28分30秒を切っているチームは駒大と青学大だけだが、両校に迫る大学はある。

28分40秒を切っているのが、明大、早大、創価大、中大、順大、東海大と6校もいる。特に明大は28分31秒18、早大は28分34秒38と青学大に迫るタイムである。

明大は予選会からのスタートとなったが、トップで通過したことからも分かるように地力がある。青学大同様、27分台で走るようなスピードランナーはいないが、穴は少ない。予選会の直後にある全日本では7位といま一つだったが、箱根にはきっちり合わせてくるだろう。

出雲、全日本で一時は上位をうかがう走りを見せた早大はなんと言っても、中谷雄飛、太田直希、井川龍人の27分台トリオの力が大きい。逆に言えば、選手間の力の差が大きいのも事実。28分台で走れる選手は3人しかいない。伊藤大志、石塚陽士の1年生コンビが使えるようだと面白くなるかもしれない。

前回大会で2位だった創価大はフィリップ・ムルワ、嶋津雄大ら5人の経験者がいるのが心強い。藤原正和監督が就任して6季目となる名門中大は復活の予感。全日本では10大会ぶりにシード権を獲得したが、箱根でも10大会ぶりのシード権が狙える力がある。

強豪東洋大は厳しい状況に

出雲を制した東京国際大は関東学生連合を含むランキングでは11位。イェゴン・ヴィンセントという「大砲」はいるものの、選手層ではいささか厳しいかもしれない。

気になったのは、上位の常連である東洋大。全日本では14年ぶりにシード権を逃したが、今回のランキングでも16位とふるわない。もちろん、箱根は1区間20キロ超を走るので、1万メートルのタイムがそのまま直結するわけではないが、厳しい状況であることがうかがえる順位である。

ハーフマラソンのトップは順大

なお、箱根の1区間の距離を考えれば、本来はハーフマラソンのタイムでランキングを作った方が、より実力を分析できる。ただ、ハーフマラソンは走る機会が限られており、実力のある選手のタイムがない場合もある。参考までにハーフマラソンによるランキングも作ってみた。

予選会がハーフマラソンになるので、シード権のない大学が上位にくる傾向がある。トップは東京五輪3000メートル障害7位入賞の三浦龍司を擁する順大となっている。

箱根駅伝ハーフマラソンの上位10人平均タイム

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