順大は全日本で20年ぶり3位
駒大の2連覇で幕を閉じた全日本大学駅伝。駒大と青学大の強さは前評判通りだったが、そのほかの勢力図には変化が見られた。古豪の復活があれば、近年の学生駅伝をリードしてきた強豪校がシード権を逃した。正月の箱根も、例年とは違う顔ぶれが優勝争いに絡むかもしれない。
全日本で駒大、青学大に続いて3位に入ったのが順大だった。長門俊介監督は「5位以内。あわよくば3位以内を目指していたので良かった」と喜んだ。
2000年度には学生駅伝3冠を達成した順大に「古豪」という呼び名は当てはまらないかもしれないが、全日本で3位以内に入るのは20年前の33回大会以来。箱根の優勝も「初代山の神」今井正人を擁した2007年以来遠ざかっている。
なんと言っても、東京五輪3000メートル障害で7位入賞を果たした三浦龍司の存在が大きい。全日本でも2区(11.1キロ)で区間賞を獲得。箱根は花の2区(23.1キロ)での起用もあり得る。順大が学生駅伝界の主役の座に、返り咲こうとしている。
中大は10年ぶりのシード権獲得
白地のユニホームに赤字の「C」。古豪中の古豪とも言える中大が復活ののろしをあげた。全日本ではシード圏内ぎりぎりとなる8位でフィニッシュ。10年ぶりのシード権獲得に藤原正和監督は「選手たちが頑張ってくれて10年ぶりにシードを取れて、ようやく一ついい思いをさせてあげられた。(アンカーの)手嶋駿のゴールの時は泣いてしまいました」と語った。
箱根駅伝では史上最多の14度の優勝を誇るものの、近年は3大駅伝の出場すらままならなかった。全日本は9年ぶりの出場。箱根も2017年は予選会を勝ち抜けなかった。
マラソンで世界選手権代表経験もある藤原正和監督が2016年に就任。ようやく結果が出始めた形だ。箱根でも2012年大会以来のシード権獲得を目指すことになる。
東洋大のシード権は13年連続で途切れる
古豪の復活の一方で、近年の学生駅伝界を引っ張ってきた強豪が、全日本ではまさかの結果に終わった。
6年前の優勝校でもある東洋大はシード圏内に52秒届かず、10位に終わった。東洋大は13年前の40回大会からシード権を守り続けてきたが、それが途切れてしまった。
4区(11.8キロ)でスーパールーキーの石田洸介が区間賞を獲得。5区(12.4キロ)を終えて5位と、シード権は間違いないと思われていたが、落とし穴はその後にあった。6区(12.8キロ)で菅野大輝が足のけいれんのために順位を落として9位に後退。7区(17.6キロ)でも力のある松山和希がさらに順位を二つ落とした。終盤での二つのブレーキが響いた形だ。
ただ、東洋大はメンバーに4年生が1人と将来を見据えた構成にしていた。箱根での逆襲を期待したい。
東海大は5年ぶりにシード落ち
もう1チーム意外な結果だったのが、2年前の優勝チームの東海大だ。東海大は過去4年で優勝1度、2位3度と全日本との相性はよかった。しかし、今回は12位。1度もシード圏内となる8位以内でたすきをつなぐことはできなかった。シード権を逃すのは5年ぶりになる。
区間2桁順位の選手が3人もいたのが響いた。特に最長区間となる8区(19.7キロ)で、10位でたすきを受けた竹村拓真が区間14位に沈んだのが痛かった。
東海大も東洋大同様に、4年生が少なく、出場した8人中2人しかいなかった。東海大も力のある選手がごっそりと抜け、新しいチームに生まれ変わろうとしている。箱根でどんな姿を見せてくれるだろうか。
【関連記事】
・箱根駅伝は大混戦!駒大、青学大軸も東京国際、順大、国学院も虎視眈々
・箱根駅伝初出場の駿河台大学の歴史や所在地、予備校との関係は?
・学生駅伝シーズン到来!注目は順大・三浦龍司と駒大・田澤廉