ダンディー・ユナイテッド戦では前半だけでハットトリック
セルティックFC(スコットランド)に所属する日本代表FW古橋亨梧が絶好調だ。
スコティッシュ・プレミアシップの開幕戦こそ得点はなかったが、第2節のロス・カウンティFC戦で先制点を奪いシーズン初ゴールを決めると、第3節、第4節といずれも先制点を奪取。さらに第5節のダンディー・ユナイテッド戦では、前半だけで3得点を挙げハットトリックを達成した。
これで開幕5試合で6得点。得点ランキングトップに浮上した。第2節以降はすべての試合で先制点を奪っており、全勝で首位に立つセルティックをけん引している。
古橋の武器と得点を重ねられる理由
古橋といえば、最もわかりやすい武器はスピードだろう。50m5秒8ともいわれるスプリント能力を発揮し、DFの背後を突くシーンはよくみられる光景だ。
それに加えて、スタミナも兼備する。ヴィッセル神戸に所属していた2021年のJ1リーグでは、1試合のスプリント回数でリーグ5位(53回)を記録した。
つまり短距離がただ速いだけでなく何度も繰り返し走れるため、1試合で何度もチャンスに絡める上、守備面でも大きく貢献できるのだ。
またFC岐阜に所属していたプロ2年目以降、Jリーグで4年連続2桁得点を記録。セルティック1年目の2021-22シーズンでもリーグ戦で12得点を決めているように、得点能力も優れている。
安定して得点を決められる理由の1つは、ボールを呼び込む際の身体の向きにある。古橋がゴール近くでボールを受ける際、身体の向きはほぼ常にゴール方向。だからこそボールが来た際に、素早くシュート体勢に持ち込めている。
W杯でドイツ、スペイン相手にカウンターを決める秘策になるか
セルティックで圧巻の活躍をみせる古橋には、11月開幕のカタールW杯を控える、日本代表での活躍に期待が集まる。ドイツ、スペインと同組のグループEに入った日本がグループリーグを突破するには、世界屈指の強豪から得点を奪う必要がある。
そのために参考にしたいのが、2012年に開催されたロンドンオリンピックのU-23日本代表だ。初戦で優勝候補とされていたスペインと対戦した日本は、大津祐樹の得点で1-0の金星を挙げた。この試合でスペインの守備陣を決壊させたのが、永井謙佑(現名古屋グランパス)を中心とする攻撃陣だった。
スピードとスタミナを兼ね備える永井を最前線に配置し、連動したプレスでスペインのビルドアップを制限していく。そしてボールを奪うとすぐに永井がスペイン守備陣の背後を突き、DFイニゴ・マルティネス(現アスレティック・ビルバオ=スペイン)を退場に追い込むなど何度も決定機を作った。
カタールW杯で戦うドイツにせよスペインにせよ、ボールをつなぐ能力は日本を凌駕する。だからこそ狙いたいのが、連動した守備からスペースを突く速攻だ。
日本代表にはすでに、右に伊東純也(現スタッド・ランス=フランス)というスピードスターがいる。さらに最前線に古橋を配置した陣形ならば、世界を驚かす可能性は高まるのではないだろうか。
今季の活躍次第では5大リーグ参戦も見えてくる
古橋が所属する今季のセルティックは、スコティッシュ・プレミアシップの優勝と同時に、UEFA欧州チャンピオンズリーグ(CL)での躍進も目指している。
8月25日に行われた組み合わせ抽選会でF組に入り、RBライプツィヒ(ドイツ)、FCシャフタール・ドネツク(ウクライナ)、そしてレアル・マドリード(スペイン)と同組に。セルティックにとって2012-13シーズン以来の決勝トーナメント進出は大きな目標であり、レアル・マドリードをはじめ欧州の列強を倒すために古橋の得点は欠かせない。
セルティックでは2006-07シーズンのCLで、中村俊輔(現横浜FC)がマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を相手に2試合で2発の直接FKを決めた。この活躍もあってセルティックは決勝トーナメント進出を果たし、中村俊輔はクラブのレジェンドとなった。
古橋もまた、レジェンドの仲間入りを果たすような活躍をみせられるだろうか。その暁には、5大リーグ参戦というさらなる道筋が見えてくるはずだ。
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