結婚して、よりサッカーに集中できる環境に
サッカー日本代表の三笘薫(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC/イングランド)が7月3日、自身のインスタグラムで入籍したことを発表した。筑波大学時代から交際していた女性との結婚によって私生活はより安定し、充実するだろう。
三笘は2021-22シーズン、期限付き移籍で所属したユニオン・サン=ジロワーズ(ベルギー)でリーグ戦27試合7得点。日本代表よりもやや後ろの左WBのポジションで、守備のタスクが増えながら残したこの数字は立派だろう。7日には所属元のブライトンへの復帰が発表されたことからも、ブライトン側が昨シーズンの結果と内容に満足していることがよくわかる。
来季はいよいよ、世界最高峰のイングランド・プレミアリーグへと挑戦する。これまで数多くの日本人がプレーしてきたが、これほど個の攻撃能力を引っさげて挑戦した選手はおらず、ワクワクする気持ちはつのるばかりだ。
これまでの日本人ドリブラーと三笘薫の大きな違い
三笘薫についてよく話題にのぼるのが、なぜあれほど突破できるのか、ということ。日本にはこれまでも、数々のドリブラーがいた。松井大輔や乾貴士、現在の日本代表では伊東純也が代表格だろう。
いずれもスピードまたはテクニックに優れ、スタンドを沸かせる力を持つ、言うまでもなく優れた選手たちだ。だが三笘からは、彼らを一気に抜き去るだけのものを感じさせる。なにが異なるのだろうか。
ドリブラーにはいくつかの種類がある。スピードで突破するタイプ、相手の動きの逆を突き突破するタイプ、フェイントを駆使してテクニックで突破するタイプ、などだ。上記の選手でいえば、伊東純也はスピードタイプ、乾貴士は逆を取るタイプ、松井大輔はテクニックタイプといえる。
世界的な選手ともなると複数を兼ね備え、組み合わせて突破していく。近年の選手であれば、リオネル・メッシやネイマール(いずれもパリ・サンジェルマン/フランス)はこれらのすべての要素を持つ最高峰の選手だろう。
日本人でメッシやネイマールのような選手を挙げるのは難しい。ところがそこに現れたのが、三笘だ。スピードがありながらも緩急の付け方が巧みで、細かなフェイントを入れながら常にパスの選択肢も持っている。そのため相手は飛び込めず、いとも簡単に突破されたように見える。
もちろんそれぞれは、FCバルセロナ(スペイン)で世界中のDFをきりきり舞いさせていた頃のメッシらと比べると若干荒削りではある。だが三笘はこれからも、向上し続けるに違いない。なぜならば筑波大学時代、川崎フロンターレ時代、そしてロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ時代と、彼のプレーは少しずつ洗練されてきたからだ。
時間かかっても、いずれ適応?
イングランド・プレミアリーグは間違いなく、世界一タフなリーグだ。その中で三笘には、これまでに対峙したことがないほど屈強なDFと向かい合い、そして突破していくことが求められる。
ベルギーではすぐに結果を残したとはいえ、プレミアリーグに適応するまで少し時間がかかるかもしれない。それでも、ブライトンサポーターに愛されるだけの活躍をみせると予想する。
個の力ばかりが注目される三笘だが、本来は周囲との連携を見せ、フリーの選手がいれば躊躇なくパスを選択する選手だ。ブライトンでは周囲からの信頼を得るにつれ、そして昨シーズンのようにリーグに適応するにつれ、プレーの質を向上させていくだろう。
何かを大きく変える必要はない。毎シーズン少しずつアップデートを続け日本代表に定着した三笘が、ブライトンで活躍するためのカギは、これまでの延長線上にある。
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