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スペインで天皇杯優勝の報告、遅れてやってきたイニエスタのクリスマス休暇

2020 1/18 11:00Takuya Nagata
ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタⒸSPAIA

Ⓒゲッティイメージズ

バルセロナで英気養う、ASICSストアで子どもたちと交流

令和二年の元旦に決勝が行われた天皇杯に見事に優勝し、ヴィッセル神戸をクラブ史上初のメジャータイトルに導いたアンドレス・イニエスタ。長いシーズンを終えてスペインに帰郷し、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)にも出場する2020シーズンに向け英気を養っている。つかの間の休息だ。

1月9日は、契約を結びスパイク開発等のアドバイスを行っているASICSのバルセロナ店で開催された「イニエスタとアシックスのブランド親和性を語るイベント」に参加し、子供たちと交流。

「恋しくなったスペイン料理は?」という素朴な質問には「ハムかな。でも日本も寿司など食べ物が美味しいよ。スポーツ選手はパスタやプロテインといった食生活だけどね」とリラックスムード。

重圧に打ち勝ち初タイトル獲得、晴れ晴れの表情

イニエスタは深く呼吸してこう発した。「今は現実から隔絶した時間を過ごしている。天皇杯に優勝できてとても嬉しい。ヴィッセル神戸のクラブ初タイトルなんだ」

その表情は非常に晴れ晴れとし、喜びと充実感に溢れるものだった。

2018年のシーズン途中からヴィッセル神戸に加入したイニエスタ。2019年は準備期間が十分にあったので言い訳ができない年だったが、ヴィッセル神戸は開幕から大苦戦を強いられる。リーグ戦とカップ戦あわせてよもやの9連敗を喫し、シーズン中にスペイン人フアン・マヌエル・リージョ氏と吉田孝行氏とドイツ人のトルステン・フィンク氏の3人が指揮をとるという監督交代劇もあった。

2019年にJリーグは、総入場者数で過去最多の1140万1649人を記録。J1の試合平均入場者数は20,751人で、Jリーグ史上初めて2万人を超えた。ヴィッセル神戸の試合には行く先々でファンが押しかけ、イニエスタが負傷欠場すればその期待は大きなため息に変わった。

“イニエスタの神戸”の試合は、スペインメディアでも大きく報道じられた。年俸はJリーグで飛び抜けた金額、33億円にものぼると言われている。スター軍団FCバルセロナにいた時とは異なり、イニエスタ一人の肩には想像を絶する程の大きな重圧がかかっていた。このプレッシャーに打ち勝ち、クラブ初タイトルという大きな成果をもたらしたイニエスタは、達成感に満ちていた。

クラブW杯で神戸がバルセロナと対戦する可能性も

2020年はいよいよ、イニエスタがヴィッセル神戸と共にアジアの国際大会にデビューする。ACLグループGで神戸は、水原三星(韓国)、広州恒大(中国)、ジョホールダルル・タクジム(マレーシア)と対戦することになる。

「天皇杯・決勝戦の後に、シャビ(元FCバルセロナ)から優勝を祝福するメッセージが届いた。チャンピオンズリーグ(ACL)に出場できるなんて思いもよらなかった。我々にとって大きなニュースで、この冒険を楽しみたい」と語るイニエスタ。

ACLでは、中東や中国のクラブが大物外国人を補強しているのが目につく。日本勢はアジアで勝てない時期が続き、Jリーグも全面的なバックアップ体制を敷いた。そして徐々に、Jクラブがコンスタントにアジアで存在感を示すことが出来るようになってきた。ここにきて神戸がACLに出場することで、“日本にイニエスタあり”をアジアにアピールできる。

ユース時代に加入して以来、心情的に「ずっとプレーしてきたFCバルセロナと対戦したくない」という理由から、欧州の外にある日本にやってきた。しかしもしかすると、クラブワールドカップでイニエスタとバルサが対戦するという夢のような話も現実のものになるかもしれない。

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