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2020年、J2から個人昇格を果たした注目の4人

2020 1/18 06:00中山亮
サッカーイメージ画像ⒸSPAIA

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ディビジョン間の移籍が活発化

ここ数年のJリーグの移籍市場で活発に行われるようになったのがJ1クラブによるJ2、J3選手の獲得。「個人昇格」と呼ばれるものだ。昨季開幕前に琉球から横浜FMに移籍した朴一圭が守護神としてJ1制覇の原動力になるなど大きな成功を収める選手も珍しくなくなってきた。

そこで2020年の新シーズンに「個人昇格」を決めたJ1初挑戦の選手の中から、特に期待が集まる4名の選手を紹介しよう。

高精度のシュートで得点王 レオナルド(新潟→浦和)

今季の浦和最注目の補強はJ2得点王レオナルドの獲得だろう。 一昨季はJ3の鳥取に加入し1年目でJ3得点王を獲得。すぐにJ2の新潟へと個人昇格を果たすと、さらにJ2得点王となったことでJ1の浦和へ。一気にトップディビジョンにまで駆け上がった。

レオナルドの得点力を支えているのがシュート技術の高さ。シュート数はJ2全選手の中で8番目となる89本だが、枠内シュート数はリーグ3位の54本。シュート決定率も10得点以上記録した選手の中では2番目に高い31.5%を記録している。

またアタッキングサードでというよりもゴール前で勝負をすることを好み、ペナルティエリア内でのパスレシーブがリーグ5位、ペナルティエリア内でのプレー数もリーグ5位の数字を記録した。

ワンタッチゴールも多いが、得意なのはドリブルからシュートというパターン。ドリブル数自体は24位と決して多くはないが、ドリブルからシュートに持ち込んだ数はリーグ2位の30回。持ち出してシュートという形を得意としている。

ドリブルからの幅広いプレーが魅力 仙頭啓矢(京都→横浜FM)

京都サンガの右サイドを支えたプロ4年目のサイドアタッカー仙頭啓矢は、J1王者・横浜FMへの移籍が決定した。

武器の一つはドリブルで、リーグ7位の118回を記録。しかし単純なドリブラーというわけではなく、ドリブル後のプレーはクロス、スルーパス、ショートパスと様々なバリエーションを持っている。

ウイングポジションだけでなく1つ内側のインサイドハーフとしてもプレーできる器用さもあり、シュートに繋がるラストパスの本数はリーグ10位となる47本を記録した。

シュートへの意識も高く、ドリブルからクロスに持ち込んだ回数はリーグ12位となる38回だが、ドリブルからシュートへ持ち込んだプレーがリーグ1位の31回。右利きの右サイドアタッカーとしては異例の数字である。

横浜FMの右サイドには2019年に大ブレイクを果たした仲川輝人がいるが、仙頭は仲川よりもプレーの選択肢が広く、新たな右サイドアタッカーのブレイクが期待される。

J2ナンバーワンのドリブラー坂元達裕(山形→C大阪)

坂元達裕は山形のストロングポイントとなっていた右サイド。ここで躍動を見せた左利きのアタッカーが大卒1年目のシーズンを終えJ1のチャンスを掴んだ。左利きの右サイドアタッカーを求めていたC大阪にとってはまさにドンピシャの選手だったといえる。

最大の特徴はドリブル。リーグ3位の147回を記録しドリブル成功数86回はリーグ2位。左利きのドリブラーとしてはJ2ナンバーワンの成績を残している。

また右サイドでプレーする左利きの選手ながらドリブルからクロスに持ち込む回数もリーグ8位の48回を記録。左利きの選手にしては珍しく右足でのプレーも苦にしないようでクロス自体も左足よりも右足が多い。とはいえもちろん得意としているのは左利きを活かしてのカットイン。ドリブルでのペナルティエリア侵入回数22回はリーグ6位の成績となっている。

ただし得点パターンとしてはドリブルからというよりもパスを受けてという形が多く、7得点中3得点が30m以内のショートパスを受けてのものとなっている。

陸空に立ちはだかる壁 菊池流帆(山口→神戸)

今季から神戸へと移籍する菊池流帆は、青森山田高校から大阪体育大学を経て2019年に山口に加入した。開幕はベンチで迎えることとなったが第5節に訪れた初先発でチャンスを掴み、以降は最終ラインの壁として対戦相手に立ちはだかった。2020年は神戸へと移籍、スター軍団の一員となる。

空中戦を得意とし、シーズン通算239回はリーグ13位。勝率71.1 %は100回以上空中戦を記録した選手の中では4番目の記録である。また地上戦でも強さを発揮しておりタックル数140はリーグ2位。さらにディフェンシブサードでのタックル成功(ボール奪取数)はリーグナンバーワンの60回を記録した。

神戸の戦い方は攻撃的な選手を多く起用する分、ディフェンスでは個人で止める能力が必要とされる。スピード・強さ・高さを兼ね備えた菊池のプレーはその基準をクリアしていると判断されたのだろう。

また山口加入時にはビルドアップは苦手と語っていたが、自陣からのパス能力も求められる山口でチャレンジした結果、自陣からのパスでリーグ20位の1791本を記録。成功率76.6%は高くはないがまずまずといったところか。

向上心とチャレンジ精神の豊富な選手なので神戸で揉まれることでさらに向上する可能性もある。まだまだ荒削りだがスケールの大きさを感じさせるプレーヤーだ。

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