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Jリーグにもグローバル時代の競争の波

2020 1/1 11:00Takuya Nagata
サッカー_横浜Fマリノス対マンチェスター・シティの試合Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

横浜F・マリノスがCFG入りし15年ぶりJ優勝、世界最高水準のクラブ運営

横浜F・マリノスが最終節で2位のFC東京との直接対決を制し、J1優勝を決めた。4回目のJ優勝は、実に15年ぶり。その上昇の契機となったのが、2014年にイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティの持株会社であるシティ・フットボール・グループ(CFG)入りしたことだ。

それまで横浜F・マリノスは前身の日産自動車が経営を掌握していたが、CFGが20%の株式を取得したことで変化が起こった。世界最高峰のプレミアリーグを戦っているクラブのノウハウ、情報、データが惜しげもなく提供されることになったのだ。

近年、あらゆる事業を行う上で、ビッグデータが大きなものを言う時代に突入している。世界各地のクラブを傘下に置くことで、CFGには世界中のサッカーの現場で取得した膨大な情報が集積されることになった。どこにどの様な選手がいるのか、といったことから各国リーグの事情、クラブ経営といったことまで、つぶさに把握している。

自動車業界は、国際競争力を維持するために、提携、合併等による再編が進んできた。マリノスの母体、日産自動車もその例外ではなく、ルノー・日産・三菱アライアンスを形成している。

経営を統合して、国際競争力を高めるというのは、ビジネスの世界では、よく見られる。CFGは、まさにサッカー界の国際アライアンスだ。グローバル経済で勝ち抜くためのトレンドが、日本サッカー界でも威力を発揮したことを、横浜FMの優勝は示唆している。

絶対君主のいる各国リーグと戦国のJリーグ、今後の覇権はどうなる?

多くの国のリーグでは少数のクラブが優勝を独占している。クラブ格差は拡大し、階層化が顕著化してきている。毎年優勝争いをするクラブは大体決まっており、経済的にも豊かだというのが世界の常識だ。

しかし、これまでの日本に限ってはそれが当てはまらなかった。Jリーグ創設当時、常勝軍団となった鹿島アントラーズのことを、事情を知らない海外の人々は相当に裕福なクラブだと思い込んでいた。好成績を収め続けることで確かに経済的にも潤ったが、クラブの基盤となる地域は大きな湖のある地方の小さな町で、母体となった住友金属は日本リーグ時代2部が主戦場だった。

鹿島がやや力を落とした後も、絶対的な力を持つクラブは無く、優勝予想が非常に難しいリーグだ。これはJリーグの面白いところでもあるが、各クラブに戦力や資金が分散することで、国際的な競争ではウィークポイントにもなりえる。

サッカーの人間臭さが消されビジネス色が強まる

何もないような所に、神様ジーコが降臨し、街を創造したという物語がJリーグを象徴するものだった。いい意味で、人間臭さがあった。スポーツのスター選手というのは、まさに人間臭さの塊そのものだろう。

一方で、サッカーは巨大なマネーが動くビジネスであることも、また確かだ。競争を勝ち抜くためには、ビジネスマインドも必要だ。Jリーグというサッカー文化が、グローバル経済の波に呑み込まれていく。そんな光景を今、私達は目の当たりにしているのかもしれない。

クラブ間の関係はどんどんグローバルになり、日本と世界のつながりも深まっている。欧州に移籍する日本人選手の増加もその一つだ。横浜FMの優勝は、サッカー界のグローバル・スタンダードが、日本で始めて大きな成功を収めた例と位置づけることが出来るだろう。

東の端にある日本のサッカーを今後、世界的なサッカー財閥が支配していくのだろうか。そして他のクラブは、どの様な方法で対抗していくのか。創設されて四半世紀が過ぎ、やや停滞期に差し掛かっている感があるJリーグだが、ここにきてグローバル時代の競争という新たな風が吹き始めている。

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