岡山が勝てばJ1初昇格、仙台なら4年ぶり復帰
2024年のJ1昇格プレーオフ決勝が7日に行われる。J2リーグ5位だったファジアーノ岡山がホーム・シティライトスタジアムで6位ベガルタ仙台と激突。勝った方が来季J1に昇格する。
準決勝は、J2で勝ち点75を挙げて3位だったV・ファーレン長崎がホームで仙台に1-4と完敗。4位モンテディオ山形もホームで岡山に0-3で敗れる波乱の結果となった。決勝で岡山が勝てば悲願のJ1初昇格、仙台が勝てば4年ぶりのJ1復帰となる。
試合は延長戦なしの90分間で、引き分けになった場合はリーグ戦上位クラブの岡山が勝者となる。ビデオアシスタントレフェリー(VAR)も導入される。
堅守の岡山、カギは先制点
改めてJ2での今季成績を比較してみよう。
勝ち点は1、得点も2しか差はないが、大きく違うのは失点だ。岡山は29失点、仙台は44失点と15点差もある。
引き分けなら上位の岡山がJ1昇格となることを考えると、先制点の持つ意味は極めて大きい。敵地に乗り込む仙台・森山佳郎監督は悩ましげな口調で語った。
「先制点を献上してしまうと難しい状態になる。岡山さんは圧力が強く、セットプレーからの得点がJ2でナンバーワンなので、我慢を強いられる展開になる。守備の堅い岡山さんをどう攻めようか思案している」
一方の岡山はすでに当日のチケットが完売。初昇格へ地元の気運は最高潮だ。
しかし、準決勝ではホームで戦った長崎と山形の上位チームが敗退。受けて立つと足元をすくわれることは、木山隆之監督はじめ、選手全員が身をもって知っている。
「最初の得点はかなり大きなウェイトを占める。だからと言ってそこだけにフォーカスするのではなく、90分を通して自分たちのプレーを出し続ける。1年間、昇格を目指す上でチャレンジャーだと言い続けてきた。そのスタンスはチームに染みついてるんで変わることはない。仙台さんに向かっていく。ホームのアドバンテージは関係ない」と指揮官は気を引き締めた。
2年前もプレーオフで敗退
ファジアーノ岡山は川崎製鉄水島サッカー部OBによって創設されたリバー・フリー・キッカーズが前身で、2008年にJFLで4位となり、2009年からJ2に参戦した。
1年目は18チーム中18位、2年目の2010年も19チーム中17位と苦しいスタートだったが、徐々に力をつけ、2016年に6位に入ってJ1昇格プレーオフ初進出。準決勝で松本山雅FCを下したが決勝でセレッソ大阪に敗れ、J1昇格を逃した。
木山新監督を迎えた2022年にも3位に入ってJ1参入プレーオフに進出したものの1回戦敗退。微笑みかけては逃げていく勝利の女神を今度こそ振り返らせたい。その思いは岡山県民共通の願いでもある。
MF竹内涼は清水エスパルスから今季加入したばかりだが、小学生の子供を迎えに学校に行くと、多くの児童や保護者から必ず激励されるという。「いろんな方が頑張ってくださいと声をかけてくれる。それは今、昇格のチャンスがあるからじゃなくて、この1年ずっとです。最後まで一緒に戦い、必ず勝ってJ1に上がりたい」と話す目は真剣だ。
千葉、愛媛、山形、岡山で4度プレーオフ敗退の木山監督
木山監督にとっては、指揮官として自身5度目のプレーオフ。ジェフユナイテッド市原・千葉を率いた2012年を皮切りに、2014年は愛媛FC、2016年はモンテディオ山形、そして2022年の岡山と過去4度はいずれもJ1昇格を果たせていない。
「最初のプレーオフはジェフの監督でした。決勝で大分さんに0-1で負けた。もう12年前だが、大きな一戦だった。今回、岡山では2回目だが、前回はどこか足りない気持ちもありながら戦っていた。そこから2年間、昇格だけを見据えて戦ってきたので、その時とは大きく違う」
穏やかな表情ながら言葉には力を込もっていた。さらにこう続けた。
「今回は(昇格を)取り切るんだという思い。リスペクトを持ちながらぶつかっていきたい。J1への扉を開けるのが私にとっての使命だと感じている。力を合わせて全てを出し切る覚悟で戦う」
指揮官が目指す“5度目の正直”は、岡山県民の悲願でもある。「晴れの国」にJ1の光は差し込むか。気まぐれな勝利の女神も固唾を呑んで見守っている。
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