7戦未勝利で三浦淳寛監督を解任
明治安田生命J1リーグは2月18日に開幕した。現在は国際Aマッチウイークでリーグ戦は中断されている。この期間に修正点や改善点を洗い出し、4月1日からのリーグ再開で勝ち点を重ねていけるか。ここまでの関西J1チームのリーグ戦を「1カ月検診」と称し、各クラブの「ストロングポイント」と“ウイークポイント”をデータで検証する。
第1回は3月20日付で三浦淳寛監督を解任し、パワハラ問題でS級ライセンスの資格停止処分を受けている永井秀樹氏をスポーツダイレクター(SD)に招聘した“揺れる”ヴィッセル神戸に焦点を当てた。
昨季からのストロングポイントは継続されている「強み」
昨季はクラブ最高成績の3位。今季はクラブ初のリーグ優勝を期待されてのスタートとなったが、リーグ開幕から7試合勝ち星なく3得点9失点の16位。三浦監督との契約解除に踏み切った。
戦い方自体は昨年と変わっていない。元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタやMFセルジ・サンペールらを中心としたパスサッカーは継続(パス成功率79.8%)され、ボールポゼッション率59.1%はJ1トップを誇っている。
またボールロスト後はすぐに奪い返しにいっているようにネガティブトランジション(攻撃から守備の切り替えスピード)も速く(5秒以内リゲイン率20.3%、10秒以内リゲイン率38.9%)、こぼれ球奪取率も53%で全体2位。被パス成功率69.6%もJ1トップで、昨季1試合平均0.94失点を誇った守備の強さは健在だ。つまり多くの時間帯でボールを握っていることになる。

「弱み」はやはり「決定力」
ただサッカーはボールをキープするスポーツではない。得点数を見れば分かるように、やはり課題は「決定力」の一点に尽きる。
もちろん同情の余地はある。昨季途中加入で14試合5得点8アシストを叩き出したFW武藤嘉紀がシーズン序盤に左膝内側側副靱帯損傷で離脱。FW大迫勇也も右足裂傷でリーグ戦2試合欠場をするハメになった。開幕からリーグ4試合連続で“エアバトラー”DF菊池流帆も不在だった。
攻守のキーマンが揃わない影響は大きいが、シュート決定率はJ1最下位の4.3%、シュート枠内率も同15位の34.3%、敵陣空中戦勝率43.3%も同15位で寂しい。
またボールポゼッション率が高い割に被シュート本数はJ1ワースト82本。そもそも7試合9失点は決して悪い数字ではないが、ここを修正すればさらに失点リスクも減るだろう。

改善ポイント
クラブによると、当面はリュイス監督が暫定的に指揮を執るという。バルセロナ出身のスペイン人指揮官はJ3今治を指揮した2020年は柔軟なスタイルでゴールを狙うスタイルを体現し、リーグ7位の成績を残した。
初のJ1クラブ指揮となるが、これまでのヴィッセル神戸のスタイルから大きく方針転換する必要性はないだろう。大事なのは三浦淳寛前監督が残したパスサッカーを継承しつつ、ゴール前での決定力を「属人的」ではなく「組織的」に高めること。それだけで一気に浮上する可能性は秘めている。
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