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新戦力台頭のセレッソ大阪「1カ月検診」浮上の可能性をデータで検証

2022 3/30 06:00木村健
セレッソ大阪の清武弘嗣,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

1勝3分け1敗で8位

明治安田生命J1リーグは2月18日に開幕した。現在は国際Aマッチウイークでリーグ戦は中断されている。この期間に修正点や改善点を洗い出し、4月1日からのリーグ再開で勝ち点を重ねていけるか。ここまでの関西J1チームのリーグ戦を「1カ月検診」と称し、各クラブの「ストロングポイント」と「ウイークポイント」をデータで検証する。

最終回の第4回は17歳のFW北野颯太やU-21代表DF西尾隆矢ら若手の台頭が目立つセレッソ大阪。ここまで5試合を終えて1勝3分け1敗で8位だが、リーグ3位以内を今季目標に掲げる中、昨季からの上積みはできているのか。

「速さ」が目立つ攻撃陣

リーグ5試合8得点。全て得点者が違うように、様々な選手がゴールを奪える攻撃のバリエーションがある。

チーム全体の攻撃では「速さ」に関連する項目が高いのが目を引く。例えばボールゲインからシュートに至るまでの人数はリーグ2位の3.9人。シュートまでに要する平均時間は同6位の14秒1。ともに名古屋グランパスがトップ数値だが、セレッソ大阪はリーグ4位のシュート枠内率(47.3%)と同2位の決定力(18.4%)を誇っているのも見逃せない。

そして、こぼれ球奪取率52.9%(3位)とスルーパス成功率51.3%(5位)は出足の速さに起因。ロングカウンターを仕掛ける回数も41回(2位)で、ボールを奪ったらまず前方に矢印を向ける意識が共有されているといえよう。

またGKセーブ率は5位の76.7%。例年通り、キムジンヒョンは安定しているのも心強い。

セレッソ大阪の「1カ月検診」

昨年までの強み「クロス」が発揮し切れていない…

ただ「速さ」と引き替えに、昨年までの強みだった部分が落ちているのも事実だ。

昨年全体5位のクロス成功率(23.9%)が、今季ここまで19.7%(14位)と低迷。今季はサイドアタッカーを多く獲得したが、まだ狙いが発揮されているとはいいがたい。

全体でのパス成功率も昨年の78.6%から下がって72.5%(15位)に留まっている。縦にチャレンジする回数が増える分、やはりミスは表裏一体(アタッキングサードでのパス成功率は15位の67.8%)。その後のボールリゲイン率(5秒未満は17位の14.3%、10秒未満は14位の31.6%)が低いだけに、遅攻と速攻のメリハリは今後必要になってくるだろう。

またクリア、ブロック、インタセプトの総称「CBI」も195回で17位。特にインタセプト回数8回はJ1全体16位となっており、個々のプレスバックは速いがチーム全体での守備のハメ方が整っていないともいえよう。

セレッソ大阪の「1カ月検診」

弱みを補える新戦力の存在

推進力を持った攻撃でクロスへの物足りなさがあるが、試合数を消化するごとに新戦力の台頭が目立っている。左サイドバックの山中亮輔はリーグ戦中断前のラスト2試合で連続フル出場。右サイドバックの毎熊晟矢は3月26日のルヴァン杯・大分トリニータ戦で4得点に絡む活躍を見せた。MF中原輝も存在感を強めているだけに、今後はクロス成功率も上昇していく可能性は十分にある。

またCBI向上で期待されるのはマテイヨニッチ。2月に中国から復帰したDFリーダーは4月のリーグ戦から出場する見込みとなっている。彼らがより融合を果たせば、攻守で拡がりを見せた戦いができるようになるはずだ。

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