メキシコ、南アフリカ、フランスと同組
東京五輪のサッカー日本代表はメキシコ、南アフリカ、フランスと同組に決まった。
ロンドン五輪金メダルのメキシコや、2018年ロシアワールドカップ優勝のフランスが同じグループとなったことで「死の組」とも伝えられた組み合わせ。いずれも各世代でも強豪国と知られ、日本にとって大きな壁となる事は間違いない。
だが、決してネガティブな要素ばかりではない。今回同組となった3カ国のうち、初戦の相手となる南アフリカにはシドニー五輪で勝利を収めているほか、今回の五輪メンバーのユース年代での対戦となった2017年U20世界選手権でも勝利を挙げている。
過去の戦績からも比較的、相性の良い相手ととれる南アフリカと初戦で当たることは、勝ち点3を奪い、その後の戦い方をシミュレーションしやすくなる可能性が小さくないのだ。
また、五輪での優勝経験もあり強豪と目されるフランスも、直前に開催される欧州選手権との兼ね合いもあって、メンバー選考が不透明なままだ。さらに日本は過去、欧州勢とは4勝2敗、アフリカ勢とも4勝3敗と五輪での対戦成績で勝ち越していることや、フランスが6大会ぶりの五輪出場であることを踏まえると、日本優位の戦いとなる可能性もあるだろう。
これまでも日本は優勝候補を破り、戦前の予想を大きく覆してきた歴史がある。ブラジルを破って「マイアミの奇跡」と呼ばれたアトランタ五輪。グループリーグを突破し、ベスト8でも死闘を繰り広げたシドニー五輪。スペインを降してメダルまであと一歩に迫ったロンドン五輪。たとえロンドン五輪準決勝で敗れたメキシコとの対戦と言えど、決して悲観的になる必要はないはずだ。
開催国は苦戦のデータも
金メダル獲得を目指す森保ジャパンにとって、越えなければならないジンクスもある。
これまで、現行の制度(23歳以下+オーバーエイジ)となって以降の五輪6大会、開催国の金メダル獲得は、前回リオ大会でのブラジル代表の1ヶ国しか達成していない。GLを突破し決勝トーナメントに進んだ国も、ロンドン大会でのイギリス代表だけ。他の4カ国(アメリカ、オーストラリア、ギリシャ、中国)はいずれもGL敗退に終わっている。
また、五輪でサッカーが正式競技になった1908年ロンドン大会まで遡っても開催国の優勝はリオ大会のブラジルを含め4度(ほかに1908年イギリス、1920年アントワープ大会・ベルギー、1992年バルセロナ大会・スペイン)のみ。やはり開催国と言えど、五輪サッカーでは「地の利」だけで勝ち進めるほど簡単ではない。
リオ大会でのブラジルの金メダル獲得は記憶に新しい。自国開催、さらに初の金メダル獲得を成すべく、OAでネイマールを加え盤石の体制で大会に挑んだ。2大会連続で決勝進出を果たすと、決勝ではドイツ代表を相手にPK戦の末勝利し、悲願の金メダル獲得となった。ネイマールがPKを決めた後に訪れた歓喜。あの時と同じ光景を、今回の日本代表は果たして実現できるだろうか。
海外所属選手が最も多い「史上最強」五輪代表への期待
日本は五輪サッカーにおいて、いくつもの爪痕を残してきた。金メダル獲得を目指す東京大会、若き日本代表は史上最強とも呼べるメンバーが揃うことになるだろう。
今回の五輪メンバーは自国大会への戦いに向け、様々な戦いを潜り抜けてきている。同世代のブラジルやアルゼンチンにも勝利してきたほか、フル代表として南米選手権を戦ったメンバーもいる。さらに、海外クラブ所属選手が多く揃っていることも、今回の五輪世代の特徴の一つと言える。
中でも、攻撃の核としてチームを牽引するであろう久保建英や、今後メンバー入りが確実とされる冨安健洋が欧州五大リーグを戦っていることも、頼もしい限りだ。国内組も各クラブで主力として活躍している選手がほとんどで、「経験値」という点では過去の日本代表と比較しても、群を抜いていることは間違いない。
今後は本大会までに国内での親善試合を行い、東京五輪へ向かう。海外クラブからの招集が予想されているオーバーエイジも含め、7月の代表最終決定まで選手選考は行われる。日本サッカー史上初となるオリンピック金メダル獲得へ向かう代表メンバーは、果たしてどのような顔触れとなるだろうか、非常に楽しみだ。
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