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森保ジャパンは過小評価?日本代表監督勝率ランキングでオシム超え

2021 5/13 11:00中原康太
森保一監督Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

23勝5分け6敗で勝率68%

2018年のロシアW杯終了後に誕生した森保ジャパン。2018年9月11日のコスタリカ戦から2021年3月30日のモンゴル戦までの戦績は34戦23勝5分け6敗、勝率68%という好成績だ。名監督として高い評価を得ていたオシム監督の勝率60%を超えている。

ジーコ監督以降の試合数・勝利・引分・敗戦・勝率をまとめたデータは以下の通り。

歴代日本代表監督別の勝率


ジーコが51%、イビチャ・オシムが60%、岡田武史が52%、アルベルト・ザッケローニが55%、ハビエル・アギーレが60%、ヴァヒド・ハリルホジッチが55%、西野朗が29%となっており、森保一監督が最高勝率を誇っている。

日本代表監督の勝率ランキング


日本人で初めて日本代表監督と五輪代表監督を兼任し、上々の結果を残していると言えるだろう。しかし世間からは「戦術が不明確」「選手に任せる領域が広すぎる」など厳しい評価が下されている。素晴らしい結果にフォーカスされないのはなぜだろうか。

サンフレッチェ広島を5年半で3度もJ1王者へ導いた実績

森保監督は2012年から古巣のサンフレッチェ広島の監督に就任し、5年半の間に3度もJ1王者へ導いた。徹底的な戦術の落とし込みと選手一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションから生まれた固い信頼関係によってサンフレッチェ広島の黄金時代を築いた。

サンフレッチェ広島時代の戦術は、アンカーの青山敏弘やFWの佐藤寿人ら能力が高く状況判断に優れたプレーヤーにより体現された理想の形だった。

サンフレッチェ広島時代の基本スタイルは3-2-4-1(3-6-1とも言われる)のシステムを敷いていた。攻撃から守備に切り替わった時には、両サイドのWBがDFラインまで下がり、シャドー(FWとMFの間にいるポジション)もMFの位置まで下がることで5-4-1のフォーメーションへ変更していくことも特徴だった。

WBとFWとシャドーが連携し、相手を翻弄しながらパスをつなぎ、高いポゼッションを保ちながら相手ゴールへ進んでいく。そして、両サイドからもWBがオーバーラップすることで幅のある攻撃が可能となり、得点を量産していた。

日本代表では4-2-3-1、各選手同士のシナジーを見定め

日本代表のフォーメーションは、4-2-3-1(4-5-1)とサンフレッチェ広島時代とはDFラインが1枚多いフォーメーションを敷いている。しかしボランチとシャドーがキーマンになり、サイドアタックや細かいパス回しで相手ゴールに近づいていくという基本方針は大きく変わっていない。

メディアへ対しての明確なメッセージを発信していない分、「選手たちに頼りすぎではないか」「明確なビジョンが決まっていない」と批判されているものの、森保監督の目指すサッカーが着実に浸透してきていることは勝率からも分かるだろう。

常に感謝とリスペクトを忘れない姿勢

2021年3月25日に行われた韓国戦に3-0で勝利したとき「韓国には(ソン・フンミン選手ら)世界的にもトップの選手がいるが、今日はいなかった。次に対戦することになれば、また違ったチームと対戦することになる」と謙虚なコメントを発信している。

メディア受けするようなビックマウスとは無縁で、常に周りの人への感謝やリスペクトを忘れず発信し続けている。「結果は評価をして下さる方が行うもの。選手ファーストであり続けなければならずリスペクトを忘れてはいけない」というコメントも残しており、徹底した謙虚な姿勢が選手との信頼関係の構築にも繋がっている。

選手たちから得ている絶大な信頼

日本代表である堂安律も「メディアが入っているときには、選手たちがカメラの方を向くように森保監督は必ずカメラを背にして立つ。選手たちの顔がしっかり見えるようにするために。そこまで考えている監督に出会ったことはない。選手一人ひとりに寄り添った声をかけてくれるのでどんなことでも話せる存在。どんな時にも思いやりとリスペクトがある方」と話す。

選手からの信頼がいかに厚いか分かるだろう。この人の為ならなんとしてでも勝ちたいと思わせる、心を一つにさせる力が森保監督にはある。

海外選手だけに目を向けず、J2や大学サッカーにも足を運び、選手の選定を行っていたことも話題になった。リーダーとして慕われる森保一監督が2022年のカタールW杯で結果を残し、正当に評価されることを期待したい。

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