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日本からのワールド・スーパーリーグ参戦、長期的にはメリットも? サッカー世界統一リーグ構想⑤

2020 2/15 11:00Takuya Nagata
イメージ画像ⒸMillenius/Shutterstock.com

アジア・カンファレンスに振り分けか

サッカーの世界統一リーグ「ワールド・スーパーリーグ」にアジアや日本のクラブが参加する場合は、どのようになるか、シミュレーションしてみよう。

FIFAは、サッカーのクオリティの向上と世界規模でのヨーロッパへのタレント流出を是正する術を検討している。数億米ドルを投資し、新たに汎アフリカリーグを創設するという案もある。

FIFAは、アジアの協会関係者とも地域リーグを創設する可能性について話し合ったとされている。汎アジアリーグを行う場合は、現在のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は、残るのか、それとも吸収合併されるのだろうか。

Jクラブが参加する場合のシナリオとは

まず、ワールド・スーパーリーグ参加チームが、Jリーグに留まる場合だが、試合数が増えるため、日程を組む難易度はかなり高くなるだろう。世界全体で、開幕と閉幕の時期が統一されることが予想され、そうすると力の強い欧州に合わせられる可能性が高い。日本で長年続いている「春秋制」か「秋春制」か、という議論も再燃することだろう。

日本の有力クラブがJリーグから分離して、ワールド・スーパーリーグに加わることになったら、シーズンの問題を考える必要はなくなる。しかし、その場合は、人気実力ともある有力クラブを、Jリーグが失うことにもなる。日本国内でサッカー人気が向上しても、Jリーグの人気自体は維持が難しくなるというシナリオだ。

そもそも、日本からの参戦希望クラブが多い場合は、どのようにして決めるのだろうか。海外の多くの国と異なり、突出したクラブがないのがJリーグの特徴だ。優勝実績では鹿島アントラーズ。人気では浦和レッズ。世界規模のサッカー財閥CFG入りしている横浜F・マリノスもポテンシャルが大きい。

オールジャパン的クラブの新設

Jリーグのクラブは、そのまま残して、オールジャパン的なクラブを、もう一つ作るという手もある。

ラグビーのサンウルブスのような存在だ。日本のサッカーは、日本代表の人気が牽引してきた。「代表チームなのだから当たり前だ」と思う人もいるかも知れないが、欧州では、主要クラブは、代表チームに負けないくらいの人気を誇っている。

オールジャパン的なクラブチームが創設されれば、日本のサッカー人気は、確実に向上するだろう。普段、あまり注目されないラグビーだが、スーパーラグビーに参加したサンウルブスは、多くの観客を動員し、メディアも熱心に報道した。

日本のサッカーが熱狂的に盛り上がるのは、日本代表の活動時期だ。しかし、代表チームは、クラブサッカーの合間に行われているのであって、毎週のように開催されてはいない。また、試合によっては、欧州組不在の日本代表という場合もある。

オールジャパン的クラブが毎週のように試合を行えば、スタジアムにはファンが殺到し毎試合、超満員になる可能性だってある。そうなればメディアで取り扱われるスポーツとして、現在、王座にある野球を上回るかもしれない。

オールジャパン的クラブは、日本代表クラスの選手に大物外国人が加わったオールスター軍団になるだろう。日本代表の主力選手の多くは現在、欧州でプレーしている。ワールド・スーパーリーグが実現すれば、欧州に出る選手と、日本に留まる選手に分かれてくるだろう。

Jリーグとしては、必ずしも賛成できないかもしれないが、長い目で日本サッカー全体の発展を考えた時、プラスになることのほうが多いのではないだろうか。

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