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超長距離移動、時差、日程…世界統一リーグはアウェー戦が課題 サッカー世界統一リーグ構想④

2020 2/14 11:00Takuya Nagata
サッカーイメージⒸMut Hardman/Shutterstock.com
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途方もない移動距離、本当に日程を組むことは可能か

世界サッカークラブ協会(WFCA)が、国際サッカー連盟(FIFA)に提案したとされる、地球規模の大会ワールド・スーパーリーグ。

全世界でホーム&アウェーの2回総当り、あるいはカンファレンス制の場合は、おそらくはアジアといった地域ごとにホーム&アウェーの2回総当りを行い、ワールド・プレーオフに進出することになるだろう。

ここでネックになるのが、途方もない移動距離だ。この移動の負担の解決策は、あるのだろうか。

超長距離移動には超音速旅客機

米国の航空機メーカー、ブーム・テクノロジーが開発する超音速旅客機は、マッハ2.2(時速2335km/h)で、航続距離は8334km。2023年頃の実用化を目指しているとされる。

またボーイングは、マッハ5(時速約6,713km)の旅客機を開発する研究を行っている。飛行高度95,000フィートというコンコルドの1.5倍上空を、コンコルドの2.5倍のスピードで飛行する。この航空機なら、何とロンドンからニューヨークに2時間で行くことが出来る。ざっくりと大西洋横断が2時間、太平洋横断が3時間という計算だ。

現状では、非現実的とも映る世界統一リーグだが、テクノロジーの進歩で近い将来、距離的な障壁は、かなり低くなることが予想され、大会フォーマットの工夫次第で、日程を組むことは、十分に可能ではないだろうか。

時差調整は、すべきか

移動については、航空機の技術革新で、どうにかなりそうだ。もう一つの課題は、時差調整だ。欧州では、夏季の間、1時間早めるだけでも健康に影響があるとして、夏時間を廃止しようとする動きもある。

本来、プレシーズンは基礎体力を高めるためにトレーニングを行うべき時期だが、国際マーケティングを重視するあまりに、多くのビッグクラブが、世界中を旅して、フレンドリーマッチやカップ戦を行っている。

そのためすでに現時点でも、プレシーズンツアーで欧州クラブが世界を巡るために選手に発生する肉体的負担は、シーズン入りした後にも悪影響を及ぼすと指摘されている。

ワールド・スーパーリーグは、セントラル方式であれば、早めに現地入りして、時差調整することも考えられる。ホーム&アウェー方式であれば、試合の前日に現地入りし時差調整はせずに、試合をしたらすぐに戻ってくるというパターンになるだろう。

国家間のホーム&アウェー方式では、現在のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)のように、ホームアドバンテージが大きく、それをアウェーチームが押し返せるかというのも一つの醍醐味だ。しかしリーグ戦でとなると、シーズン通して選手に負担がかかってしまう。地球規模での遠征を前提とする限り、これは避けようがないだろう。無理な日程は禁物、余裕を持った日程を組むことが必要になりそうだ。

国内リーグに配慮した日程づくりを

日程を組む際には、選手の身体的な負担だけではなく、国内リーグへも配慮したい。Jリーグ等の国内リーグは、圧倒的にクラブ数が多く各地に分布しており、サポーターがスタジアムに足を運びやすい。人々が時間に余裕のある週末のJリーグ開催は、理にかなっている。

ワールド・スーパーリーグは、欧州CLやACLのミッドウィークとはいかないまでも、観客動員しやすい週末からは極力ずらして、金曜や月曜に開催するのはどうだろうか。

代表チーム級の人気が出ることが予想され、スタジアムを埋めることには苦心せずにすむ。一方で国際的なクラブになることで、全てのファンが毎試合スタンド観戦することは難しく、多くの人々が、TVやインターネットの配信で視聴することになり、放映権収入となって各国へ再分配されていくだろう。