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冬季五輪の日本人年少メダリスト一覧、スノボ「銅」村瀬心椛は17歳で女子最年少

2022 2/24 11:09田村崇仁
北京五輪で銅メダルに輝いた村瀬心椛,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

フィギュア浅田真央の19歳を抜く快挙

北京冬季五輪の日本選手団は金3個を含むメダル18個を獲得し、過去最多だった2018年平昌五輪の13個を大きく超える活躍だった。

金27個を手にした昨年夏の東京五輪に続く好成績。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪で次代のエース候補となるホープも躍進し、2月15日のスノーボード女子ビッグエアでは17歳の村瀬心椛(ムラサキスポーツ)が空高く舞い上がり、銅メダルをつかみ取った。

冬季五輪の日本女子では2010年バンクーバー大会フィギュアスケート「銀」の浅田真央の19歳を抜く最年少でのメダルに輝く快挙だった。4年後は「てっぺんを目指す」と早くも金メダルを見据えた。

男子を含めた冬季五輪最年少は平野歩夢の15歳

ビッグエアは英語で「大きなジャンプ」を意味する。急斜面を滑走し「キッカー」と呼ばれる巨大な台から飛び出し、空中で派手な回転技を繰り出す新時代の競技種目だ。

技の難しさや完成度、着地の美しさを採点。3回の試技で高得点の2回の合計で競う。得点が採用される2回の試技は回転方向などが異なる必要がある。五輪ではスノーボードが前回の平昌大会で、フリースタイルスキーは今大会で採用された。

村瀬は2018年プロ招待大会の冬季Xゲームを史上最年少の13歳で制して脚光を浴び、世界ジュニア選手権ではスロープスタイルと2冠を達成した逸材。今季のワールドカップ(W杯)では開幕戦を制した。

1回目は軸をずらしながら縦2回転、横3回転する「バックサイドダブルコーク1080」を決めて5位につけると、2回目はかかと側で踏み切る「フロントサイド1080」を鮮やかに成功。高く優雅に回り切ってガッツポーズを決めた。「かっこよさを忘れずに」と自負してきた信念も貫いた。

男子を含めると、冬季五輪最年少メダルは2014年ソチ冬季五輪のスノーボード男子ハーフパイプで銀メダルに輝いた平野歩夢で15歳2カ月。当時はスノーボードの日本選手が五輪でメダルを取るのも初めてで、1998年長野五輪スピードスケート・ショートトラック男子500メートルを制した西谷岳文の19歳1カ月を塗り替えた。

平野歩夢は北京大会で超大技「トリプルコーク1440」を決める圧巻の強さで悲願の金メダルに輝き、1998年長野五輪で採用されたスノーボードで日本勢金第1号となった。15歳だった2014年ソチ五輪は2位で冬季五輪の日本選手最年少メダリストとなり、前回平昌五輪も「銀」。冬季の日本選手で初めて3大会連続でメダルを獲得した。

日本の冬季五輪最年少メダリスト

夏季五輪含めた最年少は12歳の開心那

スノーボードは1998年長野冬季五輪から採用され、HPは半円筒形のコースで最も低い「ボトム」から壁の一番高い飛び出し口「リップ」まで両サイドの高さ約7mの壁を交互に5~6回飛び、繰り出される技の難易度や表現力で競い合う。

採点方法はジャンプの高さや難易度、着地の姿勢、技の構成などが評価対象となる。スケートボードと同様に、ボード(板)をつかむ「グラブ」と呼ばれる動作も大事で、どこをどれぐらいつかむかで得点が違ってくる。

過去の五輪をみると、回転数や技のスタイル(独自性)だけでなく、正確性も重要。ワールドカップ(W杯)の実績などを考慮した「顔」も影響するといわれている。

世界王者、戸塚優斗らも超大技に挑戦

夏冬通じて日本の最年少最年少メダルは東京五輪のスケートボード女子パークで銀メダルを獲得した開心那(WHYDAH GROUP)の12歳と11カ月9日。その直前には東京五輪のスケートボード女子ストリートで西矢椛(ムラサキスポーツ)が金メダルに輝き、13歳10カ月での優勝は1992年バルセロナ五輪競泳女子200メートル平泳ぎを14歳で制した岩崎恭子の日本最年少メダル記録を塗り替えていた。

平野歩夢はスケボーとスノーボードの「二刀流」に挑戦して快挙を達成。村瀬は日本史上最年少金メダルの西矢椛とも仲が良く、日本が“横乗り”競技で夏冬通じて躍動している。

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