冬季五輪8度出場のレジェンド、4季ぶりの海外W杯参戦
ノルディックスキーのジャンプ男子で冬季五輪に史上最多8度出場など数々の記録を持つ51歳のレジェンド葛西紀明(土屋ホーム)が令和の時代に入っても、年齢に負けない強さを発揮して周囲を驚かせている。
3月1日、4季ぶりに海外でのワールドカップ(W杯)遠征メンバーに選ばれて伝統のフィンランド・ラハティ大会に参戦。高校時代から国内外を転戦してきたが、優勝経験のある思い出深い場所でもある。
本人も公式ブログで「まずは予選通過しないとね!」と意気込んでいた通り、予選を突破して堂々と本戦へ。上位30人による2回目にこそ進めなかったが、38位となった。
続く3日の個人第24戦では今季自己最高の28位に入り、30位以内に与えられるW杯ポイントを獲得。W杯得点を獲得するのは2019年3月以来で実に5季ぶりとなった。自身が持つギネス世界記録にも認定されているW杯歴代最多出場回数は「573」としている。
昭和から第一線、元気の秘けつは年間700キロ超の走り込み?
身長176センチ、体重59キロの体のどこにこれほどのエネルギーが詰まっているのか。
小学3年生でスキーを始めて昭和時代から第一線で活躍し、世界各国の選手仲間からも「レジェンド」と称賛されるベテラン葛西は1994年リレハンメル冬季五輪の団体で銀メダル、2014年ソチ五輪ではラージヒルで銀、団体で銅を獲得。ジャンプ選手では異例の40年近いキャリアで数々の最年長記録も持つ。
2024年2月3日のTVh杯ジャンプ大会(札幌市・大倉山ジャンプ競技場)では125メートル、130.5メートルの合計224.4点で優勝。自身のブログで「やはり努力は報われるんですね!毎日食事制限しながら持久力、減量、メンタルトレーニングを頑張りました!」とつづった。
大ベテランの向上心は衰えることがない。本人は新年のあいさつで「いや~2023年は走り込みましたよ! 統計では、2021年が170.5kmのrunning 2023年はなんと!736.5kmもrunningしてました!! それだものNORIさんの体力が半端ないはずだ!!」と明かしている。
その上で「2024年も走りまくって、体力!筋力!精神力!を保っていつまでも元気で若々しく過ごして行きます!!」とも意気込んだが、年齢に負けない強さの一端はここにあるのだろう。
団体メンバーでも奮闘、K点越え2本で5位
所属チームでは選手兼監督の立場でありながら、3月2日のW杯ジャンプ男子団体では年齢の離れた若手に交じって奮闘し、ベテラン健在ぶりを見せつけた。
二階堂蓮(日本ビール)葛西紀明(土屋ホーム)小林潤志郎(雪印メグミルク)小林陵侑(チームROY)で臨んだ日本は合計824.7点で5位。日本は1回目を終えて6位と出遅れ、表彰台争いに絡めなかったものの、4季ぶりに海外W杯に復帰した葛西は2番手で120メートル、117メートルとK点(116メートル)を越える安定したジャンプを2本そろえた。
レジェンドの愛弟子であるエース小林陵侑をはじめ若手も称賛を惜しまない大ベテランの驚異的な活躍。個人戦だけでなく団体戦でもいまだにW杯で十分戦えるレベルにあることを証明している。
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