4月10日発売「スポーツビジネス学」
SPAIAに『スポーツ×〇〇』をテーマにした連載を寄稿していた、福山大学の藤本倫史氏が、株式会社ジャパン・スポーツ&ツーリズム・プレミアの倉田知己氏、開智国際大学の藤本浩由氏とともに「スポーツホスピタリティ」に焦点を当てた書籍を刊行する。
SPAIAに寄稿された連載も掲載されている『逆境をはねかえす広島型スポーツマネジメント学』についてはコチラ
スポーツホスピタリティは、2019年に日本でラグビーワールドカップ(RWC2019)が開催された際に、国内でにわかに注目され始めた、スポーツビジネスにおける考え方あるいはサービスそのものをさす言葉だ。
スポーツビジネスの先進国である欧米においては、早くから研究が進んでおり、いまやスポーツホスピタリティ商品はスタジアムやアリーナにおける観戦体験の向上だけでなく、「観戦」という行為そのものの価値向上、ひいてはチームのみならずリーグ全体の価値を高める重要なツールとなっている。
ラグビーワールドカップを経て日本国内でも普及するかに思われたスポーツホスピタリティだったが、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ発せられた緊急事態宣言、自粛要請の長期化とともに語られる機会が減少していった。しかし、新型コロナの影響によって国内のスポーツビジネスに大きな変化が必要とされていることが浮き彫りとなった今だからこそ、スポーツホスピタリティをさらに取り入れていく良い契機であると藤本氏は語る。
スポーツホスピタリティを実務レベルで解説
本書では、スポーツホスピタリティとは何物であるのか、なぜ必要なのかといった外枠の話だけでなく、欧米で普及しているサービスを国内に導入するにあたっての、人的リソースの不足や法規制、地域とのコミュニケーションなどの課題についても述べられており、具体的な事例を挙げてその解決策も提言。第2章、第3章ではRWC2019日本大会で実際にスポーツホスピタリティ商品に関わり100億円もの売り上げに貢献した倉田氏が、実務レベルでのポイントや課題について詳しく説明している。
さらには、スポーツビジネスという枠だけではなく、スポーツホスピタリティを軸とする「地域共通の価値」の創出を通じて、社会・地域の課題を解決しスポーツによる地方創生の可能性にも言及。日本型スポーツホスピタリティの将来性についても述べられている。
藤本氏によると、スポーツホスピタリティをテーマとした学術書およびビジネス書としては本書が日本初になるという。
スポーツ庁の2023年度の新たな調査研究予算では同名目を含め約4億円が確保されており、今後のスポーツビジネスでの期待がうかがえる。2023年はワールド・ベースボール・クラシックやバスケットボール・ワールドカップ、RWCが開催され世界的にもスポーツホスピタリティが大きく注目される年となる。
これからの日本のスポーツビジネスを考えるうえで、一度は読みたい一冊だ。

■著者名:
藤本倫史(福山大学)
倉田知己(株式会社ジャパン・スポーツ&ツーリズム・プレミア)
藤本浩由(開智国際大学)
■出版社名:晃洋書房
■販売価格:2,000円(消費税除く)
■概要
日本初のスポーツホスピタリティをテーマとした学術及びビジネス書。社会的・経済的意義を紐解くとともに、過去実績からの理論と将来展望を検証する実務書としても有益。学術界・スポーツ業界のみならずスタジアム・アリーナの設計/建設/運営や内装、飲食、人材派遣等多岐にクロスオーバーした事業性が垣間見える。
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