筋肉の成長には48〜72時間の休息時間が必要
筋トレで筋肉を効果的に成長させるためには「休息」が重要だ。京都大学名誉教授である森谷敏夫氏は、筋肉は破壊と回復を繰り返すことにより鍛えられると述べており、トレーニングに休養は欠かせないものとなる。
筋トレにより傷ついた筋肉は、休息期間の「超回復」によりトレーニング前よりも一時的に筋肉の総量や筋力が高まる。筋トレにより筋肉にどれだけの負荷をかけたかによっても回復までの期間は異なるものの、高強度の筋トレを行なった場合、おおよそ48〜72時間程度の回復時間を設けて再度トレーニングを行いたい。
そのため、ウエイトトレーニングなど筋肉に強い負荷がかかるトレーニングは、週あたり2回~3回程度の実施で十分と言える。
筋トレ後に効果的に筋肉を成長させ、疲労を軽減するためには、トレーニング後の休息時の過ごし方が重要となる。激しいトレーニングを行うトレーニーのみならず、速やかに疲労を回復させるための方法は一般の方にとっても重要であろう。
トレーニング効果を最大限に引き出し、疲労を早急に軽減させるための休息時の過ごし方を紹介したい。
休息期間の積極的運動で2~3倍の違い
筋トレ後の休息の取り方は、筋肉の成長に重要なものとなる。筋トレ後の休息期間には積極的休息と呼ばれる、息が上がらない程度のジョギングやストレッチなど軽く心拍数が上がる運動を取り入れたい。
「疲労の回復に運動?」と思うかもしれないが、軽く体を動かすことで血行の巡りが良くなり、疲労物質の排出を早め、筋肉に栄養を行き渡らすことができるため筋肉の早急な回復につながるのだ。
休養期間に運動を行わない消極的休養では、20~30%の回復量なのに対して積極的休息では70〜80パーセントの回復量となる。約2~3倍ほどの回復量の違いが現れるのだ。
また、筋肉の成長には睡眠時間も重要となる。イギリスのスポーツ研究機関で行われた睡眠時間と筋肉の回復に関する研究では、アスリート数人を集め筋トレを行い、6時間睡眠のグループと8時間睡眠のグループを比較した結果、睡眠時間の少ないグループは扱える重さが低下したことを報告している。
このことからも、睡眠時間が筋肉の疲労回復に影響を及ぼすことがうかがえる。筋肉の成長に欠かせない「成長ホルモン」は睡眠時に分泌されるのだ。筋肉の成長と回復のためにも 1日7~8時間程度の睡眠を取りたい。
体重1kgあたり2gのたんぱく質と20gのグルタミン摂取を
休息時の食事の摂取も意識したい。筋肉を効果的に成長させるには、たんぱく質の摂取が重要となる。たんぱく質は筋肉合成の元となり、自身の体重1kgあたり2gのたんぱく質摂取が筋肉の成長を助ける。
また、筋肉の疲労回復のためにはグルタミンも摂取したい。グルタミンは筋肉が疲労している時に大量に消費され、筋肉の分解抑制や疲労の回復を助ける栄養素だ。
グルタミンの摂取が不十分だと、なかなか疲労が抜けないばかりか、筋肉を分解させてしまうのだ。グルタミンは 1日あたり20g程度の摂取が望ましいとされ、肉や魚、卵などの食材に多く含まれる。牛肉100gあたり、おおよそ10gのグルタミンと15gのたんぱく質が含まれる。栄養素を計算しながら食事を摂りたい。
筋トレの効果を引き出すには、その後の休息時の過ごし方が重要となる。だらだら過ごす消極的休息でなく、疲労回復を早める積極的休息を取り入れ、上手くたんぱく質とグルタミンを摂取して体を休めていきたい。
効果的な休息はトレーニング効果を高めるばかりか、疲労の回復を早め快適な毎日を実現してくれるだろう。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
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