なかなかつかない筋肉…自己満足で終わらせないために
日本では24時間営業のフィットネスジムが乱立し、コンビニでもプロテインバーが販売されるなどフィットネスブームが到来している。様々な情報が行き交う社会で、健康への意識が高まったことも要因の一つだろう。
ブームの中で筋トレを始めたのはいいが筋肉がなかなか成長しない、と悩みをかかえる初心者トレーニーも多い。せっかく筋トレをしても効果が見られないとモチベーションも上がらない。
筋トレはただ闇雲に行えばよいものではなく、トレーニングの原理を理解して行わなければ効果が期待できない。せっかくの筋トレが自己満足で終わらないよう、効果的なトレーニング方法を理解したい。
筋肉の成長に欠かせないトレーニングの3原理
目標とする体に近づくためには筋肉を成長させるための3原理を知る必要がある。この3原理を無視した筋トレでは、トレーニング効果は期待できない。
過負荷の原理が示すように、日常生活や普段のトレーニングと同じ負荷では、筋肉にかかる刺激が小さく、思うように筋肉が成長しないのだ。筋肉の成長には、体に一定以上の負荷をかけたトレーニングが重要となり、軽々とできるトレーニングでは効果が薄い。
また、ただ負荷が強ければよいものでもなく、特異性の原理が示すように、自身の目的に合ったトレーニングを選ぶことも大切だ。筋肉量を増やしたいのに、持久力向上のトレーニングを行っても向上は見込めない。以下を参考に目的に合ったトレーニング実施を心がけたい。
加えて、トレーニングを行う頻度も重要だ。可逆性の原理が示すように、筋トレを行っても継続したトレーニングを行わなければ1~2週間ほどで筋肉の可逆が始まり、いずれ元の筋肉量へと戻る。
筋肉の成長には適度な頻度でのトレーニング実施が必要となり、おおよそ48~72時間の筋肉回復をさせながら継続的なトレーニング実施を心がけたい。それ以上の期間をあけてしまうと筋トレの効果が薄れてしまう。
筋肉の成長には、これら3原理を踏まえた上でのトレーニング実施が欠かせない。
夕方の筋トレは多くの成長ホルモンを分泌させる
筋トレの効果を増すためには、実施する時間帯も重要だ。筋肉の合成には成長ホルモンが欠かせない。筋トレによる成長ホルモンの分泌量はトレーニングを行う時間帯によっても異なり、1日のうち夕方のトレーニングが最も成長ホルモンの分泌量が多いことが明らかになっている。
また、成長ホルモンは睡眠時にも分泌され筋肉を合成させるが、夕方の筋トレは程よく体を疲れさせ、質の良い睡眠を可能にして成長ホルモンの分泌を促進させるのだ。
学校終わりや会社終わりなどの夕方の時間帯にトレーニングを行うことをおすすめしたい。
たんぱく質の効果的な摂取のためにプロテインを
筋肉の成長には、筋トレのみならず栄養補給も重要となる。正しいトレーニングを行っていても、筋肉の合成に必要な栄養摂取を怠れば筋肉の成長は薄れる。筋肉の合成に最も影響を与える栄養素はたんぱく質だ。
立命館大学の藤田聡氏によると、トレーニングにより筋肉を効率よく成長させるには、1日当たり体重1㎏につき1.6gのたんぱく質摂取が望ましいとされる。体重70㎏であれば110g以上のたんぱく質が必要となる計算だ。
しかしながら、一度の食事で吸収できるたんぱく質量は25~35gほどが限界であり、3食しっかり食べても望ましいたんぱく質量が摂取できない可能性もある。
そのため、3食しっかりと食事をとる中で、各食事の間食としてプロテインやサプリメントの摂取をおすすめしたい。望ましいたんぱく質量が摂取できるだろう。
筋トレ初心者など、なかなか筋肉の成長が感じられない人はこれらのことに注意したい。きっと体に変化が現れるはずだ。
目に見えた体の変化には3か月以上かかるとされ、時間がかかる。それを踏まえた上で正しい方法で継続的にトレーニングを実施していきたい。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
【関連記事】
・筋トレは週1回でも効果あり!「ビッグ3種目」で効率的に鍛えよう
・お酒はスポーツ選手の大敵?アルコールが体型に及ぼす影響
・スポーツ場面でのマスク着用は危険を伴う?コロナ禍の新常識