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筋トレは有酸素運動よりもダイエットに効果的!驚異のアフターバーン効果

2020 3/23 17:00近藤広貴
イメージ画像ⒸJasminko Ibrakovic/Shutterstock.com
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ⒸJasminko Ibrakovic/Shutterstock.com

筋トレ中の19倍のカロリーを運動後に消費

ダイエットと聞くとどのようなものを思いつくだろうか。食事制限に加えてランニング・縄跳び・水泳などカロリーを多く消費できる有酸素運動を考える人が多いだろう。

これらの有酸素運動と比べると筋トレのような強度の高い無酸素運動によるトレーニングは、長く動けずカロリーを消費できないため脂肪を燃焼するダイエットには不向きであると考えられてきた。

しかしながら、近年の研究結果では、筋トレは運動時のカロリー消費量は多くないものの、筋トレ後~72時間程度の間に得られるアフターバーン効果によって有酸素運動以上のダイエット効果を期待できることが明らかになっている。

アフターバーンとは、高負荷の運動を行った後にカロリーが消費され続ける現象のことを言い、この効果で筋トレ中に消費されるカロリーのおよそ19倍ものカロリーを運動後に消費できる。

筋トレによるダイエット効果

海外の研究チームで、太った被験者38人を集め、Aグループ・Bグループ・Cグループの3グループに分け、3週間の減量プログラムを行った後のグループごとの体重減を調べる実験が行われた。

《減量プログラム》
Aグループ…食事制限のみ
Bグループ…食事制限+有酸素運動
Cグループ…食事制限+有酸素運動+筋トレ

《3週間後》
Aグループ…平均-6.3㎏
Bグループ…平均-6.8㎏
Cグループ…平均-9.5㎏

当然、食事制限を行っているため3グループとも大幅な体重減に成功している。また、有酸素運動や筋トレなど運動量が増えれば増えるほど体重の減少幅が大きくなっていることが分かる。

しかしながら、BグループとCグループの減量幅に着目すると、食事制限から有酸素運動のみをプラスしたBグループは0.5㎏しか体重減が認められず、Bグループと同じ内容に筋トレを加えたCグループは2.7㎏もの体重が減少している。

筋トレを加えるとなぜこれほどまでに体重の減少幅が大きくなるのだろうか?そこには筋トレによって得られる運動後の酸素の過剰消費・乳酸効果・筋肉量の増加による基礎代謝の向上などのアフターバーン効果が影響を及ぼしている。

酸素の過剰消費

高強度の筋トレは、無酸素状態で運動を行うことになる。無酸素運動中に酸素を十分に取り入れることができなかった場合、身体は酸素を取り戻そうと運動後も大量に酸素を吸い込み消費する。

筋トレ後に息が上がる現象は、運動中に酸素を十分に取り入れられなかった身体が酸素を欲して酸素を過剰に取り入れているからである。

人の体は酸素を消費する際カロリーも同時に消費するため、酸欠になった体が回復する際に有酸素運動時のように酸素を多く消費することでカロリー消費が増えるのである。

乳酸による成長ホルモンの分泌で脂肪燃焼

また、筋トレを行うと筋肉内に乳酸が発生する。同時に乳酸が筋肉内に増えると脳から成長ホルモンが分泌されることが明らかになっている。

成長ホルモンは、筋トレで壊れた細胞を修復したり、新たな細胞を作り出したりなど代謝を促進する重要な働きを持っている。

これらの働きは、体内の脂肪を燃焼することで代謝を促進するエネルギーを得ており、乳酸が増えることは結果的に脂肪の燃焼を促しダイエット効果をもたらすのである。

筋肉量の増加による基礎代謝の向上

さらに、筋トレにより筋肉量が増えることで基礎代謝が上がり消費カロリーが増える。国立スポーツ科学研究の発表によると、筋肉が1㎏増えることで1日あたりの基礎代謝が28.5カロリー上昇することが明らかとなっている。

1日あたりで考えるとたった28.5カロリーかもしれないが、週単位・月単位・年単位で見るとかなりの消費カロリーになる。

筋肉量の増加とカロリー消費

脂肪1㎏あたり7200キロカロリーが含まれているため、筋肉が1㎏増えるだけで、何もしなくても1年あたり約1.5㎏もの脂肪を燃焼することができる計算になる。

筋肉量が2㎏、3㎏と増えていくに比例して年間あたりのカロリー消費量も比例し、多くの脂肪を燃焼できダイエット効果が期待できる。

今まで食事制限や有酸素運動のみを取り入れてダイエットに励んでいた人は、筋トレをダイエットメニューに取り入れてみよう。今年の夏までにはまだまだ時間がある。正しい知識を学び、目標とする身体を作りあげてはどうだろうか。

《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。

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