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コロナ重症化率を高める免疫力の低下…適度な運動で対策を

2021 3/1 11:00近藤広貴
イメージ画像ⒸSupavadee butradee/Shutterstock.com
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免疫力は10代後半~20代をピークに低下

新型コロナウイルスが世界中に脅威をもたらしてから1年余りがすぎた。現在、世界全体で完治者数も含めるとコロナ感染者数の合計は1億1000万人を超えており、なおも増え続けている。

厚生労働省によると、新型コロナウイルスにより重症化や死亡する割合は年齢によって異なり、高齢者や基礎疾患のある人の方が高いと報告されている。免疫力は10代後半~20代をピークに低下するとされ、コロナによる重症化は加齢や持病による免疫力の低下が影響している。30代に比べると、40代の重症化率は4倍、50代は10倍とされている。

30代と比較した各年代の新型コロナ重症化率


逆に言えば、高齢者であっても免疫力を高めておけば、たとえ新型コロナウイルスに感染したとしても軽症で済むのだ。

新型コロナウイルスから健康を守るためには、マスクの着用やソーシャルディスタンスなど感染防止対策も大切ではあるが、自身の免疫力を高めることも重要となる。

免疫力を高める適度な運動

免疫力の向上には様々な要因が関係するが、とりわけ運動習慣は影響が大きい。日常的に適度な運動を実施する人は風邪をひきにくく、たとえ病気になったとしても重症化度が低い。

運動を行うと血行が促進され、体中に栄養がいきわたり、筋肉の収縮に伴い体温が上昇する。また、体温が上昇することで白血球に含まれる免疫細胞が活性化し、免疫力が高まる。適度な運動で風邪などウイルスから体を守ることができるのだ。

過度な運動はウイルスの感染リスクが2~6倍に跳ね上がる

しかし、ただやみくもに運動を行えば免疫力が上がるものではない。運動時に一つ気を付けるべき点がある。

免疫力の向上には運動の強度が重要となる。トップアスリートがトレーニングで行うような高強度の運動はかえって、運動後の免疫を低下させる。

早稲田大学の鈴木克彦氏によると、1時間を超える持久性運動や心拍数が150拍を超える運動は体内のストレスホルモンを過剰に分泌させ、免疫の働きを抑制することが報告されている。

マラソン選手のような高強度の運動を行うと、競技後2週間以内に5~7割ほどの選手が風邪をひくとされ、感染リスクが通常時の2~6倍ほどに高まるのだ。

激しい運動であればあるほど免疫の低下状態は数日にわたって続き、コロナ禍ではコロナ感染のリスクを高め危険をもたらす。

トップアスリートのように競技力向上を目的としておらず、スポーツ好きなどの健康のためには激しい運動を行うべきではない。

1日30分、週3~5回が目安

それでは、免疫力の向上のための適度な運動とはどの程度の強度なのだろうか。

上記の鈴木克彦氏いわく、息が「ゼエゼエ」とあがるほどの運動はやりすぎのサインだという。ランニングであれば、周りの人とおしゃべりしながら走れるペースが適度な運動の目安だ。

また、スポーツと免疫の関係性を研究する早稲田大学の赤間高雄氏の研究によると、高齢者を対象に運動と免疫の関係性を調査した結果、1日当たり7000歩のウォーキングを行った場合に最も免疫機能が向上したことを報告している。

ランニングであれ、ウォーキングであれ、息が上がるほど苦しい運動は必要ない。気楽なペースで1日30分、週3~5回ほど行うことで最も免疫機能の向上をはかれる。

日ごろ運動に取り組まない方や運動は苦しいものと考える人でも、これならやれそうだ。適度な運動で免疫力向上をはかり、コロナ禍の社会でも健康的な毎日を過ごしたい。

《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。

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