アフリカ、南米を経て中東で開催
砂漠や山岳地帯などの悪路を走破する「ラリーレイド」といわれる競技の一つであるダカールラリーは、1日に800km以上、約2週間で約8000kmを走破しなければならない世界一過酷なラリーだ。参加者は技術やメンタルだけではなく、メカニックの知識と技能も必要とされ、毎年半数以上がリタイアするほど厳しい。
初開催の1979年から、中止となった2008年を除いて毎年開催されている。過去はフランス・パリからセネガル・ダカールを目指すルートが設定されていたため、「パリダカ」と呼ばれていたが、2009年から2019年までの間は南米で開催された。そして2020年からはサウジアラビアで初開催となる。今年は1月5日から1月17日にかけてサウジアラビアの海沿いや砂漠といった様々な地形で行なわれる。
コース全長は約7800km。ジッダから始まり、レストデーに滞在するリヤドを経て、キッディヤでゴールを迎える。400kmを超えるスペシャルステージが7つ、特にステージ7は最長の546kmと厳しいコースが待ち構えており、ルートの75%が砂漠地帯である。
最も過酷なラリーに挑む「チームジャパン」
2輪にはホンダが参戦。Monster Energy Honda Teamはケビン・ベナバイズ、リッキー・ブラベック、ホセ・イグナシオ・コルネホ、アーロン・メア、ホアン・バレダというラインナップでダカールに臨む。
昨年ホンダは30年ぶりの優勝に向けて、総合力の高い盤石の布陣で臨んだ。しかし、ライバルのKTMが1-2-3フィニッシュで18連覇を達成。去年も優勝に手が届かなかったホンダだが、戦闘力の高さを見せつけた事には変わりはない。今年は悲願の優勝を目指すホンダと、絶対王者であるKTMとの戦いに目が離せない。
4輪はTOYOTA GAZOO Racingが参戦。TOYOTA GAZOO Racingのワークスチームは、ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組、ジニエル・ド・ヴィリエール/アレックス・ハロ組、ベルンハルト・テン・ブリンク/トム・コルソール組、そしてフェルナンド・アロンソ/マルク・コマ組の4台体制。
昨年、トヨタ車初の総合優勝を果たしたアル-アティヤを筆頭に強力なラインナップのトヨタ。2009年のダカール勝者であるド・ヴィリエール、ラリー・モロッコウィナーであるテン・ブリンクと強者が集まった。そして注目は2度のF1世界王者に輝き、ル・マン24時間レース、デイトナ24時間も制したフェルナンド・アロンソが参戦することだ。
様々なモータースポーツのカテゴリーに挑戦しているアロンソがなんとダカールにも挑戦。ダカールへの挑戦に向けて、8月からヨーロッパやアフリカ、中東で過酷なトレーニングを続けてきた。準備に必要な距離を走り切り、このラリーレイドでも能力の高さを証明している。良い結果を望むのは期待しすぎかもしれないが、いきなりインディ500に適応したポテンシャルの高さを知っているだけに、期待せずにはいられない。
他にもチームランドクルーザー・トヨタオートボデーとして毎年参戦しているトヨタ車体も2020年のダカールラリー参戦を発表。より良い車づくりを目的に市販車部門に参戦するトヨタ車体は、市販車部門6連覇、昨年はワンツーフィニッシュの快挙を成し遂げた。
クリスチャン・ラヴィエル/ピエール・ギャルサン組と三浦昂/ローラン・リシトロイシター組が継続参戦。社員として働きながら毎年参戦している三浦は2018年大会で優勝し、昨年は2位に入り、チームランドクルーザー・トヨタオートボデーのワンツーフィニッシュに大きく貢献した。今年は自身2度目の市販車部門優勝を目指す。
そして1991年から参戦している日野自動車、日野チームスガワラは今年から体勢が新しくなった。これまで30年以上チームを引っ張ってきた伝説、菅原義正が2019年のダカールをもって勇退し、菅原照仁が新代表に就任。チーム代表兼ドライバーとして10リットルクラス10連覇を達成した日野チームスガワラを引っ張っていくことになった。エースであり、昨年もクラス優勝を果たした菅原照仁に加え、菅原義正の後任として塙郁夫が2号車のステアリングを握る。新体制となったチームスガワラだが、このクラス10連覇の絶対王者として、今年も強さを見せつけてくれるに違いない!