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メーカーが続々参入!新しいモータースポーツ「フォーミュラE 」

2020 1/4 17:00河村大志
イメージ画像Ⓒゲッティイメージズ

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電気自動車による世界最高峰のレース「フォーミュラE」

地球温暖化などの問題から環境を守る動きが世界中で広がっているが、モータースポーツにも電気自動車によるレースがある。それが2014年から始まったフォーミュラEだ。

フォーミュラEはF1のようなシングルシーターのマシンでレースが行われるが、マシンはエンジンを積んでおらずバッテリーを搭載している。100%電気で動くため、排気ガスも出なければ迫力満点なエンジンサウンドも出ない。

モータースポーツの魅力でもある音や匂いが無いフォーミュラEには魅力が無いと思われがちだが、だからこそこれまで不可能だったことが可能になり、新たなモータースポーツの魅力が生み出されたのだ。

排気ガスが出ず、モーター音しか出ないフォーミュラEのレース開催地はサーキットではなく市街地に作られた特設コースである。既存のモータースポーツではなかなか実現できない市街地レースを開催することができるのだ。この新たな取り組みは1955年以来モータースポーツを禁止していたスイスでの開催も実現したほど。わざわざ遠くにあるサーキットに足を運ばなくてもレースを観ることができ、環境に優しいのがフォーミュラEの魅力である。

さらにレースは常に狭い公道で行われるにもかかわらず、激しいバトルが繰り広げられ、毎戦誰が勝つかわからない白熱の展開となる。

このハイレベルなバトルが繰り広げられる理由は、参戦するドライバーにある。参戦ドライバーはF1をはじめ、世界各式のレースで活躍してきたトップドライバーばかり。一流のドライバーがワンメイクレースをするのだから面白く無い訳が無い。

そんなモータースポーツの未来形、フォーミュラEも今年で6年目を迎えるわけだが、今年は特に注目すべきシーズンになる。

これからのモータースポーツはどうなるの?

今シーズンは注目すべき点がある。なぜなら、あのポルシェとメルセデス・ベンツが参戦するからだ。これまでアウディ、BMWが参戦しており、ドイツの4大メーカーが揃った。ドイツは国を挙げて電気自動車の普及に力を入れており、フォーミュラEはドイツのメーカーにとって最高のカテゴリーとも言える。ポルシェはWECから撤退しフォーミュラEに参戦、メルセデスもF1を撤退する可能性がうわさされている。

この2メーカーが本気でフォーミュラEに乗り込んできたのは、やはりライバルであるBMWやアウディが電気自動車を使うフォーミュラEで活躍しているからだろう。

先日アウディやポルシェを率いるフォルクスワーゲンは内燃機関のある動力とする車両を使ったモータースポーツから完全撤退し、今後はモータースポーツでも電気自動車の開発に力を注ぐと発表した。

自動車を生み出したのはドイツだが、来たる電気自動車の時代にイニシアチブを取りたいフランスは電気自動車普及に向けて、2040年にガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針を発表している。日本ではそれほど電気自動車を推進する動きがないが、ヨーロッパでは「e-モビリティ」に力を注いでいるのだ。

いきなりエンジン音がレースから消えることはないだろうが、いずれ電気自動車ばかり乗る時代がやってくる。 これから私たちが乗る電気自動車の研究室がこのフォーミュラEである。面白いレースだけではなく、電気自動車の開発の場にもなるので、これまで以上に価値のあるレースになるだろう。 もちろんマシンの動力がエンジンからモーターに変わっても、モータースポーツの本質は何も変わらない。激しく、熱いバトルは必見だ。ダブルヘッダーで行われた開幕戦と第2戦も面白いレースが展開された。シーズンはまだ始まったばかりなので注目していただきたい。

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