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世界に誇る名コース「鈴鹿サーキット」の攻略法とは?

2020 1/1 17:00河村大志
鈴鹿サーキットⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

「レースに勝つため」「モータースポーツの普及」に生まれた鈴鹿サーキット

鈴鹿サーキットが生まれたきっかけはホンダの創業者、本田宗一郎氏の一言がきっかけだった。

「俺はレースをやるところが欲しいんだ。クルマはレースをやらなくては良くならない」

これまでバイクメーカーは浅間高原自動車テストコースで製品のテストを行っていたが、1959年を最後に、浅間高原自動車テストコースで行なわれる浅間火山レースは打ち切りとなった。

高性能が進む一方、性能を試す場がなくなったため、テストコースではなく一般道で性能を試すユーザーが増え、社会問題にもなった。

これからの高速時代に対応したクルマづくりと、安全な高速走行ができるレース場をつくるのがメーカーの義務であると本田宗一郎氏は考え、自社で鈴鹿サーキットの建設を指示した。

レースが製品をより良くするという本田宗一郎氏の考えで生まれた鈴鹿サーキットはその後、日本のモータースポーツの普及、販売車の高性能化、レーシングドライバーの育成など多くの役割を果たしてきたのだ。

世界中のドライバーが惚れ込むサーキット

F1ドライバーをはじめ、世界中のドライバーが口を揃えて1番に挙げる鈴鹿サーキットは一体どんなサーキットなのか。ここではサーキット攻略としておおまかなコースを紹介したい。

まずはホームストレートから1、2コーナーにかけて。スピードが乗っている状態でなおかつ下りなので度胸が試される。少し減速し、連続した1、2コーナーを抜けていく。

次に待っているのはS字と呼ばれる連続したコーナーだ。このS字をリズムよく駆け抜けられるかが1周全体のタイムに大きく響いてくる。S字から逆バンクは走っている場所を意識するのではなく、次のコーナーを意識して走ることが大切だ。

逆バンクからダンロップコーナーを抜けると、デグナーと呼ばれるコーナーがある。デグナーは1つ目と2つ目があるが、かなり下りながら直角に曲がらなければいけないため、ミスを起こしやすい。ここもデグナー1つ目で頑張り過ぎず、2つ目を意識して1つ目のコーナーを通過しないといけない。1つ目でアウトに膨れてしまうとクラッシュが待っている。

デグナーから立体交差を抜けると、ヘアピンカーブが待っている。立体交差とヘアピンの間に110Rと呼ばれるコーナーがあるが、そこで頑張り過ぎるとヘアピンを曲がることができない。ヘアピンではあまりブレーキングで突っ込み過ぎず、立ち上がり重視のライン取りが理想だろう。今年のF1を見ていると、クリッピングポイントを捉えず、ワイドに入っていくライン取りが主流のようだ。

ヘアピンを立ち上がり、ハイスピードで右にハンドルを切りながら振っていき、スプーンカーブへアプローチしていく。スプーンは左、左の複合コーナーでライン取りの自由度が高い。レース中ではイン側に入り、前車をオーバーテイクすることも可能だが、タイム狙いであれば次のバックストレートの加速をよくするために立ち上がり重視のライン取りが必要となる。

上りのバックストレートを駆け抜けると鈴鹿サーキットの代名詞でもある130Rというコーナーがある。ハイスピードで左に曲がっていくコーナーで勇気と度胸が試されるコーナーだ。

130Rを抜けると一気に減速し右、左のシケインが待っている。右でイン側の縁石に乗りすぎると弾かれてしまい、左の切り返しが厳しくなりホームストレートへの加速が伸びなくなってしまう。ここも2つ目のシケインを意識して走ることが重要だ。ここは1989年のF1グランプリでアイルトン・セナとアラン・プロストが接触した場所でも有名だ。

鈴鹿サーキットは前半のS字でリズムが狂うと全体のリズムも狂ってしまうため、前半の東コースの走りが大切となる。ここでリズムをつかむことができれば、最高の気分で走れるサーキットでもある。プロのドライバーが太鼓判を押す鈴鹿サーキットはマイカーで参加できる走行会も実施しているので一度体験してみてはいかがだろうか?

鈴鹿サーキットのコースⒸKonstantin Egorychev/Shutterstock.com

ⒸKonstantin Egorychev/Shutterstock.com