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【高松宮記念】「マイル重賞で逃げた馬」を狙え! 複回収率1135%のお宝データも該当の穴馬候補3頭

2025 3/27 17:00鈴木ユウヤ
2025年高松宮記念の穴馬イメージ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

データで見る「穴候補3頭」

いよいよ春のGⅠシーズンが本格開幕。日曜には短距離王決定戦・高松宮記念が行われる。ここから宝塚記念まで、JRAでは12週間で11個ものGⅠレースが開催される。競馬ファンが熱く盛り上がる季節の到来だ。

高松宮記念は2019年に3連単449万馬券が、22年にも同278万馬券が飛び出すなど波乱が多いレース。今年も例にたがわず混戦で、穴党にも出番がありそうだ。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。

本題の前に、データ的な前提に軽く触れる。中京芝1200mは独特の下り坂コーナーが曲者で、外を回されると不利が大きいコース形態である。実際、過去10年の当レースでは6~8枠は【3-3-1-73】複勝率8.8%、複勝回収率34%と低迷しており、良馬場に限ると【0-0-0-24】と3着以内すらない。以下に3頭取り上げるが、最終的にはやはり枠順次第で評価を改める必要がある。


「オーシャンSの2~6着馬」にお宝潜む ペアポルックス

まず1頭目はペアポルックス。関東圏の前哨戦にあたるオーシャンSでGⅠ馬・ママコチャに次ぐ2着に入り、後続には2馬身差を付けていた。

高松宮記念 前走オーシャンS組の条件別成績,ⒸSPAIA


当レースにおける「オーシャンS組」の成績はシンプルかつ特徴的だ。過去10年でオーシャンSの1着馬は【0-0-0-9】となぜか本番で凡走するのが恒例となっていて、かといって7着以下に大敗した馬も【0-0-0-26】と反撃がない。狙うは中間の「2~6着馬」で、その成績は【1-1-4-17】複勝率26.1%、複回収率564%と妙味抜群である。

また、着順ではなく「前走枠順」を切り口にすることもできる。「オーシャンSで1~4枠だった馬」は高松宮記念で【0-1-0-31】複勝率3.1%、複回収率15%、5~8枠だった馬は【1-0-4-21】複勝率19.2%、複回収率480%。好走率の差は偶然としても、オーシャンSで不利な外枠に当たることで、本番で過小評価されやすくなる(=馬券的にオイシイ)、とは考えられそうだ。

上記の2点をあわせて「オーシャンSで5~8枠を引き、2~6着だった馬」は【1-0-4-6】複勝率45.5%、複回収率1135%という神々しい数字。今年はペアポルックスが該当する。

デビュー以来、着外に敗れたのは稍重馬場で走った3回だけで、良馬場であれば【3-4-1-0】と複勝率100%を継続中だ。伸び盛りの4歳馬。週末を好天で迎えるようなら侮れない。


直近1年に「マイル重賞での逃げ経験」があれば複回収率529%! バルサムノート

2頭目はバルサムノートをピックアップする。前走は根岸Sでダートを試したが、結果的には全く適性がなく惨敗。今回は得意の芝に戻ってGⅠにトライする。

過去10年の高松宮記念では「前走逃げた馬」が【1-4-0-12】複勝率29.4%、複回収率223%と高い数値をマークしている。基本的にイン前を通った馬が有利なコースゆえ、やはりテンのダッシュ力は重要なようだ。ところが今年は該当馬不在。そこで、もう少し解釈を広げてみる。

高松宮記念 直近1年以内の「逃げ歴」有無別成績,ⒸSPAIA


レースを迎えた時点で「直近1年以内に逃げたことがある馬」と「ない馬」に分けてデータを出してみた。すると「1年以内に逃げ歴あり」の馬は【4-5-4-45】複勝率22.4%、複回収率289%で、一方の「逃げ歴なし」は【6-5-6-105】複勝率13.9%、複回収率43%と大きな隔たりがあった。

また、レシステンシアやロータスランド、ショウナンアンセムのように「1年以内にマイル重賞で逃げ歴あり」の馬が【1-2-2-9】複勝率35.7%、複回収率529%と素晴らしい数字でもある。東京新聞杯で逃げて2着から臨んだ昨年のウインカーネリアンも、馬券圏内ではないが11番人気4着と人気以上に善戦した。

この観点で浮上するのが、昨年の富士SとマイルCSで逃げを打ったバルサムノートだ。マイルCSは不得手な右回り、外が伸びる馬場、前半3F33.8秒のハイペースという三重苦で大敗も仕方なし。2走前は勝ち馬ソンシが強かったもので、前走は先に述べた通りダートが合わなかった。左回りの芝1200mはほぼベストな条件。一発あっていい。


中京芝1200mは「非社台、ミスプロ系のデカい馬」を買え ルガル

最後はルガルを選んだ。昨秋のスプリント王をそもそも「穴馬」と言っていいか微妙だが、どうも各所想定オッズでは5~6番人気くらいに留まっている。OKということにさせてもらいたい。

中京芝1200mというコースは先に述べた「外枠不利」のほかに、実はもうひとつ大きな特徴がある。それが「大型馬有利」だ。データを紹介しよう。

中京芝1200mの馬体重別成績,ⒸSPAIA


過去3年の当コースで、馬体重499kg以下の馬は複勝率18.7%、複回収率58%。これに対し、500kg以上の大型馬は複勝率33.3%、複回収率140%と圧倒的だ。あまり知られていないだろうが、ただ馬体重が大きい馬を買うだけで大幅黒字が出るコースなのだ。

また、500kg以上の馬のうち「父Mr. Prospector系」の「非社台系生産馬」に限るとさらに上がって【3-5-4-20】複勝率37.5%、複回収率292%。高松宮記念でいえば、一昨年の勝ち馬ファストフォースがこのプロフィールであった。

前走から30kg以上のマイナスでもない限り、サトノレーヴとルガルがこれに該当する。ルガルは昨年このレースで大敗したが、コース適性や能力の問題ではなく、(レース後に判明した)骨折の影響だったと考えられる。

想定であまり人気がないのは香港スプリントで大敗したせいだろうが、海外遠征は環境の変化に対応できるかの問題もあって、合う馬と合わない馬がいる。国内の一戦であれば昨年のスプリンターズSのパフォーマンスを素直に信じてよいのではないか。

<ライタープロフィール>
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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