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関西圏ローカルと芝短距離で信頼、関東主場では割引 幸英明騎手の「プラス条件・マイナス条件」

幸英明騎手の条件別成績,ⒸSPAIA

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重賞で活躍光る32年目のベテラン

今週末は中山で弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ/芝2000m)が開催される。タスティエーラやアスクビクターモア、タイトルホルダーなど、近年多くのクラシックホースを輩出している注目の一戦だ。

今年も朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)で2着に入ったミュージアムマイルを筆頭に、エリカ賞(1勝クラス)を4馬身差で制したナグルファル、同舞台の葉牡丹賞(1勝クラス)で1:58.8の2歳コースレコードをマークしたヴィンセンシオなど楽しみなメンバーが揃った。

有力馬の一頭であるミュージアムマイルに騎乗するのは、デビュー32年目の幸英明騎手。直近2戦はC.デムーロ騎手が手綱を取っていたが、今回は新馬戦と未勝利戦に騎乗していたベテランに3走ぶりの手戻りとなる。

その幸騎手であるが、ここに来て重賞戦線での存在感が増している。2月22日の阪急杯(GⅢ)ではカンチェンジュンガで豪快な大外一気を決めて今年の重賞初勝利を挙げると、サンライズジパングに騎乗した翌日のフェブラリーS(GⅠ)では華麗なイン突きで2着に食い込んだ。

さらに3月に入っても、2日のチューリップ賞(GⅡ)ではビップデイジーとのコンビで3着。JRA重賞騎乗機会3連続馬券内と活躍が目立っている。

そこで今回は、幸英明騎手の「プラス条件」「マイナス条件」をテーマに、データ分析を行う。なお、使用するするデータは2020年3月7日から2025年3月2日までとする。


中京、小倉のスプリント戦で躍動

幸英明騎手の「買える条件」,ⒸSPAIA


<幸英明騎手の「プラス条件」>
小倉芝【30-27-32-310】
勝率7.5%/連対率14.3%/複勝率22.3%/単回収率121%/複回収率68%
芝1200m【35-23-31-289】
勝率9.3%/連対率15.3%/複勝率23.5%/単回収率102%/複回収率71%
マジェスティックウォリアー産駒×ダート【10-9-13-44】
勝率13.2%/連対率25.0%/複勝率42.1%/単回収率176%/複回収率109%
ダート×OP以上【11-9-9-112】
勝率7.8%/連対率14.2%/複勝率20.6%/単回収率159%/複回収率77%
※集計期間:2020年3月7日~2025年3月2日

この章では、幸騎手の「プラス条件」を紹介していく。まずは芝の「プラス条件」について。

九州出身だけに、コース別では「小倉芝コース」での成績が優秀だ。特に小倉芝1200mは【16-12-16-145】で勝率8.5%、単回収率135%とプラス域をマークしている。

その他、福島芝も【3-0-0-8】とサンプルは少ないながら単回収率112%で、さらに京都芝も【17-28-34-321】の複回収率101%と狙い目となっている。

また、スプリント戦の成績が優秀で、芝1200mでは単勝をベタ買いするだけでプラスになる。先述した小倉芝1200mはもちろん、中京芝1200mでは【11-5-4-47】勝率16.4%、単回収率143%とさらに素晴らしい成績を残している。高松宮記念に出てくるなら無条件で注目したい。

次にダートの「プラス条件」について。まず目を引くのがマジェスティックウォリアー産駒との好相性ぶり。複勝率は40%オーバーで、回収率は単複ともにプラス域だ。

産駒の特徴として、馬格の大きな馬が多く、幸騎手の強みである「力強く馬を追う」騎乗スタイルがマッチするタイプが多いのだろう。ちなみに、同産駒では芝でも【3-0-4-12】単回収率1041%、複回収率250%という破格な数字を残している。

最後に、上級条件での活躍も目立つので触れておきたい。ダートのOPクラス以上では単回収率150%超えを誇り、11番人気のサンライズホープでオメガパフュームらを破った22年みやこSのように、2桁人気馬でも複数回馬券に絡んでいる。

上でも触れているが、今年もフェブラリーSで大胆なイン突きを決めるなど、やはり大舞台での活躍が印象的。上級条件では、たとえ人気薄でも軽視禁物だ。


東京・中山では苦戦傾向

幸英明騎手の「買えない条件」,ⒸSPAIA


<幸英明騎手の「マイナス条件」>
東京・中山【1-4-6-106】
勝率0.9%/連対率4.3%/複勝率9.4%/単回収率8%/複回収率22%
ロードカナロア産駒【3-10-13-116】
勝率2.1%/連対率9.2%/複勝率18.3%/単回収率16%/複回収率52%
芝2400m以上【5-5-12-99】
勝率4.1%/連対率8.3%/複勝率18.2%/単回収率13%/複回収率56%
※集計期間:2020年3月7日~2025年3月2日

つづいてこの章では、幸騎手の「マイナス条件」について取り上げていく。

基本的には芝もダートも関西圏かローカルで狙いたい騎手であり、関東の主場(東京・中山)では勝率0.9%で単回収率8%、複回収率も22%と非常に妙味が薄い。現状は、東日本へ遠征した際は割り引くのが無難だろう。今週末の弥生賞でも取り扱いには注意したい。

また、リーディング上位の種牡馬ではロードカナロア産駒との相性が悪く、単回収率16%、複回収率も52%に留まっている。特にダートでは、【0-5-10-47】と勝利がなく、評価を下げる必要がありそうだ。

「プラス条件」で述べた通り、スプリント戦で輝くのが幸騎手の特徴だが、一方で芝2400m以上では【5-5-12-99】で勝率4.1%、単回収率13%と振るわず。芝の長距離戦で狙うのは得策とは言えない。

ただし、芝3000m以上に絞った場合は【0-0-5-15】で複勝率25.0%、複回収率116%をマーク。3連単の3列目や、ワイドの相手としては十分狙える数値となることは覚えておきたい。

幸英明騎手のプラス条件・マイナス条件,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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