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【フィリーズレビュー】ハイペース必至、差し脚確かな馬に注目 本命は2戦2勝の素質馬ルージュラナキラ

フィリーズレビュー「上がり3F順位別成績」

ⒸSPAIA

序盤から終盤まで先行勢にとってタフなコース形態

3月8日(土)にフィリーズレビュー(GⅡ)が行われる。3着までの馬に桜花賞の優先出走権が付与されるトライアル競走だ。

今年はショウナンザナドゥやダンツエランといった既に重賞で好走経験のある馬から、まだまだキャリアの浅い素質馬まで18頭が揃う難解な一戦となった。

以下では、本レースが行われる阪神芝1400mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは阪神芝1400mのコース形態をみる。向正面左側、2コーナー出口付近のポケットからスタートし、初角までの距離は約440m。内回りコースの3~4コーナーを回ると、最後の直線は356.5m(Aコース使用時)となっている。

スタート直後は平坦で、向正面半ばから3~4コーナー、そして最終直線残り約200m地点まで緩やかな下り坂、最後に勾配1.8mの急な上り坂が待ち構えている。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約440mと長い点だ。序盤の先手争いは長引きやすく、ペースは上がりやすい。

また、向正面半ばから3~4コーナー、そして直線の残り約200m地点まで緩やかな下り坂となっているため、コーナーに入った後もペースは落ちにくく、先行勢は息を入れるタイミングがない。小回りの内回りコースを使用するとはいえ、序盤、中盤は淀みないペースで一気に流れる。

先行勢はここまでかなりタフな競馬を強いられ、さらに最後には勾配1.8mの急坂が待ち構えている。地力のない先行馬はここで完全に脚が止まる。

したがって序盤、中盤は中団から後方で脚を温存した、速い上がりを持つ差し脚確かな馬が恵まれやすいというのが今回のレースの質だ。

フィリーズレビュー「上がり5位以内馬成績」ⒸSPAIA


<フィリーズレビューにおける上がり3F5位以内馬の成績>
【9-9-6-40】勝率14.1%、連対率28.1%、複勝率37.5%、単勝回収率182%、複勝回収率123%
※過去10年

この傾向は数字にも表れている。フィリーズレビューにおける上がり3F5位以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。

馬券内となった30頭中24頭を占めており、メンバー上位の上がりを使えることは本レースで好走するために重要な要素だといえる。

ただ、本レースはGⅠシーズン間際の世代限定重賞ということもあり、メンバー間の地力の差が大きい。昨年はエトヴプレがハイペースを逃げ切り、次走桜花賞でも5着に好走した。

先行馬で厳しい競馬を強いられても、メンバー最上位の地力があれば、内前をロスなく立ち回って好走することがある。上位の上がりを出せずとも馬券圏内に残った6頭はそのパターンだった。

また、今年から日程が変更されてAコース3日目での施行となる。例年よりも内側の芝がキレイな状態でのレースとなるため、差し有利なレースの質はやや弱まる。

差し脚の確かな馬を重視しつつも、各馬の地力、枠や並び次第で先行馬の残り目も十分に起こり得ることに注意して印を打っていく。

ハイペース必至のメンバー構成

続いて、今回想定される展開から恩恵を受けられそうな馬を考える。

メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が10頭と出走馬全18頭に対して多い。その多くが徹底先行タイプであり、中には1200mからの距離延長馬もいる。前述のコース形態と相まって序盤の先手争いは激化し、ハイペースは必至だろう。

この展開で恵まれやすいのは、やはり中団から後方で脚を温存した、速い上がりを持つ差し脚確かな馬だ。全体としてタフなレースになるため、距離短縮ローテも評価を上げたい。

ただしAコース3日目での施行のため、まだまだ時計が速く、後方脚質の距離短縮は後手に回りすぎてしまい間に合わない可能性が高い。先団~中団で立ち回れる馬が距離短縮で自然と差しに回る形がベストだろう。この点も評価した上で印を打っていく。

差し脚確かな素質馬

◎ルージュラナキラ
2戦2勝の素質馬。今回のメンバーで随一の瞬発力を持つ。2走前の新馬戦では好スタートからスッと逃げる競馬。スローペースからの瞬発力戦でラスト4F12.3-11.8-11.0-11.0のラップをノーステッキで記録し、一度も先頭を譲ることなく完勝した。僅差2着馬も次走すぐに未勝利戦を勝利したようにレースレベルも申し分ない。

注目すべきは前走の1勝クラス・つわぶき賞。スタートは跳ね上がる形で出遅れてしまい最後方から。超内有利な展開、中京で終始外を回し続ける非常にロスの大きい競馬になったが、最後方の大外から同2位を0.5秒上回る上がり最速で差し切った。

着差以上に評価できる内容で、特に初ステッキからの急加速は強烈。まだまだ能力の底を見せておらず、次走以降の上積みに期待できる走りだった。

そしてこのつわぶき賞がハイレベル戦であり、出走馬の多くが次走以降重賞やリステッド、1勝クラスで好走している。それらの馬に対し、ただ一頭抜けた内容で完勝した本馬の実力は世代屈指だ。

先行馬が多い今回はハイペースが想定され、本馬に展開が向く。中団から後方で脚を温存し、最後に持ち前の末脚を発揮できれば勝ち負け必至とみる。既に重賞で好走経験がある馬たちが人気を集めそうで、オッズ妙味が十分にあるとみて本命を打つ。

◯ボンヌソワレ
こちらも重賞経験がない素質馬。安定した先行力と堅実な末脚を持つ。2走前の1勝クラスはラスト4F12.7-11.4-11.0-11.0のラップが記録されるなか、次走クイーンCを強い内容で圧勝したエンブロイダリーとの追い比べで2着。この内容が優秀だ。

今回のメンバーではテンの速さが上位ではなく、自然と差しに回る形が想定される。持ち前の末脚を発揮できれば順当に好走してくる。

▲ランフォーヴァウ
前走の阪神JFではスムーズに直線を迎えるも、外に弾かれる不利があって不完全燃焼な内容だった。不利があった後も強くは追わなかったため、度外視可能な敗戦だ。

デイリー杯2歳Sではハイレベルな現3歳牡馬の実力馬2頭相手に上がり最速で完勝しており、ここでも能力上位とみる。前走の敗戦を受けて高いオッズ妙味が見込まれる。

△ウォーターエアリー
新馬戦では先週のチューリップ賞を勝利したクリノメイを上回る末脚で僅差に迫った。良馬場であれば瞬発力は上位。

×ショウナンザナドゥ
距離短縮の先行馬。前走こそ振るわなかったものの、阪神JFの時と同様の走りができれば前目から残し得る。

×リリーフィールド
距離短縮の先行馬。阪神JFは明らかに残り200mで脚が止まっていた。適性に合う距離であれば粘り込める。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△×の馬連5点と、◎-◯▲-◯▲△×の3連複7点で勝負する。(花田)

▽フィリーズレビュー予想▽
◎ルージュラナキラ
◯ボンヌソワレ
▲ランフォーヴァウ
△ウォーターエアリー
×ショウナンザナドゥ
×リリーフィールド

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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