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復活を期す陽気なイタリアン! M.デムーロ騎手の「買える条件・買えない条件」

M.デムーロ騎手 買える・買えない条件,ⒸSPAIA

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43歳になった陽気なイタリアン

今週日曜、阪神競馬場でGⅡ・京都記念が行われる。大阪杯や宝塚記念を目指す実績馬たちが仁川に集結する一戦、注目はユーバーレーベンだ。新馬戦を勝って以降、重賞で強敵相手に惜敗を続けていた悔しさをオークスで晴らし、亡き岡田繁幸氏にGⅠタイトルを贈った孝行娘だ。秋GⅠでは故障明けとあって本来の走りを取り戻すまでには至らなかったが、心機一転の4歳シーズン、仕切り直しの一戦に万全の状態で挑む。

同馬の鞍上を務めるのはM.デムーロ騎手。若き日から日本競馬に参戦し、国内外で数々のGⅠタイトルを積み上げてきた名ジョッキーだ。今週は43歳になった陽気なイタリアンの騎乗成績をチェックしていき、買える条件・買えない条件を探っていく(使用するデータは特記ない限り2017年1月5日~2022年2月6日)。

M.デムーロ騎手 過去5年の騎乗成績,ⒸSPAIA


<M.デムーロ騎手 過去5年の騎乗成績>
2017年【171-103-79-312】勝率25.7%/連対率41.2%/複勝率53.1%
2018年【153-116-84-287】勝率23.9%/連対率42.0%/複勝率55.2%
2019年【91-71-77-337】勝率15.8%/連対率28.1%/複勝率41.5%
2020年【65-50-55-372】勝率12.0%/連対率21.2%/複勝率31.4%
2021年【75-60-67-333】勝率14.0%/連対率25.2%/複勝率37.8%

まずはM.デムーロ騎手のここまでのキャリアを振り返る。

故郷イタリアで騎手生活をスタート。1999年に初めて来日し、徐々に騎乗回数と勝ち星を伸ばしていくと、2001年の小倉大賞典をミスズシャルダンで制しJRA重賞初制覇。2年後の2003年には名馬ネオユニヴァースとの出会いを果たし、同馬とのコンビで二冠を達成。短期免許の特例で騎乗が叶った菊花賞は3着に終わるも、若き才能を遠い島国で強烈に印象付けた。

その後、ヴィクトワールピサを感動のゴールへ導いたドバイWC、天覧競馬での最敬礼のシーンが記憶に残るエイシンフラッシュの天皇賞(秋)など数多のビッグレースを制覇。2013年の通年免許試験では一次試験不合格の苦汁を味わったものの、満を持して臨んだ翌年の試験で無事合格、ルメール騎手とともにJRA所属騎手となった。

こうして日本にやってきた2人の外国人ジョッキーは日本競馬界に大旋風を巻き起こした。デムーロ騎手はリーディング上位に定着、とりわけビッグレースで手の付けられない勝ちっぷりを披露。2015年からの4年間で57ものJRA重賞タイトルを積み上げた。

2019年からは持病の腰痛、エージェント変更を含む複合的な要因が重なり、勝ち鞍が落ち込んでしまったものの、美浦に拠点を移すなどの取り組みが功を奏し徐々に盛り返しつつある。昨年はユーバーレーベンでオークスを勝ち、暮れにはサークルオブライフで阪神JFを制覇。大井ではオメガパフュームと東京大賞典4連覇の偉業を達成した。

53kg以下がアツい!

M.デムーロ騎手 買える条件,ⒸSPAIA


<M.デムーロ騎手「買える条件」>
関東馬×芝重賞:勝率15.2%/連対率25.0%/複勝率32.6%/単勝回収率149%
芝2400m:勝率22.5%/連対率37.3%/複勝率53.9%/単勝回収率96%
53kg以下:勝率30.4%/連対率41.9%/複勝率52.7%/単勝回収率119%

まず回収率の高い「買える条件」についてチェックする。

重賞での騎乗ぶりが心強いデムーロ騎手だが、特に関東馬の芝重賞で妙味がある。一時期は堀厩舎との黄金コンビが中心だったが、騎乗数が減った今もサークルオブライフ(国枝厩舎)、ライラック(相沢厩舎)など、ここぞの場面で勝ち切るケースが多い。安定感は特筆すべきほどではないが、単勝一撃の重さに期待してアタマで買いたい。

距離別成績では芝2400mを推奨。ユーバーレーベンのオークス制覇が印象深いが、平場などでもきっちり着を拾い、複勝率は5割を超えている。1勝クラスでは【6-4-6-5】複勝率76.2%、重賞でも【5-3-5-14】複勝率48.1%と計算が立つため、積極的に軸に据えるべきだ。

意外なところでは53kg以下の軽い斤量も好材料。ほとんどが3歳牝馬に騎乗するパターンで、勝率3割、単勝回収率119%は文句なし。見かけたら馬券を仕込みたい。

過剰人気傾向の継続騎乗

M.デムーロ騎手 買えない条件,ⒸSPAIA


<M.デムーロ騎手「買えない条件」>
関東馬×ダート継続騎乗:勝率11.1%/連対率24.0%/複勝率36.8%/単勝回収率30%
重賞×458kg以下:勝率14.8%/連対率24.6%/複勝率27.9%/単勝回収率63%

次に「買えない条件」をピックアップ。

馬券が売れる分、継続騎乗では妙味が薄い。特にダート戦で関東馬に騎乗する際は過剰人気が目立つ。複勝率ベースで考えると悪くないものの、単勝回収率が30%しかなく、単系馬券を買うのは控えたい。

ラヴズオンリーユーという例外を除いて、デムーロ騎手がGⅠを制した馬はほとんど大型馬。小さい馬ではあまり結果が出ておらず、458kg以下とやや小柄なサイズまで広げても複勝率は3割を切り、回収率は単複ともに平凡。人気を集めていれば逆らう価値がある。

M.デムーロ騎手 買える、買えない条件,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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