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【共同通信杯】エフフォーリア vs シャフリヤールの激突から1年 名馬を続々輩出する共同通信杯の歴史

2022 2/8 06:00緒方きしん
共同通信杯過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA
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ゴールドシップやナリタブライアンを輩出した出世レース

きさらぎ賞はハーツクライ産駒のマテンロウレオが勝利。今年に入って絶好調のベテラン・横山典弘騎手を背に、見事に先行勢を差し切った。さらに東京新聞杯もハーツクライ産駒のイルーシヴパンサーが勝利し、種牡馬もベテラン・ハーツクライが好調だ。

今週は出世レース共同通信杯。1967年に創設された伝統あるレースであり、条件を変えながらも様々な名馬を輩出してきた。昭和にはタケシバオーやカブラヤオー、テンポイントやミスターシービーらが勝利。平成以降もナリタブライアンやエルコンドルパサー(ダート開催)、ジャングルポケットにゴールドシップと、歴史的名馬たちが勝ち馬に名を連ねる。

今年も良血馬レッドモンレーヴ、祖母にウインドインハーヘアを持つアサヒ、重賞実績馬のダノンスコーピオンやジオグリフなど、クラシックに向けて楽しみな馬たちが集まった。ここから歴史的名馬は出現するのだろうか。今回は、共同通信杯の歴史を振り返る。

大荒れはないものの、1番人気は大苦戦

共同通信杯過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA


1番人気馬は現在7連敗中。この7連敗は2015年にドゥラメンテが敗北して以降続いており、ステラヴェローチェ(5着)やアドマイヤマーズ(2着)といった数々の実力馬が敗れてきた。ちなみに2番人気馬も、2017年にスワーヴリチャードの勝利を最後に、ステイフーリッシュ(10着)やシャフリヤール(3着)など4年連続で連対を外している。

まだ力関係がはっきりしていない時期というのもあり、必ずしも素質馬が1番人気になるわけではない。ゴールドシップやアドマイヤムーンは2番人気での勝利、2016年の勝ち馬ディーマジェスティは6番人気、昨年の勝ち馬エフフォーリアは4番人気だった。

昨年は4番人気、7番人気決着で馬連は81.2倍となったが、1番人気が苦戦している割には大荒れとなりにくいのが共同通信杯。最後に馬連が万馬券となったのは10番人気ヤマニンアクロ、13番人気キンショーテガラによる1146.5倍の10万馬券だが、それも1999年の話で、2000年以降は100倍に達していない。

ワイドも同様の傾向で、2018年1着6番人気オウケンムーン、3着10番人気エイムアンドエンドの配当は83.5倍。エイムアンドエンドは単勝132.9倍の伏兵だったにもかかわらず、万馬券には届かなかった。3着以内を人気上位3頭で占めることもあり、2001年や2010年、2012年、2014年がそれに該当する。

未来の年度代表馬とダービー馬が激突

例年、素質馬が集結する共同通信杯ではあるが、2021年も素晴らしいメンバーが揃っていた。1着のエフフォーリアはこのレースの勝利後、皐月賞1着→ダービー2着→天皇賞(秋)1着→有馬記念1着と、ほぼ完璧な戦績を残した。特に秋の2戦はコントレイルやグランアレグリア、クロノジェネシスといった歴史に名を刻むクラスの強豪を撃破しての価値ある連勝で、年度代表馬にも選出されている。

そのエフフォーリアに、現状では唯一の土をつけているシャフリヤールも、2021年の共同通信杯組(3着)。こちらは秋初戦の神戸新聞杯でこそ4着に敗れたものの、ジャパンCではコントレイルの3着に食い込んでいる。さらに5着のステラヴェローチェも、皐月賞、ダービーで3着、菊花賞、有馬記念で4着と、一年を通じて抜群の安定感を見せた。

2着馬ヴィクティファルスはスプリングS制覇、4着馬キングストンボーイも青葉賞2着、神戸新聞杯5着など、古馬になってからも大いに楽しませてくれそうな逸材が揃ったレースだった。ただ、2021年組はエフフォーリア、シャフリヤールが菊花賞を回避し、ステラヴェローチェが4着に敗れたことで共同通信杯の出走馬による三冠独占とはならなかった。

一方で2012年組は1着ゴールドシップが皐月賞、菊花賞を勝利し、2着馬ディープブリランテがダービーを制覇。この年の牡馬クラシックは全て共同通信杯組で独占した。さらに古馬になってからもゴールドシップが宝塚記念や天皇賞(春)を制したほか、3着馬スピルバーグも天皇賞(秋)を制している。こちらも、ハイレベルな共同通信杯においても一際目立つ年だった。

トニービンの血が騒ぐか

共同通信杯といえば、ジャングルポケットを連想する人も少なくないだろう。自身も2001年に圧倒的人気に応えて本レースを制しているが、2007年には産駒のフサイチホウオーが共同通信杯を勝って親子制覇を成し遂げた。

2009年には同じくジャングルポケット産駒のトーセンジョーダンが2着に入ったほか、2018年にはオウケンブルースリ産駒のオウケンムーンが勝利。オウケンブルースリの父はジャングルポケットなので、祖父としても共同通信杯を制したことになる。

その原動力のひとつはジャングルポケットに流れるトニービンの血だろう。東京が得意なトニービンの血が流れている馬といえば、今絶好調のハーツクライも挙げられる。昨年の優勝馬・エフフォーリアは母父ハーツクライで、2着馬ヴィクティファルスはハーツクライ産駒だった。

今年も、人気の一角ダノンベルーガはハーツクライ産駒であり、伏兵のレッドモンレーヴ、サンストックトンも母系にトニービンを持つ。東京が得意な血統に注目するのも面白そうだ。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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