少頭数も好メンバー集結
9月4日(土)に札幌競馬場で行われる札幌2歳S(GⅢ・芝1800m)。昨年1着のソダシは桜花賞を、2着のユーバーレーベンはオークスを制し、3着のバスラットレオンはニュージーランドTを圧勝と出世レースとなった。
今年も、ディアドラの全弟で新馬戦快勝のリューベック、東京芝1800mの新馬戦で鋭い上がりを使って勝利したジオグリフ、函館芝1800mを好時計で制したトップキャストなど好メンバーが揃った。頭数こそ10頭と少なくなったが素質馬が集まったという印象だ。過去の傾向やレースレベルを踏まえながら予想していく。
タフなレースになりやすい

まずは過去10年の札幌2歳Sについて時計面からみていく。まずレースの上がり3Fについて、2012年を除き全ての年で36.0秒以上かかっており、殆どが36台代後半から37秒台となっている。また、前半1000mのタイムについても1分フラットから1秒台が多く、比較的ペースが流れている。
これらのことから、札幌2歳Sはタフなレースになりやすく、「スローペースからの瞬発力勝負」という典型的な2歳戦とはレースの質が大きく変わってくると言ってよさそうだ。
前走逃げた馬が不振なのはなぜ?

次に脚質についてだが、札幌2歳Sは前走逃げていた馬の成績があまり良くない。3番人気以内に支持された馬でも【1-1-1-7】となっており、人気を考えれば不振といっていいだろう。
ただ、これらの馬のほとんどは札幌2歳Sにおいて逃げの競馬ができていない。2016年のタガノアシュラは出遅れて引っ掛かっており、2018年のウィクトーリア、2019年のゴルコンダも同様。これらのことから、前走逃げ馬が不振の原因は気性面や発馬によるものと考えるのが妥当で、「今回も逃げられるか」「控える競馬は可能か」という観点から個別に取捨を考慮すべきとみる。
前走の再現トップキャスト
以上を踏まえて本命はトップキャストとする。とにかく前走の内容が秀逸で、勝ち時計1.48.5は函館芝1800mの2歳戦で歴代2番目の猛時計だ。
そもそも2歳で函館芝1800mを1分48秒台で勝った馬は2018年新馬戦のウィクトーリア(1.48.3)と今年のトップキャストしかおらず、そのうえウィクトーリアのレースは最後の直線追い風、トップキャストのレースは向かい風だったので、内容は実質レコードと言って良さそう(1周コースでは直線コースで2回分風を受けるため、直線向かい風の方が時計がかかりやすい)。
またラップ的にも前半1000mを1.00.2で入り、残り800mから3F連続で11秒台を刻み一気にけりをつけた強い内容。最後の1Fこそ13.0と失速しているが、厳しいペースと直線向かい風を考慮すれば致し方ない。レースレベルも高く、2着のシンティレーションは先週のレースで完勝している。これらのことから持っているポテンシャルは相当高く、タフなレースでこそ強みが活きるタイプなので、前走の競馬をすれば敵う馬はいないとみて本命とした。スタートが上手でテンも速いので逃げ馬でも死角なしだ。
対抗はジオグリフ。前走の新馬戦は東京芝1800mだったが好位追走から上がり最速33.3の脚を使って差し切り勝ち。スローペースとはいえなかなか使える脚ではなく能力は非常に高い。かなり離れた4着馬も次走で勝ち上がっており、メンバーレベル自体も問題ないだろう。
1歳上のアルビージャは現在3連勝中で弟の活躍にも期待したいところだが、兄同様に若干エンジンのかかりが遅く、札幌では差し損ねる可能性がありそうなのが懸念点。そのため対抗評価にとどめたがトップキャストに勝てるとしたらこの馬だ。
3番手にトーセンヴァンノ。前走は初の1800mだったがしぶとく伸びて勝ち切った。メンバーレベル的には未勝利戦と大差なかったが、距離への適性を見せたと言えるだろう。2歳戦にしてはタイトな流れを先行して押し切っていることからタフさも備えており、このレースに合っていそうだ。また新馬戦と未勝利戦で敗れた相手はクローバー賞でワンツーを決めており、しかもかなりの好タイム。戦ってきた相手は意外と強く、今回もあまり人気しなさそうなので配当的にも狙い目だ。
4番手にダークエクリプス。前走の新馬戦は勝ちタイムこそ平凡だがハイレベルで、既に5着馬と6着馬が勝ち上がっており、3着馬及び7着馬も次走2着に好走している。その中でこの馬はインで上手く脚を溜めながら直線あっさり抜け出して完勝。レースセンスの高さを活かせば上位争い可能だ。
5番手にエーティーマクフィ。トーセンヴァンノと同じく前走が初めての1800mだったが、折り合いは問題なく後方から差してきて2着。最後にやや伸び負けたことや父マクフィという血統面から若干距離が長い印象は否めないが、トーセンヴァンノとの能力差についてはほとんどないので押さえておきたい。
リューベックの前走は逃げて最後まで11秒台を刻み押し切る競馬だったが、11秒台を続けられたのはスローペース&直線追い風が影響したもの。この組からは次走好走馬がほとんど出ておらず凡走続きなのでレースレベルも疑問だ。今回は控える競馬になりそうだが抑えられるかも微妙なところなので、上位人気濃厚の今回は軽視したい。
買い目は◎トップキャストの単勝と馬連◎-○▲△×で勝負したい。特にトップキャストの単勝が4倍以上つくなら単勝に厚く張りたいところだ。(文:川崎)
▽札幌2歳S予想印▽
◎トップキャスト
○ジオグリフ
▲トーセンヴァンノ
△ダークエクリプス
×エーティーマクフィ
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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