先週末からCコース
夏の北海道開催の終わりを告げる重賞、札幌2歳S(GⅢ・芝1800m)。昨年は1着ソダシが桜花賞、2着ユーバーレーベンがオークスを制覇するなどハイレベルなメンバーが揃う一戦で、結果次第で来年のクラシックへの希望が見えてくるレースでもある。今回も馬場適性の観点からレースを分析していく。
先週末、8月28・29日の札幌芝コースで行われたレースは14レース。週中の雨量が3.5mmのみと2回開催の中で最も少なかったこともあってか、ゴール前の含水率は低めで土曜日が11.3%、日曜日が11.7%となっていた。また使用するコースもAコースからCコースへと変更、Aコースから3m外に仮柵が設置された。
しかし全体的な勝ちタイムは、Aコース最終週となった札幌記念の週と比べてもほぼ同程度。最終週となるが、引き続き良好な馬場状態を保っていると言えるだろう。

続いて3着内馬の脚質について見てみると、4角先頭だった馬と4角2〜4番手だった馬がそれぞれ5勝ずつと活躍。勝ち馬については先行有利の傾向が強かった。しかし2、3着馬の通過順では4角5〜7番手が2着4回、3着6回、4角8番手以下からでも2着4回、3着3回と差しも徐々に届き始めている点は考慮する必要がありそうだ。
三つ巴の一戦
出走メンバーを見渡したところ、今年はリューベック、ジオグリフ、アスクワイルドモアの三つ巴と考え、注目馬はこの3頭のみとした。

【リューベック】
新馬戦はスピードの違いで逃げる形となったが、後半のラップは12.5-11.9-11.6-11.6と減速することなく余裕のある勝ち方を見せた。今回は番手に控えるレースとなりそうだが、特に不安を感じるようなタイプではない。ペースが流れることはむしろプラス材料となりそうだ。
【ジオグリフ】
東京芝1800mの新馬戦は3番手追走から上がり33.3の末脚を繰り出して勝利。ラスト5F57.6は破格のタイムだと言える。距離こそ違うものの、先週の新潟2歳Sを制したセリフォスが中京芝1600mの新馬戦でマークした57.8を0.2秒上回っている。しかし、4角での手応え、直線に向いてからエンジンがかかるまでの時間をみると、広いコースでこそ良さが出そうなタイプに映る。器用さではリューベックの方が上、小回りの札幌コースで取りこぼす可能性はある。
【アスクワイルドモア】
3走目となった前走の未勝利戦で初勝利をあげた。前半からペースは流れる中、4番手のインコースを追走。直線に向くところで進路が無くなる不利がありながらも怯まず突き抜けた内容は評価できる。2走前は中団から差す競馬もできており、どんな形のレースになっても対応できるだけの経験値がある。上記2頭に割って入るならこの馬だろう。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
《関連記事》
・【新潟記念】大混戦! 一発狙いはサマー2000シリーズに出走していない馬?
・【小倉2歳S】前走新馬勝ちが優勢も、あえて狙ってみたいフェニックス賞1着ナムラクレア
・【札幌2歳S】リューベックは危険な人気馬か? 「関西馬」「乗り替わり」「前走逃げ」の三重苦