4角2〜4番手が7勝
夏の札幌開催で最も豪華メンバーが揃う重賞レース、札幌記念(GⅡ・芝2000m)。今年は登録が13頭となっているが、前走で香港のクイーンエリザベスⅡ世Cを勝利して挑むラヴズオンリーユー、桜花賞馬ソダシの参戦もあり注目を集める。これらの2頭に死角はないのか、それとも伏兵の台頭も十分あり得るのか、馬場適性の観点から分析していく。
大雨の影響を受けた小倉競馬場とは対照的に、札幌競馬場は唯一雨の影響を受けることなく良馬場で行われた。週の前半に雨が降ったものの、土曜日はクッション値7.4、ゴール前含水率12.4%、日曜日はクッション値7.6、ゴール前含水率13.5%となっていた。
勝ちタイムについては、1回開催終了後6週間が開いていたものの、レコードが連発していた開幕週の馬場ではない。土曜日の12Rに行われた札幌道新スポーツ賞(2勝クラス・芝1500m)ではヴァトレニが1:27.9という好タイムで勝利しているが、全体的には例年の同時期と同じ程度、もしくはやや速い程度のタイムが出る馬場だと言える。良馬場なら札幌記念は1:59.0前後の決着が見込まれる。

続いて芝コースの3着内馬の4角通過順位を見ると、14レース行われたうち4角2〜4番手だった馬が7勝、2着5回、3着7回と最も好走。次いで4角5〜7番手の馬が4勝、2着4回、3着3回となっている。
小回りコースで先行有利の傾向は強いが、人気薄の馬が道中中団でロスなく脚を溜めて直線で外へ持ち出して3着内に好走するパターンも多かったことからも、立ち回りの上手い差し馬には警戒が必要だ。
ラヴズオンリーユーの相手探し
これらの傾向を踏まえつつ、札幌記念出走予定馬の中から注目馬をピックアップ。いつものように特に注目したい注目馬には馬名の前に☆をつけている。

【☆ラヴズオンリーユー】
今年に入り京都記念を快勝し、3歳時のオークス以来久しぶりの白星をあげると、ドバイシーマクラシックではミシュリフやクロノジェネシスと大接戦を演じて3着。さらに香港へと転戦してクイーンエリザベスⅡ世Cではグローリーヴェイズ、デアリングタクトを破って勝利と充実期を迎えている。帰国初戦となるが、海外での2戦の内容から洋芝への適性は全く問題なし。良馬場なら格の違いを見せてくれるだろう。
【ソダシ】
前走のオークスはデビュー以来初めての敗戦となった。序盤はやや掛かり気味で最後は失速する形でやはり2400mは長かったという印象だ。それでも最後の直線に向いてから残り300m過ぎまでで見せた脚はさすがGⅠ馬と思わせるところがあった。2000mもやや長い可能性もあるため全幅の信頼は置けないが、斤量52kgと実績ある札幌コースでラヴズオンリーユーにどこまで食い下がれるか、秋華賞を見据える上でも注目したい。
【ステイフーリッシュ】
2018年の京都新聞杯を勝利して以降は白星に恵まれていないが、GⅡ・GⅢでは2着5回、3着6回と善戦。コース、馬場状態を問わずどんな条件でも安定して走れる点は魅力。休み明けにはなるが、前走のように番手から早めに動き、粘り込むレースができれば再び矢作厩舎ワンツーの可能性も考えられる。
【バイオスパーク】
昨秋に福島記念を制して以降、ハンデ戦で57kgを背負って結果が出ていなかったが、前走の函館記念ではハイペースの中4番手追走から3着に粘った。今回は初の札幌コースとなるが、函館コースよりコーナーが緩やかで加速しやすい点はプラス材料。脚質の自在性があり、洋芝適性も高いので馬券圏内への好走は十分ありえる。
【アイスバブル】
前走の函館記念は14番人気ながら2着と好走。4角11番手と後方にいたが、直線では一旦進路が狭くなったところから強引に馬群を割って伸びてきた。やや荒い乗り方ではあったが、今回も同じように内枠を引き、道中ロスなく脚を溜めて直線で馬群を捌くことができれば、再びの好走があるかもしれない。
【サトノセシル】
2走前の洞爺湖特別までは逃げ・先行で結果を残してきたが、格上挑戦となった前走のクイーンSでは中団から差す競馬で勝ち馬からクビ+クビ差の3着と好走した。今回はさらに相手が強くなるが、勢いと脚質に幅が出た点に期待してもう一度押さえておきたい。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
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