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【安田記念】グランアレグリア連覇を阻んだダノンキングリー 激走のワケとは?

2021 6/7 11:06勝木淳
2021年安田記念のレース展開図インフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

持久力と加速力が求められる舞台

春の東京GⅠ5連戦のうち芝1600mは3レース。総合力を問われる東京マイルはどの馬が強いのかという能力値を見定める絶好の舞台だ。それぞれの前後半800mと勝ち時計を並べると、

NHKマイルC 45.3-46.3 1.31.6 シュネルマイスター
Vマイル 46.0-45.0 1.31.0 グランアレグリア
安田記念 46.4-45.3 1.31.7 ダノンキングリー

東京芝1600mのGⅠはざっくり前後半46秒-45秒で駆けないと勝てない時代になった。NHKマイルCは3歳同士の限定戦のため、前半45秒台で入り、後半は46秒台になったが、これはさすがにハイペース。前半800mを46秒台、つまり平均11.5でラップを刻みながらも、後半800m45秒台、平均11.25とさらにペースをあげなければならない。

安田記念の前後半800m46.4-45.3はスローペースではない。ある程度のペースで突っ込みながら、後半さらに加速しないと上位に来られない。かつてなら、前半46秒台から後半46秒台で決まるような競馬もあったが、ここ数年はきわめてラップバランスが厳しく、持続力と加速力どちらも求められる流れになりやすい。もはや東京芝1600mのGⅠは究極の舞台になったといっていい。安田記念はグランアレグリアの敗戦で1番人気が6連敗になったが、究極の舞台で主役を張って勝つのは容易ではないということだろうか。

グランアレグリアの敗因は

12.3-11.0-11.6-11.5-11.4-11.2-11.0-11.7

今年の安田記念のラップ構成だ。スタート直後にトーラスジェミニがダイワキャグニーの出方をうかがい、それを行かせた場面以外はすべて11秒台が並ぶ。前半からある程度のスピードで流れに乗り、後半は距離を追うごとに加速する、これだけスキがないラップが続くレースでは、ちょっとしたことでギアを緩めれば、致命的になる。

グランアレグリアは直線前半で周囲に脚が残っていたシュネルマイスターやダノンキングリー、ケイデンスコールがいて外に進路がなかった。内に切り返した分、2着だったが、ルメール騎手は息遣いや行きっぷりがいつものものではなく、位置取りが悪くなったとコメントしており、状態面も敗因だったか。

父ディープインパクト、母の父ストームキャットの底力

グランアレグリアの連覇を阻んだのは同じ5歳ダノンキングリー。皐月賞3着、日本ダービー2着の好素材ながら、休み明けの前哨戦は勝てるが、叩いた本番ではパフォーマンスを下げるというディープインパクト産駒に多い傾向に阻まれてきた。この春は順調さを欠いたが、うまく立て直し、7カ月の休み明けで出走できた。狙ったローテーションでは決してなかったが、災い転じてといったところ。しっかり調整してきた陣営を称えたい。

以前はスローペースを先行して抜け出すという形が得意パターンだったが、正反対の厳しい流れを中団から進められた。川田将雅騎手が新たな一面を引き出したといっていい。父ディープインパクト、母の父ストームキャットの組み合わせは、JRA・125勝でトップ。アユサン、キズナ、ラキシス、リアルスティールとラヴズオンリーユー、サトノアラジンなど活躍馬多数。ダノンキングリーの勝利はJRAのGⅠ6勝目となった。

この組み合わせは持続力を求められる流れをしっかり追走し、最後にいい脚を使う競馬が得意。ダノンキングリーも血統のいいところをしっかり発揮、さらにもうワンランク上にステップアップした。

三嶋牧場にとって初のJRA・GⅠ制覇となった。米国から輸入した母マイグッドネスはダノンレジェンド、ダノンキングリーのGⅠ(JpnⅠ)馬を出しただけでなく、産駒6頭中5頭が勝ちあがる賢母。三嶋牧場が大事に育む牝系として発展していくだろう。

安田記念を勝ったことで、ダノンキングリーは得意な条件、進むべき道がよりくっきり見えた。それは馬券を買う側も同じ。これからは以前のイメージを捨て、安田記念を参考に付き合いたい。

3着は4番人気の3歳シュネルマイスター。グランアレグリアの中2週も厳しいが、3歳馬が中3週で古馬とGⅠで激突するのも簡単ではない。この3着は大いに価値がある。秋にはマイル路線の頂点を狙える。

3番人気8着だったサリオスは、マイル戦だとゲートでどうしても遅れてしまう。道中の反応からもマイルは短い。ハーツクライ産駒らしく2歳から反応がいいわけではなかったが、さらにズブさが増し、本来の距離適性が古馬になって出てきた印象で、今後は中距離路線を歩むのではなかろうか。


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。

2021年安田記念のレース展開インフォグラフィックⒸSPAIA




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