近年本番に結びつかない前哨戦だが
前哨戦の京王杯SCと安田記念を連勝したのは05年アサクサデンエンが最後。ただし、この10年、前走京王杯SCだった馬は本番で【2-3-1-30】、着度数別ではトップ。17年7番人気1着サトノアラジンは京王杯SC9着から巻き返した。
それ以来、好走馬は出ていないが、ここ最近の京王杯SCはスローペースで後半が速い競馬が多く、タワーオブロンドン、ダノンスマッシュとスプリンター寄りの馬が勝利していた。序盤が遅い“軽めの競馬”だった京王杯SCは安田記念とは問われる適性が異なる、いわゆる「違う競技」になりやすい。
今年の京王杯SCは1200mの条件戦を勝ちあがったビオグラフィーが注文をつけ、ハナに行き、2番手ラウダシオン以下を引き離した。スタートから12.1-10.9-11.3-11.2-11.0-11.5-11.8。前半600m34.3。楽にハナには立てたが、道中でペースを落とさずにラップを刻む。残り600~400m11.0、ビオグラフィーは極力リードを早めに奪って粘り込む作戦だった。
2番手ラウダシオンはビオグラフィーに離されるどころか、そこで差を詰めていく。ここでしっかり前を捕らえられる脚力が勝因。ビオグラフィーとの差を詰めながら、後続に対してリードを作る。先頭が離し逃げ気味に行ったときの2番手というのは競馬がしにくい。後ろを意識すると、前に逃げられ、前を早く捕まえると後ろに食われる。この競馬はラウダシオンに力がある証拠でもあった。
さすがに最後は失速気味になり、2着トゥラヴェスーラ、3着カイザーミノルに差を詰められたが、残り600~400mの決断と脚力が生んだ貯金を使い、勝利した。失速加減だったことからマイルは距離的にはギリギリかと考えそうだが、早めに動いたぶん失速したのであって、距離適性が要因ではない。NHKマイルCに続き、マイルGⅠ2勝目の可能性はある。後半600mは34.3で、前後半600mはイーブン。ここ2年のような緩い流れの軽い競馬では決してなかった。記録、内容ともにラウダシオンは安田記念でも楽しめそうだ。