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「過剰人気」の宿命をどうくぐり抜ける? 藤田菜七子騎手の「買える条件・買えない条件」

藤田菜七子騎手デビュー以降の騎乗成績,インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

「女性騎手」の枠を超えた2019年・43勝

今年の新人騎手の顔ぶれでひときわ話題を呼んだのが、永島まなみ騎手と古川奈穂騎手、女性ジョッキー2人の誕生。古川騎手は実績馬バスラットレオンの鞍上に起用され見事勝利、ニュージーランドT制覇につなげたほか、永島騎手もデビュー2週目に初勝利を挙げてから人気薄をたびたび馬券圏内に持ってきており、幸先よいスタートを切っている。

2人のデビューで先輩の立場になるのがご存じ藤田菜七子騎手。2019年カペラSでコパノキッキングを勝利に導き、女性騎手として史上初となるJRA重賞制覇を飾ったほか、海外遠征の経験、新潟開催でのリーディング受賞など実績を積み重ねている。キャリア6年目と若手から中堅へとステップアップしていく時期を前に、デビュー以後の騎乗成績を検証し、馬券で狙える条件と狙えない条件を探っていく(使用するデータは2016年3月15日~2021年4月18日)。

藤田菜七子騎手の成績ⒸSPAIA



<藤田菜七子騎手 デビュー以降の騎乗成績>
全体成績【131-144-107-2301】勝率4.9%/連対率10.2%/複勝率14.2%
2016年【6-12-8-268】勝率2.0%/連対率6.1%/複勝率8.8%
2017年【14-16-12-340】勝率3.7%/連対率7.9%/複勝率11.0%
2018年【27-28-19-531】勝率4.5%/連対率9.1%/複勝率12.2%
2019年【43-49-32-579】勝率6.1%/連対率13.1%/複勝率17.6%
2020年【35-32-31-472】勝率6.1%/連対率11.8%/複勝率17.2%
2021年【6-7-5-111】勝率4.7%/連対率10.1%/複勝率14.0%

まずはデビューから各年度の成績を振り返る。久しぶりの女性騎手誕生に競馬界が大いに沸いたルーキーイヤーの2016年。スプリングSで重賞初騎乗を果たすなど話題性には事欠かなかったが、6勝という寂しい数字に終わった。この年は同期6人で見ても勝利数・単勝回収率・複勝回収率全てでワーストを記録しており、大きな壁にぶつかっていた印象だ。

2年目からは徐々に好走の割合が増え、現時点でのキャリアハイとなる2019年は43勝まで数字を上げてきた。従来、女性騎手の年間勝利数トップは11勝(1997年・牧原由貴子騎手)だったことを考えると掛け値なしに優れた成績。前述のカペラS制覇のほか、同じくコパノキッキングとJpnⅠ制覇に限りなく近づいたJBCスプリント2着など、大レースでも存在感を示した。同年は2位の坂井瑠星騎手(30勝)を大きく離して同期トップの勝利数だった。

2020年はデビュー以来初めて前年の成績を下回ったものの、勝率・複勝率ベースでは前年と同水準をキープ。今年は現時点で6勝とやや不振が続いているものの、シーズンはまだ3分の1も終わっていない。今後の巻き返しに期待がかかる。

基本的には「買わない方がいい」ジョッキー

藤田菜七子騎手の買える条件ⒸSPAIA

<藤田菜七子騎手を「買える条件」>
新潟芝1000m:勝率13.0%/連対率18.2%/複勝率20.0%
未勝利×3番人気以内:勝率23.3%/連対率42.8%/複勝率51.6%

最初に断っておくと、藤田菜七子騎手はどうしても人気先行になってしまい、回収率が高い条件が極めて少ない。過剰人気の宿命を背負ったジョッキーで、シビアに考えるならばどのようなレースでも買わないのが正しい選択である。

そんな中で数少ない回収率100%以上の舞台が新潟芝1000m。開催リーディングを奪取した実力はダテではなく、特に斤量55kg以下では単勝回収率170%をマーク。減量がない特別戦に限っても単勝回収率は150%近く、このコースの乗り方をよく心得ている第一人者といっていい。西田雄一郎騎手が引退した現在、新たな「千直マイスター」の座に最も近いジョッキーと言えるだろう。

続いて3番人気以内に支持された未勝利戦。全体で見ても単勝回収率86%・複勝回収率81%と水準以上の数字を残している。さらに妙味が高まるのは前走から継続騎乗となる場合で、該当馬は【16-17-6-28】複勝率58.2%、単勝回収率112%を記録。減量を生かした逃げ切り・先行押し切りが多く(16勝中14勝が逃げ・先行)、基本的には他の減量騎手を狙う場合とほぼ同じスタンスで馬券を買っていきたい。

1年以上馬券になっていないダートの1枠

藤田菜七子騎手の買えない条件ⒸSPAIA

<藤田菜七子騎手を「買えない条件」>
3勝クラス以上:勝率1.5%/連対率3.1%/複勝率3.8%
根本康広師管理馬:勝率1.8%/連対率4.8%/複勝率8.2%
ダート×1枠:勝率4.2%/連対率7.6%/複勝率8.5%

次に「買えない条件」をピックアップ。前述した通り狙うのが難しいジョッキーなので、ほとんど回収率が伴っていないのだが、輪をかけて(ほとんど消しでいい)狙いにくい条件を挙げる。

まずは3勝クラス以上の上級条件。のべ131回の騎乗があり、馬券になったのはわずか5回。複勝率は4%に満たず、回収率は単複ともに15%とかなり厳しい水準。ちなみに2勝クラス以上まで広げても複勝率6.3%、単勝回収率16%・複勝回収率27%と改善されておらず、馬券に入れるなら1勝クラスまでに絞っておくのが無難だ。

師匠である根本康広調教師の管理馬に騎乗する回数も多いが、現時点では単勝回収率8%、期待に応えているとは言い難い数字が並ぶ。抜けた上位人気に推されることがあまりないとはいえ上位人気の一角を占めることは多いだけに、師弟コンビの過剰人気に注意したい。

最後にダートの1枠。砂をかぶったり立ち回りがやや難しい条件とはいえ、2020年1月(エンドーツダ:1勝クラス1着)を最後に直近1年以上馬券になっていない点はさすがに気になる。難易度が高い枠ではあるが、人気を集めていても逆らえる要素は十分。出馬表に該当のケースを見つけたら消していいだろう。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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