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【フローラS】オヌールとユーバーレーベンは堅実も 前走に着順以上の評価ができる穴馬は?

2021 4/22 06:00坂上明大
フラワーC馬場/転回バイアス:前有利ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

Never Bendなパワー型

2着馬までにオークスの優先出走権が与えられるフローラS。近年は本番の勝ち馬こそ出ていないものの、チェッキーノやモズカッチャン、ウインマリリンなどオークスの2着馬を多数輩出している重要ステップレースだ。本番に向けても、まずは有力馬の戦歴を振り返りたい。

【若駒S】
1着馬ウインアグライアはNever Bendの5×5・6から受け継ぐ立ち肩のパワータイプ。内回り適性が高く、芝の道悪馬場も苦にしない。さらに前後半1000m61.5-62.3の中盤の緩まないタフな流れも本馬に向いた。1~3着馬はいずれも母父Roberto系でもあり、パワーやタフさが活きる競馬だったといえるだろう。東京替わりは割引。

牝馬で3頭目の勝利

【ゆりかもめ賞】
1着馬パープルレディーはメリッサ(10年北九州記念)の5番仔であり、全兄にはミッキーグローリー(18年京成杯オータムAH、19年関屋記念)やカツジ(18年NZT、20年スワンS)がいる良血馬。

Alzao≒ダンシングブレーヴの3×3の瞬発力が武器であり、スローペースの本レースでもその瞬発力が活きた。勝ち時計は例年と比較しても平均的だが、牝馬で制したのはサトノワルキューレ(18年フローラS)、リリーピュアハート(現3勝クラス)に続き3頭目。この時期の3歳牝馬が長距離戦をこなすことは稀で、血統的、体型的にも2000m程度がベターであることを考慮すると数字以上の評価は必要だろう。

重賞級の瞬発力

【アルメリア賞】
1着馬オヌールは前半1000m64.3の超スローペースでもスムーズに折り合い、直線勝負に制して連勝。直線追い風も後押しして上がり3Fは32.7を計時した。アヴニールセルタン(14年仏1000ギニー、オークス)の2番仔であり、全姉デゼルは21年阪神牝馬S勝ち馬。

418キロの小柄な牝馬だが、良血馬らしい品のある好馬体で、トップスピード時のフットワークも実に素晴らしい。Halo≒Sir Ivor≒Red Godの3・5×6・6・6由来の瞬発力は姉同様に最大の持ち味といえるだろう。芝中距離の瞬発力勝負がベスト。

豪脚発揮も差し届かず

フラワーC馬場/展開バイアス:前有利ⒸSPAIA


【フラワーC】
前週は道悪開催となったが、週中に雨はなく、馬場は乾燥した良馬場。時計も平均程度に出ていた。レースはアビッグチアが掛かり気味に逃げて向正面入口では後続をやや離す形。その差を後続が詰めたのは残り1000~800mで、展開としてはスローからの5F勝負となった。持続力に欠ける馬には厳しいが、基本的には先行馬に優しい流れであったか。

3着馬ユーバーレーベンは出遅れて大外から差す形。持ち味である息の長い末脚で3着まで追い込んだが、展開を考慮すれば数字以上の評価が必要だろう。発馬の課題は残るが、東京コースならさらに持ち味が活きそうだ。

5着馬クールキャットは折り合い重視で後方待機。スパートの始動が遅くさすがに届かなかったが、上がり1Fはメンバー中最速であり、展開次第では重賞でも通用することを証明した。気性面の課題は残るが、身体的には2000mも守備範囲だろう。

良血馬の巻き返しに注意

人気が予想されるユーバレーベンとオヌールの2頭は末脚堅実で逆らいづらい。穴馬で注目は豊富なスタミナを見せたパープルレディー。本記事では触れられなかったが、14年オークス馬ヌーヴォレコルトの全妹オメガロマンスにも要注意。良馬場なら一変があっても驚けない。

注目馬:ユーバレーベン・オヌール・パープルレディー・オメガロマンス

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

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