2番人気【0-1-2-6】で伏兵注意
皐月賞トライアルは同週前日の若葉SとこのスプリングSが最後。出走に必要な賞金を持っていない馬は当然どちらかに出走、優先出走権を獲得しなければいけない。
切羽詰まった馬たちが集まるため、皐月賞に出走するのがやっとかと思いきや、皐月賞本番でスプリングS組はこの10年、【3-1-3-32】。確率は低いが、18年7番人気1着エポカドーロや20年8番人気3着ガロアクリークなど穴を開ける馬が多く、注目すべき一戦である。
データは震災の影響で阪神に振り替えられた2011年を除く9年分を使用する。
1番人気は【2-5-1-1】勝率22.2%、複勝率88.9%。同じトライアルの弥生賞が2020年までで【4-2-0-4】複勝率60%なのと比較すれば、88.9%は強力。この10年で3着以下だったのは17年サトノアレス1頭。それも3着プラチナヴォイスとは0.1差4着だった。
一方で2番人気は【0-1-2-6】と対照的。さらに3番人気【2-2-0-5】以下は6番人気までは横並びの印象、大波乱こそ少ないが、混戦らしく中波乱決着が多い。
過去10年の牡馬クラシック東西別成績は、皐月賞が美浦4勝、栗東6勝、日本ダービーは美浦2勝、栗東8勝。やはり関西馬の層は厚い。しかしスプリングSは美浦【7-3-8-50】、栗東【2-6-1-38】で関東馬が優位。
先述したように同週に若葉Sがあるため、関西馬が分散する傾向にある。この時点で翌週に毎日杯があるものの、皐月賞出走のラストチャンス。相手関係を吟味するのは当然で、東上する関西馬が少ないという事情もある。
3歳3月後半ともなると、重賞ではキャリアを積んだ馬が有利。キャリア4戦【4-3-3-25】勝率11.4%、複勝率28.6%、5戦【2-1-2-10】勝率13.3%、複勝率33.3%あたりが好走ゾーン。
キャリア4戦は1番人気候補のランドオブリバティと伏兵ロードトゥフェイム、キャリア5戦はワールドリバイバルがいる。
ワールドリバイバルに激走データあり
次は好走パターンを具体的に前走クラス別でみていく。
前走GⅠは【2-3-1-6】で好成績だが、今年は見当たらず。この点も混戦模様に拍車をかけている。となると、前走1勝クラス【6-3-3-31】勝率14%、複勝率27.9%が頼りになりそうだ。
前走が1勝クラスだった馬のなかで、どんな距離を走った馬が好成績をあげたのか。今年の想定に該当馬がいるなかでは1800m【2-0-1-10】、2000m【2-2-2-7】が目立つので、ここを掘り下げる。
前走1勝クラスかつ1800m戦に出走した馬は、東京【1-0-1-2】と中山【1-0-0-4】が好成績。前走が若竹賞(中山芝1800m)1着のロードトゥフェイムが該当。
阪神芝1800mのつばき賞1着ヴィゴーレはどうだろうか。前走が阪神芝1800m1勝クラスだった馬は、この10年スプリングSで出走がない。ない以上はこのデータで判断しようがない。
ならば違う角度で考える。キズナ産駒は中山芝1800mで【3-3-0-16】勝率13.6%、複勝率27.3%、単複回収率405%、111%と好相性。関西馬ではあるものの、これは心強いデータだろう。
1800mと同じように前走1勝クラス2000m出走馬の競馬場別成績を出すと、東京【1-1-2-3】と小倉【1-1-0-2】がいい。
前者はフリージア賞2着のイルーシヴパンサーが該当。これ以上に注目すべきが、小倉芝2000mのあすなろ賞を逃げ切ったワールドリバイバル。18年皐月賞馬エポカドーロ(スプリングSは2着)と同じ軌跡をたどっており、関西馬だが、意欲の東上ととらえてもよさそうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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