全盛期に迫る騎乗成績
今週日曜は中京競馬場でGⅡ・東海Sが行われる。JRA・GⅠの先陣を切るフェブラリーSへの優先出走権を賭けた一戦に精鋭が出揃った。
レースの中心となるのは昨年のチャンピオンズC3着馬インティ。7連勝で2019年のフェブラリーSを制してからやや不振が続いていたものの、前走10番人気の低評価を覆す激走で復活をアピール、明け7歳の初戦を迎える。中京コースでは馬券圏内を外しておらず、今回も持ち味である軽快な逃げを見せてくれることだろう。
インティに騎乗するのは武豊騎手。50代でも騎乗に衰えは見られず、すごみを増しながら日本競馬のトップランナーとして活躍を続けるレジェンドだ。今週のコラムでは武豊騎手の騎乗成績を分析し、おいしい馬券を演出してくれる条件と消しで勝負したい条件を紹介していく(使用するデータは2016年〜2020年)。

まずは2020年の武豊騎手の成績を振り返る。
51歳のシーズンだった昨年は115勝。4年ぶりに100勝を達成した2019年を上回り、過去10年で最高の成績をマークした。連対率32.7%はまさに全盛期だった2008年以来の水準と近年は劇的なV字回復の兆しを見せている。
重賞戦線に目を移すと、ディープインパクトの名が冠された弥生賞をサトノフラッグできっちり制し、2歳戦もメイケイエールとのコンビで2勝するなど計5勝。GⅠでは勝利こそなかったものの、桜花賞のレシステンシアや宝塚記念のキセキなど4度馬券圏内に絡んでおり、ビッグレースでの存在感は健在だ。
友道師との黄金タッグ

続いてより条件を細かく設定し、武豊騎手を「買える条件」をピックアップする。
ワールドプレミアでの菊花賞制覇が記憶に新しい友道康夫調教師とは抜群の相性を誇っており、過去5年での複勝率は実に67.2%だ。リステッド以下で見ると【21-10-6-11】連対率64.6%・複勝率77.1%とさらに血沸き肉躍る数字だ。該当条件では回収率が単複ともに110%に達しており、目に入ったらすぐに軸に据えたい。またケースが少ないものの2歳戦で【7-4-6-1】と崩れていない。
クラス別ではGⅢ、それも芝のレースが抜きん出ている。距離を問わず全体的に好走数が多く、騎乗している際は本命候補。回収率の観点からは7番人気以内で単勝:128%・複勝:102%と強調できる。中穴あたりで着を拾う確率が高く、人気薄も踏み込んで買いたいところ。
種牡馬別では復活のダービー制覇でおなじみキズナを推奨。複勝率42.4%はディープインパクト産駒に騎乗した場合(同41.8%)より高く、単勝回収率も135%と妙味が伴っている。産駒デビューから日が浅いためサンプルは少ないが、出走数が増えていく今後お世話になるケースが多そうなデータだ。
人気薄は原則見送り

前段と対照的に武豊騎手を「買えない条件」についても触れる。
まず挙げられるのは人気薄の馬に騎乗する場合。近年は冒頭のインティやユーキャンスマイルなどで穴を開けるケースがぽつぽつあるものの、基本的には人気馬をきっちり好走させるタイプのジョッキー。7番人気以下では複勝率10%程度にとどまっており、回収率も低調。見送りが正解だろう。
季節では3・4月に回収率が落ちる点が気になる。好走率は決して悪くないものの、過去5年で単勝回収率50%を超えた年が一度しかない(2019年:70%)。他の季節と比べると勝ち切れていない印象で、人気馬での2・3着付けの馬券を考えたい。(なお、武豊騎手のオフィシャルサイトによると2009年4月に「花粉症デビュー」したとのこと。)
東京競馬場での成績がやや芳しくない点も留意が必要。全体の複勝率に比べ1割程度数字が悪く、回収率も単複ともに60%台と厳しい。1番人気では【22-6-10-13】複勝率74.5%と結果を残しているが、それ以外の条件では軽視が妥当だろう。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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