「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【オーシャンS】「前走1200m組」が9勝 2、3着で狙いたい穴馬とは

2021 2/28 17:00勝木淳
オーシャンSデータ2021ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

実は軸として頼りになる1番人気

3月28日高松宮記念まで中2週。オーシャンSはその出走権をかけた最終ステップレースになる。

本番で勝負になるかは度外視といったメンバー構成が多いものの、過去10年高松宮記念でオーシャンS組は【2-2-4-60】。18年10番人気3着ナックビーナス(オーシャンS2着)、19年17番人気3着ショウナンアンセム(オーシャンS5着)と大穴を輩出するレースでもある。

穴を開けたこの2頭はいずれも優先出走権を得られる1着馬ではなく、オーシャンSは高松宮記念の検討材料のために軽視しない方がよさそうだ。ここでは過去10年のデータからオーシャンSを分析する。

人気別成績(過去10年)ⒸSPAIA


例年大混戦で、どの馬にも印がつくようなメンバー構成になり、予想が難しいレースという印象が強いが、1番人気は【3-2-2-3】勝率30%、複勝率70%とじつは堅実。過去10年で馬券圏内に入らなかったのは3頭のみ。どんぐりの背くらべでも1番人気は信用できる。

ただし、2番人気【1-3-1-5】、3番人気【2-2-0-6】、4番人気【0-1-2-7】、5番人気【1-1-0-8】と上位人気馬がややアテにならないため、荒れるイメージが強い。一方、10番人気以下は【1-1-1-67】なので、大穴ばかりを狙うという作戦は現実的ではない。

年齢別成績(過去10年)ⒸSPAIA


年齢では4歳【3-1-1-25】、5歳【5-1-5-30】のふた世代が中心。1着馬のうち10頭中8頭がこのゾーンを占めるので、アタマはここから選ぶべきか。

しかし、2、3着候補は幅広い年齢から選びたい。6歳【1-5-1-28】、7歳【1-2-0-17】、8歳【0-1-3-18】などベテラン組の食い込みも大いに考えたい。

穴パターンは前走1200m戦で逃げた馬

次はポイントになりそうな前走距離から、オーシャンSで好走する馬を探していく。

前走距離別成績(過去10年)ⒸSPAIA


前走1200mが【9-6-6-102】と質量ともに断然である。前走で1400mや1600mを走った馬が活躍できていない。これは中山芝1200mという舞台に理由がありそうだ。

中山芝1200mは、外回りの2コーナーを曲がった直後からスタート。ここはのぼり勾配の頂点をややすぎた地点であり、前半600mはほぼすべてくだり勾配にあたる。これは山の頂上からふもとに向けて一気に駆けおりるようなイメージ。小倉芝1200mに次ぎ、前半600mタイムが速いコースである。

この前半の速さが短距離馬のスペシャリストに味方し、前走で長い距離を経験してきた馬は位置を悪くしてしまうのではないか。それがこの極端な成績に出ている。であれば、前走1200m組を突っ込んでみる。

前走1200・前走着差別成績(過去10年)ⒸSPAIA


まずは前走1200m戦出走馬の、前走での着差別成績を出す。短距離戦は中長距離戦に比べると、着差がつきにくいジャンルでもあるので、着差別成績は大切。まず前走勝った組をみると、タイム差なしで勝った馬はオーシャンSで【1-0-0-9】。好走したのは14年3番人気1着スマートオリオンのみで苦戦傾向。

0.1以上の着差をつけて勝つと、【3-0-1-9】と好走率が上昇する。登録馬ではアストラエンブレム(0.1差)、ラヴィングアンサー(0.1差)、3勝クラスの記録だが、アルピニズム(0.4差)が該当する。

負けた組をみると、タイム差なしで負けると【1-1-0-2】。惜敗組の巻き返しは自然なところだが、0.1~0.2差負けだと【0-2-3-12】と頼りない。ここも惜敗組ととらえられ、人気になりやすいので注意したい。想定からカレンモエ(0.1差)、グルーヴィット(0.1差)が当てはまる。

もう少し負けた組の巻き返しはあるだろうか。0.3~0.5差負けは【2-2-0-26】、0.6~0.9差負けは【1-1-1-16】なので、このゾーンからの巻き返しはないとはいえない。想定では該当候補が多いエリア。

1.0~1.9差負けになると【1-0-0-23】(12年9番人気1着ワンカラットのみ)でかなり厳しくなる。想定にいるビアンフェ(2.0差)は評価を下げるべきだろう。

前走1200・前走位置取り別成績(過去10年)ⒸSPAIA


つづいて前走での位置取り別の成績を確認する。前走1200m戦で逃げた馬は【1-2-1-13】、勝つのは難しいものの、複勝率23.5%と最上位。

総合的にいいのは前走1200m戦で先行した馬の【4-3-0-26】勝率12.1%、複勝率21.2%。前述したように中山芝1200mは、前半が速くなるコースなので、流れに乗れることがアドバンテージとなる。そのあたりがここに出ている。

反対に後方は【1-0-3-29】と苦戦。ハイペースであっても追い込みが決まるわけではないのが中山芝1200mという舞台。別の距離から来た馬を軽視するのと同じく、流れに乗れそうにない馬は評価をさげるべきだろう。



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

オーシャンステークスデータ2021

ⒸSPAIA


《関連記事》
上手な付き合い方のコツは?武豊騎手を「買える条件・買えない条件」
上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」
全部買うだけで黒字 複回収率200%の条件も 2021年は穴ジョッキー森裕太朗に注目